2007年4月の都市計画決定を遵守するのは開発者の最低限のルールです
中野区は、2007年7月に「中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等」を(独)都市再生機構へ業務委託しました。この仕様書には、警大跡地について「地区計画の変更」というものがあります。
地区計画というのは、2007年4月に都市計画決定されたものです。たとえば、3〜4haの防災緑地の確保、高さ制限、複数建築物による日影規制、壁面後退、病院・中学校への日影配慮・・・・・・。行政と開発者の間で、もし仮にそれさえも、住民の利益に反する方向で変更することが仕組まれているとしたら、問題です。あの地区計画は、開発者が守るべき最低限のルールです。この土地は、住民の災害時の避難場所です。病院、学校、公園があります。周辺は閑静な住宅街で、多くの住民がながい間住み続けています。
地区計画は、開発者が売買契約に入る前に、決定されていたものです。その最低限の地区計画の内容を開発者に守らせることは、地区計画をすすめてきた地主・財務省、都市計画決定の責任者である東京都、まちづくりをすすめてきた中野区など行政の最低限の責任です。そのためにも、地区計画の動向に係わる開発協議会の内容については、中野区は住民に全面公開して欲しいと思います。
法律にもとづき決定された地区計画を、開発者の利益のために、行政と開発者でなし崩しにしようとしているとしたら、絶対に許されないルール破りです。そんなことを考えているとしたら、直ちに開発から手を引いていただきたいと思います。
都市再生機構東京都心支社への委託について
中野区は今後の具体的なまちづくりの調整・まとめを1億円で独立行政法人 都市再生機構東京都心支社へ委託
独立行政法人・都市再生機構東京都心支社は日建設計、アークポイント、JR東日本コンサルタンツなどに再委託
10月22日に開発協議会が初会合
開発と住民
10月22日に開発協議会が初会合
住民の生活と地域の環境を守るという社会的責任を果たすことに力をつくしてほしい
中野、杉並区の住民団体が開発業者へ質問を提出
警大跡地地区まちづくり連絡会を設置
警大跡地の土地売却状況
警大跡地の払い下げ価格にたいする、杉並区長の怒り・・・・・杉並区報07年9月1日号より
路線価の5〜8倍の価格の背景
1.中野区は今後の具体的なまちづくりの調整・まとめを1億円で独立行政法人 都市再生機構東京都心支社へ委託
中野区は、警大跡地の民間の入札が始まる約1週間前、6月21日「中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等」の業務委託を検討し、7月6日には独立行政法人・都市再生機構東京都心支社(以下、UR)と約1億4百万円(消費税含む)で特命随契約で委託契約しました。
委託の対象となるまちづくりの地域は、中野駅周辺の約90haの地域で、契約期間は来年度末までです。
委託の主な内容は、中野駅周辺まちづくりの総合的な推進に向けたコーディネート業務、警大跡地等のまちづくり推進に関する業務、中野駅周辺各地区のまちづくりの調査検討業務(中野4丁目囲町地区、中野4丁目西地区、中野駅地区、中野2丁目・3丁目)などです。なお、警大跡地については、地区計画の変更等に係わる調整等などという項目も入っています。
契約金額は1億円余ですが、この調査委託契約について契約前後の区議会では、その報告はありませんでした。
また、来年度末までの契約ですが、1億円もの費用が、どのような委託業務に、どのように配分されているのか、なぜ今この時期に90haの膨大な地域の調査委託をわずか半年で1億円もかけてコンサルに委託するのか、区民への説明責任が求められます。かつ、今年2月には、「都市計画およびまちづくり事業の総合推進、調整」を職務内容とする課長級職員を公募したわけですので、それとの関係も説明責任を求められるでしょう。
なお、拠点まちづくり推進室が、区民、区議会等に、上記の「中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等」が(独)都市再生機構へ業務委託されたことを公表したのは、10月17日の建設委員会でした。それも、開発協議会のコーディネーターとして(独)都市再生機構が受けることを説明する際にしたものでした。(注4-11)
資料
2.独立行政法人・都市再生機構東京都心支社は日建設計、アークポイント、JR東日本コンサルなどへ再委託
@分かっているだけでも契約金額の60%分が再委託、それ以外にもある
上記のコーディネート業務のうち「中野警察大学校跡地等におけるまちづくり推進支援業務」は、9月12日にURが約4900万円で日建設計に随意契約している。
また、都市再生機構東京都心支社のHPでは、2007年8月10日に「中野駅南口地区におけるまちづくり支援業務」を、URが956万円で(株)アークポイント(豊島区)と随意契約したことが公表されています。
さらに、2007年10月25日には、「JR中野駅施設等構想検討業務」を、約400万円でJR東日本コンサルタンツ(株)と随意契約したことが公表されています。(注4-12)
