寝殿造
寝殿造りは9世紀に成立した貴族の住宅様式である。
一町(約120メートル)四方の敷地の中央に正殿である寝殿を配し、
その左右に東西の対を配して、渡殿と呼ばれる通路で結ぶ
対称形の配置が基本である。
寝殿の南側に庭・池をつくり、東西の対屋から南に中門廊が延び、
端に釣殿、泉殿を設ける。
寝殿や東西の対屋の北側に対や廊があることもあり、
その北に雑舎、中門廊付近に車宿、随身所などを置いた。
寝殿・対・廊などは檜皮葺・板葺きで、塗籠のほかには壁を造らず
屏風・簾などで間仕切りして畳・褥などを敷き、
用途に応じて変更が容易であった。
『岩波日本史辞典』より
| 寝殿造り用語・調度品説明 | |
| 主な建物 | |
| 寝殿(しんでん) | 屋敷の主人が生活するところ。 妻と夫と、成人前の子ども達が生活。 また、儀式・行事は寝殿の母屋・渡殿・廂を使って 行われる場合が多い。 |
| 対屋(たいのや) | 寝殿を挟んで東西に位置することが多い。 主に成人女性が住まう。 ここに男性が通って来るわけで。 妻問い婚なので女主人が基本らしいですよ。 |
| 対第(たいだい) | 対屋の小さいもの。 |
| 出居(でい) 出居廊(でいろう) |
時に応じて作られた接客の間。 母屋や廂に几帳や屏風で仕切って作られる。 |
| 釣殿(つりどの) | 庭の池に面して設けられた建物。 夏場はここで涼をとったり・・・風流な場♪ |
| 雑舎 | |
| 随身所 | 貴族の警護にあたった近衛の舎人たちの 控えの間。 |
| 出入り口付近 | |
| 中門廊 (ちゅうもんろう) |
東西の対屋、寝殿から延びる通路。 屋敷の出入り口。 |
| 渡殿(わたどの) | 寝殿と対屋を結ぶ通路で細殿(ほそどの)とも 板葺の屋根付。壁があるときもある。 |
| 廂(ひさし) | 母屋の外で、すの子縁の内側にある細長い部屋。 ここを屏風や几帳などで区切り、成人男性や 女房たちが部屋として使うこともあった。 |
| すのこ | 廂の外側にある板葺の縁側(濡れ縁)。 通路としての役割のほか、几帳や御簾越しの 応接間だったり、儀式や行事の際の物見の席。 高欄がつく場合もある |
| 高欄(こうらん) | 廊下・橋につけられた欄干 |
| 車寄せ | 客人が牛車から乗り降りするところ。 東西の妻戸の前にあった。 |
| 車宿(くるまやどり) | 牛車を収納する建物。 寝殿造りでは中門の外にあることが多い。 牛車が使われなくなるにつれて姿を消す。 |
| 寝所 | |
| 塗籠(ぬりごめ) | 周囲を壁で覆われた部屋。 寝殿の最も神聖な場所で、宝物を収納したり 寝所として使用した。 しかし平安時代後半になると、納戸(物置)として 使われる例が増える。 |
| 北廂(きたびさし) | 塗籠に代わって、貴族の寝所(プライベート空間)と なった場所。ここに御帳台を置いて就寝した。 |
| 北孫廂 (きたまごびさし) |
北廂の発達に伴い、もう一段廂が追加された。 北孫廂は北廂より一段下がっている。 源氏物語絵巻で、柏木が寝ているのが北廂。 そして夕霧が座っているのが北孫廂☆ |
| 家具 | |
| 屏風(びょうぶ) | 室内に立て、部屋の空間をを区切った。 室内装飾としての意味もあり、山水画を 描いたり、和歌をちりばめたりした。 |
| 御簾(みす) | 細く加工した竹や葦を編んだもので、 外界との隔てや、日光を遮るために使用。 |
| 几帳(きちょう) | 室内を区切るための調度。 土居という台の上に柱を二本立て、上に横木を 付けて帷子(かたびら)という衣をかけたもの。 通常は三尺(約91cm)程度の高さ。 夏は生絹(すずし)・綾織、冬は練り絹を用い、 彩色を施した。 平安女性は例え親しい間柄でも几帳越しの 対面が普通だったそうな。 |
| 畳(たたみ) | 座したり寝たりするときに使用。 厚薄、長短は決して一定ではなく、今のゴザの ようなものも畳と言われていた。 これは板葺の室内に必要な場所にだけ敷き、 重ねて使用したりもした。 縁(へり)の柄・色には身分による決まりがある。 これが、身分差の表し方に使われた。 |
| 褥(しとね) | 座るときや寝るときに、畳の上に敷いた 綿入りの敷物。 |
| 御帳台 (みちょうだい) |
天蓋付の座所・寝所。 |
| 脇息(きょうそく) | 座ったときに身を寄せ掛ける木製台。 |
| 二階厨子 | 色んなものを置いた、棚。 (いいのかそんな説明で・・・) |
| 建具(たてぐ) | |
| 格子(こうし) | 黒く塗った細い角材を縦・横に組み合わせて作る。 上下二枚にして対屋や寝殿などの外側の柱と柱の 間にはめる。開けるときは上を吊り上げる。 殆どが裏に板を付けられている。 |
| 蔀(しとみ) | 格子の裏に板を張り、日光を遮ったり 風雨を防いだりした戸。 開き戸で、今で言う窓のようなもの。 |
| 妻戸(つまど) | これも開き戸で、今で言うドアのようなもの。 ちゃんと閂があって、ここから室内に出入りした。 |
| 柱・天井・床・屋根 | |
| 柱 | 基本的に寝殿造りはワンルーム。 部屋を区切る必要がないため、丸い柱を使用。 |
| 天井 | 部屋を区切る必要がないため、中期までの 寝殿造りだと天井が見られないらしい。 |
| 床 | 板間(フローリング)。 |
| 屋根 | 平入り |