「『中野駅周辺まちづくり計画作成等支援業務委託』にもとづく納品書」(2005年4月22日 中野区議会へ提出)について

高円寺北1児童遊園にて(2005年5月1日撮影)

 2005年4月22日の中野区議会中野駅周辺・警察大学校等跡地整備特別委員会へ資料として、上記のものが提出された。(区議会のHPの掲載され次第リンクします)それは、2005年3月30日に提出された「中野駅周辺まちづくり計画案」(以下「計画案」)の元になった中野区の調査委託先から納品されたものである。この委託先業者の納品物を分析することで、中野区が発表した「計画案」の問題点もより、明らかになる。

 納品されたものは、「地区計画検討支援業務報告書」、「都市計画参考図書」(「都市計画手続きの様式に落としたもの」納品者の説明)、及び「公共施設整備事業方策検討に係わる報告書」の3点である。

納品書が公開されて、さらに明らかになった問題点

  1. まず、中野区としてどういう計画にするか、その主体性が問われるが、この納品書をみるとそのほとんどが国、都の計画がどうなっているか、それを上位計画として絶対のものとして位置づけ、それらとの整合性をとることを第1にした「計画案」であったことがわかる。その結論を引用した「計画案」であるので、そこには、住民の要望、これまで90年代から1.5億円もの税金をつかって東京都、杉並区と合意した「転換計画」にたいする総括をし、どう発展させようとした「計画案」であるかなどひとこともない。これまでの90年代に積み重ねてきた経過を、一方的に白紙撤回した住民無視の「計画案」であり、住民よりも開発に進出する業者の利益を優先させた「計画案」である。その上で、基盤整備手法の検討などをしても、それは住民無視の計画をすすめるための検討手法でしかない。
  2. 高円寺北1丁目のとなりの区域1には、大学が予定されている。「都市計画参考図書」4頁をみると、壁面の位置の制限について、その対象外として「公共公益上必要な施設」(これには、通常、学校、病院等が含まれるとされている)としている。したがって、高さ制限規制の対象外というボーナスをつけていることになる。誘致しようとしている大学が「公共公益上必要な施設」なのか、敢えて定義していないのはなぜか。さらに、「計画案」になるとその記述を曖昧にしている。都市計画の手続きの様式として明らかにされているのに、その結論だけを「高度利用を図り」「用途地域を変更する」との記述にとどめている。「計画案」で記述していないのは、「高さ制限規制の対象外」との緩和措置を外したのか、それとも「高さ制限規制の対象外」するが敢えて記述をしなかったのか、中野区は明確にすべきである。
  3. 区役所となりの警大側の一角も、制限規制の対象外というボーナスをつけている。これについても同様に、「計画案」で記述していないのは、「高さ制限規制の対象外」との緩和措置を外したのか、それとも「高さ制限規制の対象外」するが敢えて記述をしなかったのか、中野区は明確にすべきである。
  4. 区域2,3については、ほとんどが「公共公益上必要な施設」であるにもかかわらず、この区域については「壁面の位置の制限」について空白にしている。「計画案」の「土地の高度利用を図る」と「都市計画参考図書」とのこのちがい、区域1,2について記述しておきながら敢えてこの地域についてはずしているのことについて、中野区は明らかにすべきである。
  5. 公園、公開空地などをどこがどう管理するのか、それらのランニングコストはどうするのかなど「計画案」でも区の主体性が全く入っていなかったが、それは、区の案の元となった業務委託先の案の「公共施設整備事業方策検討に係わる報告書」3頁をみれば明らかなように、委託先の報告丸写しであることがはっきりとした。開発者負担とさんざん言っておきながら、どこをどう負担させるのか、どこがどう管理するのか、区自身の方針がまったく不明確というものである。したがって、中野区の姿勢は、議会、住民説明会での開発者負担との説明とは異なり、「開発者への容積率アップのボーナス分で範囲内で公開空地、公園、道路等の整備を行ないたい」「採算ベースからみて入札参加できる開発者負担」「「過度な計画条件・制約は土地利用の妨げとなる」「開発業者によるまちづくりの自由度を確保しつつ、必要不可欠な開発条件とする」など、開発者あっての開発者負担であるということがはっきりした。
  6. 公開空地について、開発者負担でつくるなら、地域住民のための空地にするために、開発者の言われるままにならないようにしなければならないが、「計画案」には、そうするために中野区としてどうするのか、その担保について、具体的に示されていなかった。今回納品された文書にも、同様に全く検討がされていない。中野区は、その検討について委託先に依頼したのか、それとも納品文書について検討することもなく丸写しにしたのか、明確にすべきである。
  7. 「公共施設整備事業方策検討に係わる報告書」をみると分かるように、防災公園の面積は、広さの検討がまるっきりされていない。はじめから1.5haを前提にしていることがわかる。検討したのは、その位置だけである。安全性、避難地としての有効性なども全く検証されていない。この1.5haは区が委託する際に条件にしたのか、それとも区が委託先の言われるままに丸写しにしたのか、この経過を明らかにする必要がある。なぜなら、2001年の「転換計画」では4haの防災公園を中心にした考え方をとっており、04年の「考え方」では公園と空地の3〜4haの防災広場であった。ところが、「素案」「計画案」では防災公園1.5haに公開空地を加えた2haの防災空間に後退した上に、南側、東側には民間の高層ビルが計画された。その経過も問題がある。さらに、避難場所の多くを民間の空地に頼ることになるのに、その将来的な確保をどう担保するかなど、まったく検討がされていないからである。
  8. さらに、避難場所としての課題については、中央防災会議の被害想定にもとづいた地域防災計画の見直し、その新たな計画との整合性が求められていることは、区民、議会でも指摘されていた。その点についても、納品書に課題として検討した形跡がない。中野区が委託する際に、そのような視点がなかったということなのか、それとも委託先の納品書についてそうした観点ももつことなく丸写しにしたということなのか。
  9. 先行して整備される警察病院について、今後進出する開発者と平等に開発者負担の原則を適用するのか、「計画案」には明らかになっていなかったが、納品文書でもあきらかになっていないし、検討された形跡もない。さらに、開発者負担の原則、公開空地の提供については、中野区として議会、区民にははっきり示していないが、業務委託先には警察病院についてはこれらの原則は例外であるとしめしたということなのか、明確に示すべきである。既存樹木の確保について、区民との間で、杉並区との間でも大きな問題になっているのに、「計画案」にも納品文書にも一言もでていない。中野区として、まったく「計画案」の中に想定されていないということなのか。
  10. これからのまちづくりには、地球温暖化、大気汚染、ビル廃熱などの環境問題、少子高齢化社会と人口減少を考えた都市計画、大規模建造物が将来抱える莫大なコスト、乱開発による公共コストの増大等々、改善の視点が必要である。特に、公有地を使った計画には、50年後、100年後を考え公有地ならではの都市計画にする努力が求められている。しかし、「計画案」にも、納品書にも、全く検討の形跡もない。納品書では、「環境への影響に対する配慮」として、屋上緑化、自然エネルギーの活用、下水道廃熱の利用、ライフラインのついては中水道の利用など、上げている。これは、一般的には容積率のボーナスにつながるものとなっている。当該地域においても、これら環境への配慮をすることによる容積率のアップが行なわれるとすると、一体どの程度を見込んでいるのか明確に示すべきである。また、納品書では、交通問題について、自動車の動線、駐車場の問題をとりあげているが、一体この計画によりどの程度の自動車交通量の増大があるのか、全く検討されていない。「計画案」に至っては、交通需要の増大に耐えうる基盤整備を盛んに強調している。「地区全体の自動車交通需要発生を抑制しながら」といっても、交通需要増大の検討は全くしていないし、大気汚染対策も不十分である。また、2005年度以降でも竣工予定がはっきりしている大規模オフィスビルは千代田、中央、港など超都心で100万u供給されるといわれているが、大規模建造物が将来抱える莫大なコスト、超都心の供給過剰との整合性などの検討はまるでされていない。他の問題点と同様に、中野区が委託する際に、そのような視点がなかったということなのか、それとも委託先の納品書についてそうした観点ももつことなく丸写しにしたということなのか。

