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派遣・請負・業務委託と崩壊した労働社会

平成19年9月30日

役務提供等の用語解説


目 次
第1章 社会問題化した偽装請負事件
第2章 雇用形態と請負(業務委託)社員 T.雇用形態
U.請負(業務委託)社員
V.横行する違法契約
W.違法契約の影響
第3章 間接雇用 T.間接雇用とは
U.間接雇用の弊害
第4章 労働者派遣法 T.現在の派遣法
U.派遣法の成立と改正の歴史
V.派遣法成立の意義
W.派遣法がもたらしたもの
X.政府の責任と国民の責任
第5章 崩壊した労働社会と再生への道

第1章 社会問題化した偽装請負事件

2006H18)年夏、マスコミは偽装請負について大々的に報道し、国会から世間の隅々まで大々的に論じられた。政府や監督官庁や大手企業はその対応を急ぎ、収束するかに見えたが翌2007H19)年になっても更に派遣・請負会社の不正は続いた。以下はその主なニュースである。
発覚年 企業名 立場 内容 備考
H18年夏 大分キャノン(キャノン子会社) 請負先 偽装請負
H18年夏 キャノンファインテック(キャノン子会社) 請負先 偽装請負
H18年夏 キャノン化成(キャノン子会社) 請負先 偽装請負
H18年夏 日立製作所 請負先 偽装請負
H18年夏 ニコン 請負先 偽装請負
H18年夏 松下プラズマブィスプレイ(松下子会社) 請負先 偽装請負 ・偽装請負の是正指導を受けた後、今度は偽装出向で巧妙に偽装請負を画策。
・訴えられて直接雇用に切り替えたもののその中身は短期契約雇用で期間満了を以って雇止めするという実態だったことが判明。
・内部告発者を隔離する差別的扱いをしていたことが発覚。
H18年夏 光洋シーリングテクノ(トヨタ孫会社) 請負先 偽装請負
H18年夏 トヨタ車体精工(トヨタグループ) 請負先 偽装請負 労災隠しも発覚
H18年夏 自動車部品工業(いすゞ系) 請負先 偽装請負
H18年夏 コマツゼノア(コマツ子会社) 請負先 偽装請負
H18年夏 シャープ亀山工場 請負先 偽装請負 労災とばし多重派遣が発覚
H18年秋 コラボレート(クリスタル子会社) 人材派遣会社
(請負元)
偽装請負 初の事業停止命令
・以後「構内請負」から撤退し、自社工場での生産受託に切り替える方針を発表
H18年秋 パナソニック半導体オプトデバイス(松下子会社) 請負先 偽装請負
H18年秋 日野自動車 請負先 偽装出向
H18年秋 日亜化学工業 請負先 偽装請負
H19年春 グッドウィル 人材派遣会社(請負元) 管理費給与違法天引き 二重派遣禁止業種派遣も行っていた。
H19年夏 フルキャスト 人材派遣会社(請負元) 禁止業種派遣 事業停止命令。管理費の給与違法天引きも行っていた。
派遣・請負業者の数は増え続け、中小事業者の中には多重派遣等で中間搾取を行って荒稼ぎをするものも大量に発生している。

2章 雇用形態と請負(業務委託)社員

T.雇用形態

現在日本で存在している雇用形態には、@正社員、Aパートタイマー、Bアルバイト・日雇、C契約(嘱託)社員、D派遣社員、E請負(委託)社員等の形態がある。
(「非正規雇用のページ U.主な雇用形態の種類とその内容」参照。