これでは、中野区は警大跡地のコーディネート業務を日建設計、南口地区のコーディネート業務を(株)アークポイントに契約していることとほぼ同じです。まさに、2003年度、2004年度に警大跡地のまちづくりを新都市建設公社を通して日建設計に調査委託事例と同じような方法です。
中野区が都市再生機構東京都心支社と随意契約するにあたって起案した「業者指定理由書」によれば
- 駅前、南口、警大跡地、囲町など、一括した業務委託が必要だ。
- 多くの地権者に影響を及ぼすことから、公平性、透明性の観点から公的性格を有すること
- 他に、任せられる類似団体はない
などとしています。
上記の3社を合わせて、中野区がURとの契約金額の60%分になります。詳細は不明ですが、それ以外にも再委託があります。となると、中野区がURと随意契約するにあたって起案した「業者指定理由書」の内容と、再委託されていることについて、このことはどう説明するのでしょうか。
A再委託の内容からも随意契約の理由は破綻
(独)都市再生機構東京都心支社(以下、UR)の再委託は、7月6日に中野区と契約していますが、そ3日後、7月9日に「作業依頼の承諾について」として、「一部作業を作業補助会社に依頼することについて承諾を」お願いしています。(注4-2)
それによると、
- 再委託する業務は、全部で4つです。@警察大学校跡地等、中野駅地区、中野4丁目西地区及び中野4丁目囲町地区における、誘導すべき各種開発条件や整備構想案等の作成に係わる作業。A中野駅南口地区(中野2丁目、3丁目)における、まちづくり構想案等の作成に係わる作業。B中野駅地区における駅舎部分の計画条件の整理・確認作業や関係機関への協議資料作成等の作業。C警察大学校等跡地における既存樹木の取り扱い(保存・移植・伐採)の検討作業等。
- いずれの再委託も、契約は翌年3月7日までとなっている。
- 再委託の仕様書を見ると、「業務の一部」という文言とは裏腹に、いずれの再委託も「具体的な指針案や整備構想案を作成」、「まちづくり構想案・地区整備計画の策定」など中心業務をはじめ、各協議会等に参加しなければ作成できない「資料の作成、会議記録の作成」 となっている。
これでは、
第1に、中野区がURを特定して随意契約しなければならない理由とした「一括した業務委託が必要」「公平性、透明性の観点から公的性格を有すること」「他に、任せられる類似団体はない」は、成り立ちません。
第2に、URのHPでは、アークポイントとプロポーザル方式で契約するに至った理由について、「本業務は、中野駅南口地区を対象として、関係者が将来市街地像を共有しながら一体的かつ総合的に開発等がすすめられるよう、まちづくり構想案等を作成するものである。本業務を履行するには都市計画等における多様な知識・経験を必要とするため」としています。(注4-4)
第3に、中野区がURへ発注した仕様書と、URが再委託先への仕様書を比較してみてください。ほとんど、同じ内容です。ということは、URの請け負った業務のほとんどが、再委託先される仕様書になっているということです。
このように、URは、中野区たいして「一部作業を作業補助会社」として「承諾」を願い出ていますが、実態は今回の再委託は単なる「一部の業務」と言えるものではないことがわかります。
上記に、URが7月9日に「作業依頼の承諾について」を中野区に提出して、再委託の了承を得ようとしていることを紹介しました。
右の写真は、URが「コーディネート業務」の再委託の再委託の決裁書です。
それを見ると、UR内では、7月6日の契約が終了する前、中野区からの確認を得る前、7月5日に再委託の起案が行われて、内部で決裁手続きに入っていることがわかります。
実は、「中野駅南口地区のまちづくり推進支援業務」も、7月5日に再委託の起案も同様です。
B区民の貴重な税金1億円を使う業務の再委託問題の情報を公開せよ
上記であきらかにしたように、再委託業務は4つです。しかし、URのHPを見ても、現時点であきらかにされているのはアークポイントへの再委託だけです。いったい、全体で再委託した契約金額はいくらなのでしょうか。実質的には、URは、請け負った分のどの業務を、いくらで請け負ったことになるのでしょうか。
中野区は、2003年、2004年における調査委託契約でも同様のことが起きています。(参照)
中野区は、今回の再委託について、URとの契約第3条(一括再委託の禁止)にもとずく調査をしていません。理由は、URから承諾願が提出され、中野区が承諾したからです。中野区は、本条による再委託の承諾願いが7月9日にURから出されて、その日の内に承諾をしています。どんな調査をしたのかは公式な記録はありません。承諾願いと承諾書あるだけです。貴重な税金1億円も使われているというのに、これで区民への説明責任が果たせるのでしょうか。(注4-3)
URは、中野区が「公平性、透明性の観点から公的性格を有すること」とされた法人です。URが受け取る契約報酬は、私たち区民の貴重な税金です。ならば、業務が本格的に進むまえに、区民へ情報を公開する社会的責任があるのではないでしょうか。中野区は、区民への説明責任を果すべきではないでしょうか。
CURの再委託発注書の方が具体的?
