武蔵野電機製作所 - RV25 シングルアンプ

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Telefunken RV25 シングルアンプ

アンプ製作例
No.1001
型式番号
POA-RV25S-101
システム型番
POA-RV25S-S1
製作区分
一品特注
納品日
21.4.29

本体全景

事の発端

 全ての事の発端は、ある真空管を卸している方が、今回のお客様に様々な古典管の音を聞かせたことです。そのときはK先生作のユニバーサルアンプでの音出しでしたので完璧な条件ではなかったのですが、お客様は数ある球の中でもテレフンケンのRV25とウエスタンの212Aの音にいたく感心した模様でした。

※確かに、両者ともパワーと音が両立する珍しい球だと思います。

 予算内で出来上がりそうだということで、お客様はその中からRV25を選択されました。そのときに小生が参考として持っていた回路をご採用頂き、製作依頼という形になりました。
 出力管をはじめとする球は、その真空管を卸している方が多量に所持されているということで、全てドイツ古典管で固めることにしました。但し整流管RG62Dのみ当方で確保しました。


RV25という球

 なかなか日本では知られていない球だと思いますが、プレート損失180Wmax、プレート電圧1800Vmax、フィラメント13.6V/4.4Aという、堂々たる大型出力管です。規模的には212と211の中間点に存在する球と言って良いでしょう。但しフィラメントは純タングステンですので大食らいになっています。

 今回はプレート電圧1200V、プレート電流95mAで動作させることにしました。設計最大出力はシングルとしては大きい25Wです。動作中の写真ではプレートが赤熱していますが、ジルコニウムゲッタの球ですので、まったく問題ありません。
 ちなみにRVのRはRöhere(真空管)、VはVerstäker(低周波増幅器)を意味します。

RV25動作写真

回路設計

 基本はドイツのシアターアンプ、PAアンプの回路を踏襲する事にし、周波数特性だけは現代ソースに合うように少々調整することにしました。

全回路ツナギ

 計算上の周波数特性は15Hz~16kHzで-3dB落ちるようになっています。
 また、初段REN904、励振段REN1104は年代は合いませんが、μの適当さとスプレーコーティングの効果に期待してのことです。

年代を合わせると、REN1004-REN1104か、REN804-REN1104になります。

 初段や励振段のバイアスは普通の自己バイアスにしようかと思ったのですが、ドイツ式のバイアス回路を採用しました。
 電源部は高圧系と低圧系、そして出力管バイアスを分離、それぞれRG62D、RGN1054、RGN354を宛い、フィラメント以外は全部球整流としました。
 電源関係はリレーシーケンスと過電流保護回路で安全を確保しています。

お客様からの指定設計

 電源トランスは弊社採用品中、最も優秀な成績を収めているU電機製をおすすめしましたが、どうしてもということでお客様指定メーカのRコア電源トランスとなりました。
 また、出力トランスにファインメットコアをご希望されましたが、既製品に存在しないためアモルファスコアのものを採用しました。
 監視メータの取付もご要望頂きました。ただしお客様指定メーカではJIS認定がないため、当方から何社かをご提案し、その中から官公庁及び電力向けで特に実績のある東洋計器KK製を採用しました。

部品収集

 低予算プロジェクトでしたので、出力トランス始め在庫部品は総動員しました。
 特に入手に問題があったのは、UFソケットです。これの良品を探索するのには苦労しました。

製作

 とにかく重く大きいアンプですので、使い勝手を考慮して、キャスター付きの19インチラックにマウントすることにしました。
 製作上苦労したことは、とにかく重いことで、初春にもかかわらず大汗をかきながらの作業となりました。また、高耐圧ポリエチレンケーブルは被覆が厚く硬いので、取り回しに苦労しました。
 納品後に気づいたのですが、実験室のアンプラックを置いていた床が重みに耐えきれず、若干へこんでしまいました。

1ユニット

測定

 製作途中から判明したことですが、Rコアトランスからの漏洩磁束が想定以上に多く、ハムが3~4mV(無補正 A補正で100μV前後)と取りきれない状態となりました。左右のコイルのアンペアターンがアンバランスしていること、設計磁束密度が高すぎることが原因と思われました。また、Rコアトランスからの唸り音も気になりました。
 電源トランスを交換し、最悪組み直しも検討に入れてお客様と協議しましたが、現在の残留ハム、及び唸り音でOKとのことで、現組み合わせでの納品となりました。
 当方の実験室のスピーカ(三菱電機2S-305)でハムが気にならないことから考え、実用には支障ないと当方も最終的には判断しました。

入出力特性歪率特性周波数特性

 歪率カーブが低振幅領域で上がっているのが、ハムの出ている証拠です。
 周波数特性はほぼ計算通りになりました。
 最大出力は5%歪率時で27Wと、定格値を若干超えた形です。

納品及び現地調整

 納品は21.5.18を予定していたのですが、色々の事情から21.4.29となり、弊社直接運搬で行いました。
 現地調整として付属の入力、出力ケーブルのお客様指定品への取り換え等を行いました。

ユーザーレポート

 納品の折、お客様より下記の評価をいただきました。

古典真空管アンプの回路から作ったものであるので、ナローレンジであるかと思っていたが、以外とその様なことはなく、なかなか良い音である。