都合の良い引用を随所にした受託企業の「上位計画との整合性」の検討・・・中野区は丸写しするのか

 中野区は、今回の「中野駅周辺まちづくり計画」の策定を企業へ委託していますが、そこから出された納品物には、「上記計画との整合性」が検討されています。それは、上位計画を絶対のものとして位置づけ、それらとの整合性をとることを第1にした「計画案」であったことがわかります。しかし、それにしても、その「上位計画」の引用の乱暴さ、偏りがあまりにもひどいのではないでしょうか。中野区は、こうしたものを丸写して、「中野駅周辺まちづくり計画」をつくっているのでしょうか。

@「東京の新しい都市づくりビジョン」について

まったく関係ない部分を引用して使用しているが、引用すべき所は、こちらに記述した通りです。

A「都市計画区域マスタープラン」「住宅市街地の開発整備方針」について。

 警大跡地は、木造住宅密集地域でもなく、工場跡地でもありません。貴重な緑豊かな公有地です。わざわざ、関係部分をどうして引用したのか不思議でなりません。防災s上重要な避難地の確保は防災性の向上の課題になっていないとでもいうのでしょうか。その他、都市景観、環境共生など、本来引用すべき箇所は、どこでしょうか。

たとえば、市街化区域内の緑地又は都市の風致の維持に関する方針
・ 周辺区部で、地区内に環境資源が残存する地区では、地区計画等を活用
し、それらを保全、活用したまちづくりを推進する。
・ 良好な自然環境を有する土地は、自然的環境と調和した豊かな都市の風
致を維持する。

という部分など、どうして引用していないのか不思議です。

B「都市開発諸制度活用方針」について。

 この「方針」が、どういう性格のものか見ると、はじめの部分に「(都市づくりビジョン)の将来像を実現していくため」と書いてあります。したがって、警大跡地の方針は、上記にも書いたように、「環状7号線の周辺など救援、復興活動拠点となる大規模公園の迅速な整備を推進する」「国有地を、公園用地として活用できるように、用地の無償貸付等を国に求めていく」というものですから、ここの引用は、まったくあたりません。

 貴重な公有地を住民のためにつかうことのできるように行政として努力するのではなく、様々な文書を引用して整合性を持たせているかのようなポーズをとって、結局、警大跡地を利用して大きな利益を上げようとする開発業者の手に渡すために策をねることに行政が努力しているにすぎないのではないでしょうか。このような調査のために、膨大な税金をつかうことが、どうして区民の利益につながるのか理解できないというのは、私だけでしょうか?

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