両者の発注仕様書を比較してください。
中野区からURへの発注仕様書
URからの再委託発注仕様書 中野区が作成した委託仕様書から 日建設計への発注仕様書から
アークポイントへの発注仕様書から
JR東日本コンサルタンツへの発注仕様書から
既存樹木の発注仕様書からたとえば、URが再委託した一つ、「中野警察大学跡地等地区 樹木調査設計」仕様書は、中野区からURへの発注仕様書では見ることのできないものです。なのに、URから中野区に再委託承諾願いが出ています。
各地権者内の樹木について、地権者の責任でやらせるべきものなのに、各地権者からURが請け負って、あるいは財務省の仕事を、中野区の税金で肩代わりをしているようにも見えないでしょうか。中野区が既存樹木について本格的な保存を考えているなら、中野区は今回の発注について区民に説明して欲しいものです。
また、JR中野駅施設等構想検討業務についても、同様のことが言えます。JR中野駅の鉄道施設(駅舎、改札、昇降施設、コンコース)について、技術面・管理運営面からも将来実現可能な配置計画、動線計画の検討を実施し、機構の業務を支援するなどいうものになっています。
そもそも、どういう理由で、URの再委託発注仕様書の方が、中野区からURへの発注仕様書より具体的なのでしょうか。中野区の仕様書にない業務を、どうしてURは再委託することが可能だったのでしょうか。やるべき仕事、課題が何かについて、中野区よりもUR方が詳しく知っているということは、どういうことでしょうか。中野区が「中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等」業務の起案書をつくる前に、URに見積もりを依頼していることと関係があるのでしょうか。
中野区はURについて「公平性、透明性の観点から公的性格を有すること」とされた法人としています。以上の点について、区民にわかりやくすく説明してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
D中野区は6月1日にURに見積依頼し、言い値で契約
URから6月15日に「中野駅周辺まちづくりに係わるコーディネート業務経費内訳明細書」を得ていることを上記で明らかにしていますが、これは6月1日に中野区がURにたいして見積もりを依頼したものです。(参照)
中野区の積算は、この後に行われています。しかも、見積もり依頼はUR一社で、契約金額はURの言い値です。これでは、URへの見積もり依頼に何の意味があったというのでしょうか。
公共事業は、予算、入札、契約、着工となりますが、次のように指摘する方もおります。
「工事にともなう地質などの調査、建設する施設の構造などについての調査研究、これらをもとにした基本設計の作成などがあってはじめて、事業の予算が決まり、工事仕様書をもとにして、業者を集めた入札がおこなわれるのです。・・・大規模工事になればなるほど、こうした調査研究が重要となります。ですから『調査費がつけば事業の実施は決まったようなもの』といわれるのです」
「(入札参加企業から1社を選び)工事仕様書をつくらせることは、いまや『公然の秘密』です。入札の際に工事仕様書は一セットだけ示されますが、どの業者がつくったものかは、みなが知っており、仕様書をもとにして事業価格を積算する業者などいないのが実情です」
「公共事業の調査・設計段階からの官庁と業者の一体性こそが、問われるといえるでしょう」(注4-10)
これを地でいったような契約手続きに見えます。
このHPでは、今回のURへの発注業務内容との関連から、「都市計画およびまちづくり事業の総合推進、調整」を職務内容とする課長級職員を公募したこととの関連を問うてきました。
実は、この課長級職員は、「まちづくり事業の総合調整・推進のための能力を一層向上させる」ことを目的に、採用後すぐに2ヶ月の「民間企業派遣研修」に行くわけですが、その研修先が、上記のURへの見積もり依頼先と一致しています。公募課長の2ヶ月間の研修派遣先は、(独)都市再生機構東京都心支社業務第5ユニットです。
その研修は5月31日に終了するわけですが、6月1日には同部署あてに先に紹介した見積もり依頼がされているということになります。
E住民団体がURにたいして質問状を提出
