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≪特別企画≫

あやしい求人2005

平成17年3月  作成
平成18年4月7日公開


T.台頭する新しい求人メディア
U.下落した雇用の質
V.フリーペーパー求人誌調査   1.まともでない雇用
  2.でたらめな職業名続出!
  3.良心のカケラをお持ちの事業主の方への提言
W.最後に 〜職業について真剣に考えよう〜
あやしい求人一覧

T.台頭する新しい求人メディア

かつて求人メディアと言えば、@職安、A新聞・折込チラシ広告、B求人誌が三大メディアであった。
1990年代後半より世の中の激動の中で、@ITの普及、A長期不況対応のため人件費削減と雇用形態の多様化の2つが求人メディアにも影響を及ぼした。
この背景に呼応して、求人メディアは昨今では「インターネット求人」「派遣登録」「フリーペーパー求人誌」が著しくそのシェアを拡大した。
学業を本業とし副業としてアルバイトをする学生にとっては、求人アイテムが増えて、仕事探しは選り取り見取りでいいこと尽くめというところだか、仕事を本業とする社会人は喜んでばかりもいられないことが起きている…。

U.下落した雇用の質

昨今、様々な形で正社員以外の身分の雇用が作り出されている。
「非正規社員は、労働者にとっては自由な働き方ができ、多様な選択肢が増えてよいことだし、会社にとっても人件費が削減できて、臨時的雇用のため会社の経営環境の変化に対して柔軟に対応できてよいことだ」ということで広まったが、労働者側のメリットは建前に過ぎなかったことはもうみんな気づいている。→非正規社員のページ参照
また正社員にあっても成果主義の台頭により、厳しいノルマや深夜に及ぶ長時間残業、成果を出せない者の解雇、成果による賃金の著しい変動、違法商法など極端な例が見受けられる。
労働行政もこのような時代の変化に合わせて遅れながらも対応をしているが、国の管理による職安以外、管理の手が及び難いメディアでは、違法・不適切求人も多く出されている。

V.フリーペーパー求人誌調査

1.まともでない雇用

求人の目的はいうまでもなく社員の獲得であり、広告記事掲載の目的は、読者に求人記事を読んで応募したいと思わせることである。そのためには「雇用条件をしっかりと知らせること」が大前提である。
求人における重要な提示項目は次のとおりである。

1.勤務地

自宅から通勤可能な距離か。通勤手段は便利か。

2.職種

どういう仕事をするのか。事務、営業、製造、開発等。

3.雇用形態、役職

どんな身分での採用か。正社員、アルバイトなど。

4.賃金

給料はいくらか。どういう計算方法か。月給か時給か。歩合給か定額給か。

5.勤務時間、休日、雇用期間

働く時間、働く日、働く期間はどれくらいか。

6.業種

何の仕事をしている会社か。

求人募集に当たっては、最低条件としてこれだけは外せない。
応募する立場に立って考えれば当然のことである。
この点をフリーペーパー求人誌で見てみると、確かに多くの求人記事にはこの6項目が揃ってはいる。しかし、あいまいで正確に労働条件が理解できない記事も多い。明瞭に書くと不利なのでわざとボカしているケースもある。業種を表示しない広告が時々目に付く。
業種を表示する意味は何を取り扱っている会社なのかを知らせることによって仕事の内容をより具体的にイメージさせるためであって、人材派遣業や業務請負業にあっては派遣・請負先の業種を表示しなければ意味がない。
まじめなビジネスを行っている会社なら、適材者を採用したいと思うから、求職者には「雇用条件をしっかりと理解して欲しい」と思い、その結果、明瞭な募集広告となっている。
それに対して、限られたわずかな紙面の中で「写真」や「絵」や「コピー」が溢れているような広告がある。たいていは「若手社員の笑顔や親睦会」の写真であったり、「明るく楽しい雰囲気です、素晴らしい出会いがあります、草野球チームも楽しく活動中、若いスタッフは皆仲良しで雰囲気は抜群、夢をつかもう!」などのコピーである。
具体的にPRできる特色がない会社は、こういった仕事と直接関係がない実態のないイメージ戦略で応募を促す。当然必要な情報が欠けていたりする。雇用条件がまともでないか、違法なので載せられないのである。 採用されて出勤すると「うまく引っかかった」と思って散々に酷使する。辞めようとするとのらりくらりとなだめすかし脅して引止めにかかる。
不明瞭な求人広告は、まともでない雇用を疑う第一歩である。
表題の「怪しい求人」とは、「まともな雇用でない可能性のある求人」という意味で使った。
「まともでない雇用」とは次のとおりである。
1 雇用契約がまともでない(定めない、明確でない、守らない) 1 職務内容 後からあれもこれもやれと言ってくる。
2 賃金 約束どおり払わない。
3 勤務時間・休日 契約外時間の勤務を強制する。
4 違法契約 そもそも契約内容が違法、不備、無効である。
2 職場・会社がまともでない 1 業務・職務内容 違法行為、詐欺まがいの営業・業務活動を行っている。
自分の仕事の役割や期待がわからない。
2 説教・強制 あれこれ難癖をつけ、奴隷労働を要求する。
3 管理体制 無茶苦茶な職務命令が出る。
人がころころと変わる。
誰が何の仕事をやっていて、誰が上司かわからない。
みんな仕事以外の勝手なことをやっている。
管理職がいばりくさっているだけで仕事をしない。
最初から必要なことを教えない。
ミスを部下のせいにする。
4 人権侵害・差別 イジメ、セクハラ、パワハラ等が横行している。
女性差別やえこひいきが横行している。
5 人材 社員の中に性格異常者等がいる。
世の中で起きている雇用トラブルのうち8割以上は使用者の方に原因がある。
企業がまともでない雇用を作り出していることが原因である。
労働者が雇用のトラブルを未然に防ぐための最初で最大の機会が、求人応募時における応募先の見極めである。その入り口が求人広告である。

2.でたらめな職業名続出!