U.請負(業務委託)社員

請負(委託)社員」というのは、正確な呼び方ではない。
「社員と類似した存在の個人請負(委託)事業者」が現に多く存在するようになったことからこのように呼ばれるようになったが、そのこと自体が問題である。
「社員」とは、会社と「雇用」契約を結んで働いている「労働者」を意味する言葉であるのに対し、「請負委託)」は、「雇用」ではないのだから、用語の中に既に矛盾がある。
雇用と委託(請負、委任準委任)は、その違いによる影響が甚大であるため、しっかりと区別されなければならない。
雇用と委託の区別が不明瞭な形態の場合は、昭和60年(1985年)労働基準法研究会報告「労働基準法の「労働者」の判断基準について」によって労働者か否かを判断することにより判別される。
しかし事業者の中には、社員募集の広告を出して、社員応募者と委託契約を結びながら、自社雇用の社員と同様の仕事をさせている者も少なくない。このようなケースは明らかに雇用であるのに業務委託(請負または準委任)契約を結んで働かせている悪質なケースである。
請負(委託)社員」と呼ばれる者に、もうひとつ別な形態、意味がある。
構内請負(委託)の業務を職務内容とする労働者」のことも請負(委託)社員」と呼ばれている。
彼らは、就業場所が他社の事業場であるだけで、当請負会社の正社員またはパートタイマー、アルバイト、日雇、契約社員である。
しかし職場が委託会社の事業場で、委託会社所属の社員と一連の仕事の連動性を持って働いているため、職場全体から見ると委託会社所属の社員に対して請負(受託)会社所属の社員を区別するために、「請負社員」と呼ばれるようになっている。
しかしこちらの意味の請負(委託)社員」もやはり、職場が委託会社の社員と一体化して、委託会社社員と同様の命令系統の中で仕事をさせている違法請負のケースが少なくない。敢えて「請負社員」と命名されるようになった主な理由は、このような違法労務管理が原因であり、そのことが問題である。
請負(委託)社員」と呼ばれる者には、上記のように@個人委託の事業主、A請負(委託)会社の構内請負労働者、の2通りがあるので言葉の用法には注意が必要である。

V.横行する違法契約

現在、次の2点の違法行為が企業社会に横行、蔓延している。
@委託者が、個人である受託者と契約する業務委託等の名を借りた「雇用」逃れ。(前項請負(委託)社員」@のケースの一部)
A委託者が、業者である受託者と契約する請負、業務委託等の名を借りた「労働供給」・「派遣」逃れ。(前項請負(委託)社員」Aのケースの一部)
昨今大々的に報道された偽装請負事件(前述第1章)は、Aの例である。
また、この原稿を書いている本日(H19.9.28)、次のようなニュース報道があった。
「宅配業でバイク便ドライバーは、今まで委託契約によって就労していたが、実態は雇用であるので、雇用に改めるよう配送業者に指導する」、というものだった。このケースは@の典型例である。
いずれも法的には契約書の名称や形式ではなく、実態で判断されるため、契約形式と実態が異なっていれば、異議を唱えることにより、契約の当初に遡って実態に即した契約が結ばれていたものと判断される。

W.違法契約の影響

(1)業務委託契約による雇用逃れの影響
本来なら雇用であるのに、業務委託契約を個人と結んで業務を行っている場合、受託者は本来労働者であるのに、個人事業者とみなされている。
受託者にとってその影響は大きい。労働者としての権利が認められないからだ。

認められない労働者の権利とは例えば以下のとおりである。
●社会保険、労働保険が適用されない。
@業務遂行中事故や災害にあった場合、労働者に支給される労災保険給付が支給されない。
A契約が切れた時、雇用保険の失業給付が支給されない。
B健康保険と年金は、自分で加入する。年金の場合は、個人で加入した場合、基礎年金しか該当せず、厚生年金の分はないのでその分だけ受給額が少ない。

●責任がすべて自分にある。
自分の業務遂行におけるあらゆる社会的責任が自分にかかってくる。
通常の個人事業主なら当然の話だが、委託者の指揮命令下で起こった事故、賠償責任などあらゆる問題は、委託者(雇用者)が負うべきであるのに、自分で負うことになる。