07年11月30日、「警察大学校等跡地に緑と青空の公園をつくる会」と「高円寺の環境を守る会」は、(独)都市再生機構東京都心支社支社長あてに、中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート業務にかかわる12項目の質問を提出し、回答を求めました。
質問の主なものは、
- URが作成した6月15日付けの「中野駅周辺まちづくりに係わるコーディネート業務経費内訳明細書」での見積書と契約金額が同一だという点について、法令遵守、企業理念との関係で問題ないのかなど。
- 中野区が「他に、任せられる類似団体はない」などとして、URと随意契約したにもかかわらず、URが契約後すぐに再委託の承諾願いをだしている点について、URの通常の業務方法なのかなど。
- 「地区計画の変更」に関する点について、開発者の意向で協議することが中野区から依頼されてているのかなど。
- 日建設計に再委託している点について、中野区との調整経過など。
*質問全文です(注4-6)
F「私どもにはノウハウがない」(担当参事)
「残念ながら、私どもにあれだけの大規模開発のノウハウがない」、2007年12月4日の中野区議会建設委員会での拠点まちづくり担当参事の説明です。
上記のAからCを見ると、自ら認めているように中野区にノウハウがないことが区民にもよく分かります。それなのに大規模開発を進めるということは、いったいどこから発案されたというのでしょうか。
また、その区議会建設委員会では「その相手先としては、透明性、公平性の確保ができる都市再生機構」に依頼したということも説明しています。だったら、中野区は区民のこれらの疑問に応え、URに真相の公開を求めてほしいと思います。
10月31日の区民対話集会で発表された文書によると、中野区は「駅舎改良に合わせた駅前広場や自由通路の整備に向けた検討」を始めています。(注4-5)
10月22日付け「建設通信新聞」によると、中野区は中野駅の駅施設や駅前広場の配置を検討するための「交通結節点あり方検討会」を設置し、すでに2007年10月23日に第1回目を開催したとのことです。メンバーは、西岡誠治副区長、谷村秀樹拠点まちづくり推進室長、学識経験者2人(山下保博都公園協会理事長、矢島隆計量計画研究所常任理事)、東京都都市整備局、同建設局、JR東日本、(独)都市再生機構東京都心支社。
今年7月に契約した(独)都市再生機構東京都心支社は、中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等の業務委託仕様書によると、2006年度の調査結果にもとづき整備考案を作成、その構想案を作成するための検討委員会の設置と運営をやることになっている。(注4-1)
中野区発表によると、警大跡地の再開発促進区内の地権者等で構成される「警察大学校等跡地開発協議会」を、会長・谷村秀樹中野区拠点まちづくり推進室長、事務局・拠点まちづくり推進室、事業推進コーディネータ・(独)都市再生機構、会員を財務省関東財務局、自警会、帝京平成大学、明治大学、中野TMK(中野駅前開発特定目的会社)として発足します。
この開発協議会によって、2008年3月には、地区計画にもとづいて「施設配置」「有効空地率の確保」「避難有効面積の確保」「発生集中交通量・周辺交通量負荷等の検討」等を反映させた「建築マスタープラン」を確定するとなっています。
また、同再開発促進区の地権者のほかに、杉並区等を加えた「まちづくり連絡会」を12月に発足させる予定です。
なお、10月19日付け「建設通信新聞」によると、上記「警察大学校等跡地開発協議会」の初会合が22日に開かれたようです。しかし、この協議会は「非公開」とのことです。
公有地の開発に多額の税金が投入され行政機関がかかわっており、周辺地域住民へ多大な影響を与える開発計画であるにもかかわらず、非公開というのは不可解です。
開発協議会に係わる資料の比較
開発協議会は、これまでに2007年10月31日、12月20日、2008年1月24日と3回、開催されてきました。
右図は、中野区が各開発者に送付した協議会開催案内の一部ですが、住民にはその議題さえも隠蔽して進めています。(注4-15)
