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「インド通信」のホームページへようこそ!


Last Revised: May 2, 2016



 このたび2016年熊本地震において被害に遭われた方々、および地震発生地域に お住いの方々に心よりお見舞いを申し上げます。また亡くなられた方々に謹んで お悔やみを申し上げます。
 本誌購読会員につきましては、郵便、通信状況や現地の混乱により本誌の不着 や紛失が生じた場合は、お知らせいただければ補てん送付の対応をいたします。 また救援や復興に関連して本誌誌面を通じての呼びかけや情報提供等、できるこ とがあればぜひご相談ください。

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 南カルナータカからケーララへ、アラビア海に沿って南下したことがある。3 月半ば過ぎ、年間最高気温の時期には早いが、よそから来た身には十分に暑さが 堪える季節。帰りついてライム水をもらって喘いでいると、「暑さはこれからよ。 ヴィシューまで半月以上あるんだから」と宿のマダムに笑われた。ヴィシューは インドの節季の一つで、4月半ばに旧暦新年を祝う。インド各地にこの時期を新 年とする伝統的な暦があり、北インドのヴァイシャーキーという名称がよく知ら れているだろうか。
 「このあたりはヴィシューをお祝いするんだ?」
 「ほらあれがヴィシューの木。黄色い花がシャワーみたいに咲いて、神様にお 供えするのよ。まだやっと花房が出てきたところね」
 マダムは庭の木の一本を指さした。いかにも南国らしいくねった幹に厚い葉を 茂らせた木々の中に、浅緑の柔らかな葉を揺らす数メートルの木があった。花房 は判別できなかったが、その木は知っていた。3月の終わりにデリーの住宅地を 黄色く染め上げる街路樹になっている。花はまるきり黄色い藤だが、蔓を棚に仕 立てたり山藤のように周囲の木々に蔓を絡ませて咲くタイプではない。立派な木 では樹高が数メートルになり、満開の時期はさながら黄色い瀑布である。花の見 事さと吹き渡る熱風で見上げた息が詰まるような思いがする。和名があることも 知らず、身近な花なのに学名もインド名も聞いたそばから忘れてしまう。地元の 人に聞いたところで、英語名や植物図鑑に載っている名など知らないものだ。

 その後の数日はケーララの北半分を南下し続けた。新しい宿に移ると、世間話 のつなぎに「もうすぐヴィシューだね」と言うことにした。そうすると相手は新 年のお祝いのことや親戚を訪ねたり、あちらから来たりという話をしてくれた。 昨年のヴィシューに、ロビーに造った飾り物の写真を見せてくれた宿もあった。 ボートレースに使う細長い木造船の小ぶりなレプリカがヴィシューの花房で飾り 立てられていた。
 数百年続く大地主の森の中の屋敷では、「あれがうちのヴィシューの木だよ」、 と主人が母屋の正面の木を示した。ジャングルと呼ぶにふさわしい鬱蒼とした南 国の森は、母屋の前だけが半円に整地されて空が見える。半円の端に立つヴィシュー の木は、枝が少なく、背丈も幹の太さも見劣りがする。家から手ごろな場所に後 から植えた木であるらしい。育つそばから毎年花枝を切ってしまうからか、過度 に剪定されて育ち損ねたような見かけみなってしまったようだ。
 「毎年この木の花をお供えするものなのよ」
 奥方は愛おしそうに木を見上げた。母屋の正面の間には、奥方が祀る小さな神 棚がある。母屋から森を10分近く歩いた奥には、屋敷池と屋敷の祠と男女の空間 がきっちり分けられた昔ながらの旧母屋がある。主人は毎朝5時過ぎには池で沐 浴して、祠にプージャ―を捧げているが、ヴィシューには村の人たちがこぞって お参りに来るプージャ―があるらしい。
 ここのヴィシューの木にはもう黄色い花房が垂れ始めていた。黄色い花は、半 円の空間に差し込む午後のきつい日差しを照り返して、まるで花から光線を発し ているようにキラキラと輝いて、目を向けていられないほどだった。

 ヴィシューの木は、ゴールデン・キャンドル、カッシア、ハネセンナなどと呼 ばれている。どこへ行っても「ヴィシューの木(花)」で通じたが、尋ねてみた ところでやはり「改まった名前は知らない」という答えが返ってきた。


*『インド通信』は1978年創刊の、インド文化交流センターが発行する月刊の情報誌です
*B5版8ページ、毎月最終土曜日発行
*年会費¥2,000 (12部)
*情報締切りは開催前月15日、投稿は随時受付
*入会案内・見本誌をご希望の方は関口まで電子メールでご連絡ください(mariamma[@]mb.infoweb.ne.jp, "[ ]"を外して入力してください)
 月刊「インド通信」2012年2月号で通巻400号となりました。
 (400号:301号〜399号掲載原稿目次号(100円)、300号:1号〜299号掲載原稿目次号(150円)をお分けしています(郵送料別途実費)。関口までメールでお問い合わせください)


1.最新号の目次

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2016.5.1発行、第451号


・催し物ガイド
・新刊情報
・南アジア地誌事典 第226回 「本当は行きたくなかったインド留学「僕版 インドまでの道」」 (山畑 凛一)
#右上の地図のしるしは、これまでに南アジア地誌事典で扱った主な場所
・「植物と人々の博物館のインド亜大陸関連コレクションのご紹介」 (木俣 美樹男)
・私だけのインド料理講座上級編 「ヴェジタリアン料理 NO.26 第7回マハーラーシュトラ その2 7-AARVI CHI BHAJI 里芋料理」 (由 利 三)
・「サントゥールの魅力」 (星川 京児)

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4.スタッフ紹介

臼田わか子(事務局、会費納入先)
 1972年から77年までカルカッタ在住。『インド通信』創設者。
松岡 環(発送部)
 日本を代表するインド映画研究家。『インド通信』創設者。ブログ「アジア映画巡礼」
小磯千尋(渉外)
 プネー大学で宗教と哲学を修める。各分野でインド文化の紹介を行う。
関口真理(編集)
 専門は南アジア近現代史。HPではアメリカのインド人、ネパール、ヒマラヤ周辺の歴史、インド人の英語文学などを紹介しています。あわせてご覧ください(関口のホームページへ)。電子メールでの連絡先は、mariamma[@]mb.infoweb.ne.jp ("[ ]"を外して入力してください)。


 # なお、『インド通信』の現物は、国会図書館、アジア経済研究所図書館、日印協会、ユネスコ・アジア文化センター・ライブラリー国際交流基金アジアセンター、アジア太平洋資料センター(PARC)[以上東京]、アジアセンター21図書館(大阪)、名古屋国際センター・ライブラリーでも閲覧することができます。