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10.ティーブレイク ・困った奥様方・2

 @マシンガントーク奥様

 その月の月末は早々と契約も終わり気分的には余裕がありましたが、来月のノルマを考えるとあまり休んでもいられないので、来月契約予定邸名を探しに地道な宅訪をしていました。当時は潜在顧客の発掘→そして契約。毎月これの繰り返しでいつも張り詰めていたように思います。現在の市場環境からすればだいぶ楽だったでしょうが、当時はいつもアップアップの状態でした。
 そんな時私の目の前にその奥様は現れました。私が玄関先でお決まりの挨拶をするとその方は「どうぞ、どうぞ」と私を中に招き入れてくれました。そんな簡単に家の中に入れちゃっていいのかなとは思いましたが、心の中では「ラッキーかも?来月予定邸名だ。」と勝手に思いをめぐらせていました。
 でも数時間後私の思いはもろくも崩れました。それから今のご時世詐欺まがいの悪徳業者もいるので、部屋の中に招き入れる場合は十分気をつけて下さい。(もちろん私は当時も今も悪徳業者じゃございません)

 話を戻して、私がそのお宅を訪問したのは、たしか19:00頃だったと思います。そして椅子に座るやいなや、マシンガントークが炸裂しました。かいつまんで言えば、昔の亭主の悪口なんですがその内容は

 昔の夫は仕事はできたが、外に女は作るし家庭を顧みなかった。でも今の夫は違う。仕事はできないが、休みの日には家族でテニスをやったり、なにより家族を大切にしてくれる。連れ子の子供達も今の夫を慕っている。さらに「女はどんなに収入が少なくても愛があればやりくりするものなのよ。」と夫婦の機微などわからない24、5歳の若造をつかまえて、話すこと4時間あまり、話に割って入るすべもなく、時だけが虚しく過ぎていきました。
 さすがに23:00もまわり、「ところで住宅のご計画の方は?」とたずねると、「ないわよ!」とあっけらかんとした返事。「えー」もう苦笑いしかありませんでした。どうやらすっきりしたのは奥さんだけだったようです。まあこういう方なら悪徳業者もタジタジでしょう。

 それから30分後私は無事開放され、帰り道西湘バイパスを走る私に、湘南の風だけが心の傷を慰めてくれました。「あーあ、あしたもがんばろう。」


 Aなみだ、涙

 打って変わって、二世帯住宅をご検討中の奥様。なにより当社を第一希望と考えておられ、モデルハウスでも接客につい力が入っていました。女性が気にってくれれば第一関門突破。契約の可能性は70〜80%だと勝手に頭の中でシュミレーションしていたのは言うまでもありません。

 そして第一回目の打ち合わせ。しかしまたしても私の思いはもろくも崩れました。何かが違うんです。打ち合わせの雰囲気が契約できる時の打ち合わせのそれと違うんです。打ち合わせに一生懸命なのは奥さんだけで男衆(夫や父)の感触が非常に悪いんです。奥さんはキッチンセットは何にするとか、ここのプランニングはどうするとか、もうすでに契約済みのような感じなのですが、男性陣とはどうもしっくりこないのです。
 この悪い雰囲気を変える事もできず、淡々と打ち合わせが進み、我々が退出する頃には「明日には結論を出します。」との回答をもらいました。その時の奥様の口調はもう「おたくにお願いします。」と言わんばかりでしたが、私はすっきりしないままお宅をあとにしました。またさらに悪いことに、この後もうひとつのメーカーとの打ち合わせも控えており、形勢がますます不利なっていくにも関わらずなす術なしの状態でした。

 ここに書いた内容は何の根拠も無い営業の勘ですが、良い勘は当たらないけど、悪い勘はまず100%当たります。今回も翌日奥さんからの連絡はありませんでした。こちらから電話をしてみると、やっぱり夫や父が反対しており、お金を払うのは男なので最終的に奥さんが折れたようでした。その後上司も奥さんに連絡してくれましたが、当然結論が変わるわけでもなく、ただ私に悪いことをしたと泣いていたということでした。

 せっかく楽しいはずの住宅建築が最後に奥さんの涙で終わり後味の悪いものになりましが、あの奥さんならきっと良い家を建てたことでしょう。でもこういう事に強く男が口出しするのはどうでしょうか。家の中であまり男の意見が強いと子供や妻が男の顔色をうかがうようになります。こういう家はいただけません。なんせ契約できませんでしたから。(終)