住民に隠蔽する理由は「各会員間の率直な意見交換や信頼関係を損なう恐れがあり、協議会の運営に著しい支障を及ぼす恐れがあるため」としています。住民との信頼関係よりも、開発者との信頼関係を重視する区の姿勢というのは、いかがなものでしょうか。
住民への隠蔽を率先して進めているのは、だれなのでしょうか。どこでどう協議されて決まったのでしょうか。
上記で明らかになっているように、その起案の手続きは、中野区がしております。
また、住民団体の質問状にたいして、民間開発業者は、この問題について回答をさけ、,この開発すすめている(独)都市再生機構は回答すらしていません。開発者の2つの大学については、いずれも開発協議会が非公開になった経過については「承知していない」という回答をしています。
したがって、開発協議会を非公開で進めるというのは、開発者の全体の協議で決まったのではないということです。
これまでの開発協議会の内容
2007年10月16日の中野区議会建設委員会で公表された上記資料では、何を決めるのかを公表しています。その後も、2008年3月12日の中野区議会の建設委員会には、「開発協議会における取り組み状況」なる資料が公表されましたが、何が話し合われてきたのか公表しています。
これらを比較すると、建築マスタープラン作成のうち、開発規模、用途構成、発生集中交通量・周辺交通容量負荷等の検討が当初の予定にくらべて、すすんでいないことがはっきりします。
開発協議会をめぐる課題
ここまで進んでいる開発協議会ですが、重要な点を置き去りにして進めているのは問題です。早急に以下の点を解決していくべきです。
- 「開発協議会」の中心的役割を中野区がになっているにもかかわらず、開発の影響をもっとも受ける周辺住民を参加させていません。「開発協議会」の情報は隠蔽するのではなく、ただちに公開をしていただきたいと思います。
- 各開発者は一日も早く住民説明会を開催し、住民参加の対話型で、住民の要望・意見を反映させた計画を進めていただきたいと思います。計画を固めてから、住民への説明では、混乱がおきるだけです。
- 「ここは私の土地」「法律の範囲内」と勝手に開発計画をつくられてはこまります。法律、ガイドラインを守ることは最低限のルールですが、その上で、さらに積極的に避難場所の機能、既存樹木の保存、周辺の住環境など、住民の要望・意見を、どのように担保していくのかを示していただきたいと思います。
- 中野区の説明によれば開発者は「特に著しい利益を受ける」として、駅前開発を目的とした開発者協力金を寄附することになっています。しかし、もともとの土地は公有地です。私立大学には補助金として税金が入っています。ならば、「著しい利益」は周辺住民の環境を確保するためにこそ、還元してもらいたいと思いますがいかがでしょうか。
たとえば、大学が駅前開発のために寄附金を出すということなどは、内部で、また社会的に合意は得られるとは思えません。これからのまちづくりに必要なのは、高齢化社会、既存のストックの有効活用、防災都市づくり、地球温暖化対策など21世紀型のまちづくりではないのでしょうか。
もうこれ以上、緑を壊して高層ビルを建てるなどという時代遅れの大規模開発からは手を引いていただきたいところです。
2.住民の生活と地域の環境を守るという社会的責任を果たすことに力をつくしてほしい
@非公開にするかどうかの決定は、区の機関決定事項でない
この開発協議会を非公開にするかどうかを、決めた組織体はどこなのか。区が多額の税金を投入するわけですから、常識的に考えれば、そのことを区の機関で判断しているはずです。
そして、それはいつの時点で、どのような議論を踏まえて検討されたのかということが問題になります。法的な検討はされたのかも重要なことです。
ところが、そのようなものは存在しないというのが、区としての公式な見解です。中野区としての公的機関での決定事項ではないということになりますが、そんなことに区民の貴重な税金が投入されるというのはどういうことでしょうか。(参照)
A結論だけを押しつけるのは民主的な進め方ではありません
その理由、根拠もはっきり説明できないのに、非公式の結論だけが理屈もなしに、強引に押しつけられています。民主的な進め方とはとても言えません。