今回フリーペーパー求人誌に目が留まったのは、「職業名」だった。
驚くほど多くの求人に付けられた横文字でネーミングされた募集職種名。
職業、職種とはどういうものかは先のページで触れたところである。
「職業のページ」参照
もっとも「職業」という言葉は法令用語ではなく、一般的に用いられる用語であることと、昨今における産業形態の変化・多様化の早さと法律改正の遅さは相当のタイムラグがあることから、世間一般で認められている職業名であれば、国が定める職業分類に載っていなくても必ずしも不適正であると言うつもりはない。
しかしながら、フリーペーパー求人誌に登場した実に多くの聞きなれない職業名。「標準職業名」に未掲載であるのはもちろん、社会からまったく認知されていない、個別企業が勝手に作ったネーミングの職業が大半を占めていた!!
あまりのひどさにはあきれ果てた末、そのままそのメチャクチャぶりを整理してみようと思い立った。
それが別表一覧表である。→「あやしい求人一覧」

3.良心のカケラをお持ちの事業主の方への提言

◎専門ノウハウの乏しい人材を「○○アドバイザー」「○○カウンセラー」などとして採用し、職務遂行させるのはやめてほしい。
顧客を軽視しているとしか思えません。社内では本当にそういう名称で呼んでいるのでしょうか?
また、本人も家族や友人から職業を聞かれたときに「○○アドバイザー」をやっています、と答えているのだろうか? 人ごとながら「こっぱずかしい」気持ちを覚えます。
まさに「あやしい会社」そのものです。
◎無節操にカタカナ職種を自分勝手に作り出さないでください!
そんな職業、世間では誰も認めていませんよ。
単にエイゴを使えばいいってもんじゃありません。
◎悪徳商法で世間を騒がす住宅リフォーム業界は求人も要注意!
数年前にブレイクした住宅リフォームブーム。
このブームに乗じて多くの悪質業者が参入し、多くの人々が詐欺被害に会い社会問題ともなっている。
職種に焦点を当てた今回の調査から、まったく意図していなかったにもかかわらず、住宅リフォーム業全般の雇用環境の危うさがあぶりだされた形となった。
一部では同業界の元社員などから内部の悲惨な裏話も盛んに語られており、今回はそれを裏付ける結果となった。
まじめに活動している業者のためにも業界団体が是正に乗り出されることを望みたい。
ちなみに住宅リフォーム業で募集されているカタカナ職種名はすべて個々の企業が勝手に作った名前であり、世間はどれも認知していない。
◎ヨコ文字の命名に熱心になる前に社長や人事担当者は、組織人事をもう少し勉強していただきたい! 
 〜営業職とアドバイザー等の違い〜
職種とは仕事の種類であり、要するに「期待する成果は何か」によって分かれる。
「営業職」は「売上、成約」を目的に行動する職種であり、一方「(企画)提案・コンサルティング・アドバイス職等」は「当該業務の遂行そのもの」が仕事の目的である。当該業務は会社によって、契約の中身そのものであったり、契約前の営業行為の前段階としての説明であったりする。いずれにしても両者はまったく求めるものが違う仕事である。
商品・サービスの多様化と共に営業職も高度化した職能が求められ、いわゆる昔の「御用聞き」で職務が達成できるような単純な営業職は今やほとんど姿を消し、昨今では営業といえば、当然に「企画提案営業、コンサルティング営業」を指す。
コンサルタントとコンサルティング営業は職能は近いがまったく違う職種である。

W.最後に 〜職業について真剣に考えよう〜

今まで日本では職業についてあまり重要視されてこなかった。大事なのはどこの会社に就職するかであった。その証拠に「転職」と言えば、職を変更することではなく、所属する会社を変更することを指している。
日本ではこれまで職業を聞くより、所属会社を聞くほうが、その人がどういう人かを判断できる要素が強かった。所属会社によって生活水準や知的水準、文化水準が概ね類推できたからである。
しかし、生活水準の全般的向上と価値観の多様化、産業構造の変化、終身雇用の崩壊等によって、所属会社の意義は薄れ、相対的に職業の意義が高まってきた。
「どこに勤めるか」より、「何をするか」が大事になってきた。
フリーター現象は、まさにそういうことから始まったものである。
自分はどんな職業に就きたいか。これを追求することが人生にとってますます大切になってきているのが昨今の日本社会である。
私は20年前からずっと思っていたことがある。
人生を生きる上で、「どこで」「誰と」「何をして」生きるかはしっかり自分で決めたい、と。
しかしその現実は…。先進国たる日本にあって、たったこれだけのことを実現することでさえ困難であった。
私はそうであったが、21世紀を生きる将来ある若者の皆様には、是非実現して欲しいと心から願う。