区への問い合わせにたいして、担当の窓口は「協議会での協議等は、各事業者の経営に関する重要な情報を含むこととなる。このため、協議及び協議資料等を公開することは、各事業者間の率直な意見交換や信頼関係を損なう恐れがあり、協議会の運営に著しい支障を及ぼす恐れがある」という説明をします。
公的な検討もしていないという見解を区長名で正式に出しながら、公式でもない結論がなぜ区民に押しつけられるのでしょうか。この公式でもない見解は、どこで協議、検討された結論なのでしょうか。
B地区計画の変更はやめて、情報公開してください
3〜4haの防災緑地の確保をどうするのかは、地域住民の命がかかっている重要な事項です。高さ制限、複数建築物による日影規制、壁面後退、病院・中学校への日影配慮・・・・・・、住民にとっても、地球環境、地域環境を守る上でも、どれも重要な問題です。
URへの発注仕様書では「地区計画の変更」が前提になっています。これから設置される地区計画区域内の地権者を含めた「まちづくり連絡会」でも、「地区計画の変更にあたっては」と、地区計画の変更が決まったかのように前提にされています。(別紙参照)
地区計画は、開発者が売買契約に入る前に、決定されていたものです。その最低限の地区計画の内容を開発者に守らせることは、地区計画をすすめてきた地主・財務省、都市計画決定の責任者である東京都、まちづくりをすすめてきた中野区など行政機関の最低限の責任ですし、その力をもっているはずです。
地区計画の作成に係わってきた行政機関が、開発者にたいして毅然とした対応をしてほしいというは、あまりにもささやかな住民の願いではないでしょうか。
開発協議会の地区計画に動向に係わる内容について住民に情報公開してほしいというのは、協議会の会長である中野区が果たす最低限の義務ではないか思いますがいかがでしょうか。
警察病院は、再開発促進区に位置する地権者ですが、開発協議会のメンバーではありません。病院への日影はどうなるのでしょうか。開発協議会の内容が非公開にされるということは、中央中学校の南側への高層建築物の計画については、教育委員会へも相談もされないということになるのでしょうか。
公有地の確保へ住民の願いを踏みにじった上に、2007年4月の都市計画決定をなし崩しにしていくなどという身勝手なことは、もうしないでください。住民の生活と地域の環境を守るという社会的な責任を果たすことにこそ、力をつくしていただけないでしょうか。
07年11月30日、「警察大学校等跡地に緑と青空の公園をつくる会」と「高円寺の環境を守る会」は、警大跡地内の開発業者として確定している、帝京平成大学、明治大学の各学校法人理事長、中野開発特定目的会社、(株)東京建物、(株)昭栄の代表鳥島役社長あてに、今後の開発にかかわる10項目ほどの質問を提出し、回答を求めています。
民間開発会社への質問の要旨を、下記へ紹介しておきます。
- 2007年4月に都市計画決定された地区計画について、最低限守っていただかなければならないことが決められているが、それを変更する方向で協議することを関係者に依頼しているのか。
- 開発計画については、どのようにすすめるのか手続き過程の情報公開を住民へ徹底し、住民とともにすすめるまちづくりに、特段の努力をもとめるがどうか。
- 地球環境の維持・保全、ヒートアイランド対策、災害時の都市機能をもったまちづくりに、開発者として特段の努力をする考えがあるのか。
- 住民のもっとも要望の強い防災公園について、公園としての環境は望めないが、それでもよりよい環境を確保できるものに特段の努力はするのか。
- 開発協議会を「非公開」というのは、どの事業者から出て、どういう理由で、どのようにして決定されたのか。
- 開発協議会が「非公開」ということについて、どういう立場・見解か。
- 事業者の社会的責任として、開発協議会は住民に全面公開すべきではないか。
- 中野区が求めている開発協力金について、この開発により、どのような基準で「特に著しい利益」を得ていると判断されているのか。
- 予算を、このような寄附として使うことについて、その妥当性・合理性を、従業員、株主、住民にどのように説明するのか。
- 警察学校側の跡地については「射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドライン」等にそって、現行法令にもとづく調査して周辺住民に、その結果を情報公開するべきではないか。
などです。
*質問全文です(注4-7)
2007年12月3日の中野区議会建設委員会で、警大跡地の開発区域に隣接する「中野4丁目地区地区計画」区域内の一般地権者等や、杉並区の開発事業者を含めた「まちづくり連絡会」を設置することを明らかにしました。(注4-8)
設置目的は、「区が将来的には跡地のまちづくりと一体となった建物更新等が望ましい」として「連携して事業を推進していく必要がある」というものです。
この連絡会の役割は、下記のとおりです。
- 開発協議会の協議のとりまとめにむけた連絡・調整
- 道路等の基盤施設整備の内容やスケジュール等の連絡・調整
- 「地区計画」の変更にむけた連絡・調整
- 将来のまちの管理運営方法や管理主体等についての連絡・調整
構成メンバーは、会長に中野区副区長、事務局に中野区まちづくり推進室、会員は開発協議会メンバーとNTT都市開発(株)、学校法人窪田学園、ブルンネン中野、中野第2スカイハイツ、警視庁、社会福祉法人鵜足津会、杉並区です。事業推進コーディネーターに(独)都市再生機構です。(注4-9)
今後の予定としては、12月に設置に向けた協議をおこない、1月までに設置、1月以降には適時開催としています。
12月4日の区議会では、拠点まちづくり担当参事は「(いろいろな個人、企業情報を除きましては)公開」する意向をあきらかにしました。(注4-13)
帝京平成大学、明治大学が07年12月3日から暫定利用の整備工事・・・住民説明会はしてください
今回の暫定工事は、2008年1月1日には学校用地して使用しているということを示す税金対策でおこなうものです。作業者の(有)帝栄高橋工業は、帝京大学の関連会社と思われます。
一枚のチラシによる案内で済ませるのではなく、どんな工事で、どんな影響が周辺にあるのか、住民は心配しています。是非住民説明会を行っていただきたいものです。
大学にも税金から補助金があるのではないでしょうか。この公有地の購入についても、随意契約でおこなわれ、民間よりも優遇措置を受けています。そもそも大学の存在意義は、社会的な課題について、社会的解決にむけて教育・研究する役割ではないでしょうか。こうした点からも、各大学には民間企業以上に、その社会的責任が求められていると思いますが、いかがなものでしょうか。
上記のチラシを見ると、もう仮設コートの整備工事は終わったのではないかと思いますが、12月18日の朝の状況は、整地したとは言えないような状況でした。まだ、まだ工事は続くのでしょうか。
2008年2月8日付「日刊建設通信新聞」によると、警察大学校等移転跡地の大学施設予定用地C区画(敷地面積が約0.8ha。警察病院の西側区画)の公募に早稲田大学(新宿区、白井克彦総長)が応募し、財務省関東財務局は、今月内に同大と見積もり合わせする方向で準備を進めているとのことです。
その後、2008年3月に、関東財務局は、売却先を早稲田大学に決定しました。
既売却部分は、こちらを参照してください。
「東京新聞」(08/04/16夕)によれば、「新キャンパスには海外留学生と日本人学生が同居する寮や語学教室などで構成される国際コミュニティプラザ(仮称)を建設。国際コミュニティプラザは十階建てで、一、二階を教室、三階以上を寮として利用する。寮では留学生と日本人学生二人ずつが四人部屋で居住。相互理解を深めながら語学力などの向上を目指す。計九百人の収容が可能」ということになっています。
中野区では、「中野駅周辺まちづくり計画」(05年5月)で、大学の立地として「ヒューマンサービス」「情報通信」などを例示してきたわけで、中野区の青写真が、この分野でも破綻の兆候がでてきたことになります。
杉並の福祉施設の新築工事は、08年1月に入札公告、3月に工事着工
07年12月4日の杉並区議会保健福祉委員会での報告によると、杉並区部分に開設予定の鵜足津福祉会が運営する特別養護老人ホームと障害者施設の福祉施設の新築工事は、08年3月に工事着工、09年7月ごろオープン予定です。
なお、この建設予定地の土壌汚染調査からは、環境基準値を上回る四塩化炭素(揮発性有機化合物)=1.1倍、鉛(重金属)=1.9倍が検出されました。そのため、詳細調査を行い、四塩化炭素は検出されず、環境基準の4.7倍の鉛が検出された。12月下旬までに土壌の入れ替えを行い、有害物質を除去することになりました。(参照)
フェンスで囲って土壌汚染処理を進めている様子。外部からは何をしているのかは、見ることはできません。
![]()
杉並区は、1月31日に住民説明会を開催し、公園予定地といしていた部分について、都市計画手続きにはいる確認をとりました。
今後、08年度に用地の買収、09年度に実施設計、10年度に整備工事に入る予定とのことです。
公園の設計等についても、今後住民と相談しながら進めていくことも、確認しました。
なお、杉並区が警大跡地を取得する部分は、全体で0.86haで、内0.5haが特別養護老人ホーム、0.1haが居宅介護施設、0.36haが都市計画公園になります。(跡地の処分予定図面はこちらです)
<資料>
中野駅周辺まちづくりに関わるコーディネート等の業務委託仕様書
「2006年度の調査結果」とする「中野駅地区整備計画案作成支援業務委託の成果について」を参照のこと
第3条 乙は、この契約について委託業務の全部又は主要な部分を一括して第3者に委託することができない。ただし、あらかじめ甲の承諾を得たときは、この限りでない。
中野区が契約書第3条について、受託者に調査したことがわかる資料は、「不存在」
各開発者へ、警察大学校等跡地に緑と青空の公園をつくる会、高円寺の環境を守る会が提出した質問状
NTT都市開発(株) 現在賃借人はLEC
NTT都市開発(株)についてはこちらにも登場します
岩波ジュニア新書「行政ってなんだろう」新藤宗幸著
2007年10月17日 中野区議会建設委員会
秋元拠点まちづくり担当参事 開発協議会の構成でございますが、これは中野区が主体となりまして、中野四丁目地区地区計画におきます、その中で再開発等促進区を定めたわけでございますが、その区域、それから地区整備計画の区域の地権者の方々と開発協議会を構成するわけでございます。その中に事業推進コーディネーターといたしまして、中野区が中野駅周辺まちづくりに係るコーディネート業務を委託してございます独立行政法人都市再生機構を含めるということで考えてございます。区からは、随意契約で委託契約したこと、日建設計等に再委託されていることについては発表されておりません。
2007年12月4日 中野区議会建設委員会
秋元拠点まちづくり担当参事 恐らく連絡・調整事項、多岐にわたる内容になるだろうというふうに思っております。したがいまして、いろいろな個人の情報にかかわること、企業情報にかかわること等が入ってくるかと思われますが、そういった部分を除きましては、公開していこうというふうに思っております。
開発業者との開発に関する基本協定書、規約・・・10月15日に決定・施行し、財務省、自警会、帝京平成大学、明治大学、東京建物(株)へ田中区長名で発送した。
2007年10月31日、12月20日、2008年1月24日の各開催通知
07年11月19日付け「建設通信新聞」によると、中野区は08年度予算案編成に向け検討中の主な取り組み案を明らかにしたとのことです。下記に、警大跡地に開発に関連した具体的な内容を引用しますが、このままいけば、08年度も相当多額の税金がコンサルに流れることになります。今年に引き続く部分は、再度URへ随意契約され、URからの再委託も随意契約で民間コンサルに、税金が流れる仕組みが作られるということでしょうか。
かつて「字句上の修正」作業でごまかした、警大跡地開発と矛盾する都市計画マスタープランについて、改訂作業が入ってことも注目されます。
- 中野駅周辺地区=整備構想の作成
- 警察大学校等跡地整備=地区計画の見直し、都市計画道路・公園の設計など
- 中野駅南口地区及び周辺まちづくり推進=南口地区と周辺のまちづくり方針などの検討
- 都市計画マスタープラン、みどりの基本計画の改定=区基本構想や基本計画の策定を踏まえ改訂
- もみじやま通り都市計画道路整備=事業計画策定に向けた調査・検討
- 本町地域のまちづくり=地区計画の導入やまちづくり事業の手法の検討のための現況調査・交通調査、本町2丁目郵政宿舎跡地の取得
なお、詳細は2007年11月16日の中野区議会建設委員会に資料配付されました。
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