●契約終了時、契約中途打ち切り時の保証がない。
労働者であれば、正社員をいたずらに解雇できないことは当然であるが、契約社員であっても長期で雇用されている者は、雇止め(契約更新をしないこと)が認められない。
契約社員の契約中途打ち切りは解雇に当たり、正当な事由がなければ無効である。
しかし業務委託契約は、契約期間終了とともに当然に終了し、再契約するかどうかは契約者双方の意思次第である。業務の都合で、契約が途中で一方的に打ち切られることもある。

●報酬(給与)、稼動(労働)時間等契約条件に不利なことが多い。
@労働者であれば、労働基準法の賃金に関する諸規定が適用されるが、業務委託契約では契約で定めた報酬が支給されるだけである。その場合、最低賃金法(労基法第28条に基づく)が適用されず、最低賃金を下回るかも知れない。最低保障給(労基法第27条)が適用されず、完全出来高払いの契約で報酬が0円の月があるかもしれない。一緒に働いている委託者に雇用されている社員と比べて、賞与がない、昇給もない。
A労働者であれば、労働基準法の労働時間に関する諸規定が適用されるが、業務委託契約では、基本的に自らの責任と判断で作業をするので労働時間という概念はない。しかし実際は委託者の指揮命令下にあるため、長時間労働を強制された上、残業手当に相当する報酬は出ないかもしれない。

●契約・就労トラブル時のフォローがない。
労働者であれば、雇用者が労働者の就労に関する違法行為を行った場合、労働基準監督署、労政事務所、都道府県労働局、労働組合など様々な相談機関があり、労働審判法、個別労働関係紛争解決促進法など特別な紛争解決手段があるが、業務委託であれば、民事訴訟裁判しか解決手段がない。
(2)請負契約による労働者供給逃れの影響
労働者供給は別名「間接雇用」という。間接雇用の弊害は、次章に譲る。

3章 間接雇用

T.間接雇用とは

間接雇用とは使用者と労働者の間に、労働者を指揮命令して就業させる第三者が介在する雇用形態のことをいう。

労働基準法第5条(強制労働の禁止) 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
労働基準法第6条(中間搾取の排除) 何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
職業安定法第44条(労働供給事業の禁止) 何人も、次条に規定する場合(=労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けた場合)を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行なう者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

戦前の日本では、人身売買や強制労働、中間搾取等の悪しき商習慣が広まったことから、戦後はGHQが前近代的な雇用慣行として廃止し、上記に定められたように、原則として労働者供給事業は行えないような法制度が確立されてきた。
つまり、自己が労働契約により保有する(使用権を持っている)労働者の労働力は、専属的に自ら利用(直接雇用)するものであって、他の者の支配下で労働(間接雇用)させることを禁じてきたのである。

U.間接雇用の弊害

現在の日本でも、人身売買、強制労働は外国人労働者や風俗業など表に出にくいところで行なわれているようだが、通常の大多数の庶民には無縁なもの、過去の歴史となった。
しかし間接雇用の弊害はこれだけではない。

●「同一労働差別賃金」が広まる元となり、賃金は直接雇用と比べ低く抑えられる。
●「生涯継続雇用」が困難になる元となり、生計の維持が不安定になる。
●労働者の権利保護の制度が、なし崩しにされる。
 @企業別労働組合の形式を採る日本では、労働組合法による労働基本権が実質的に奪われる。
 A実質支配する者が雇用者でないので、雇用者の雇用責任・義務を定めることによって労働者の保護を意図した労働基準法等が、実質的に機能しない。
●社会保険制度が十分に適用されず、病気、ケガ、失業などまさかのときの保障も老後の保障もない。
なお、現在日本に合法的に存在している雇用形態のうち、唯一、間接雇用に当たるものが「派遣労働」である。

4章 労働者派遣法

T.現在の派遣法

(「労働者保護法のページ 3.派遣労働者の法律」参照。

U.派遣法の成立と改正の歴史

時期 主な内容
1985(S60)年7月5日公布、1986(S61)年7月1日施行  16業務で派遣解禁  
1996(H8)年6月19日公布、同年12月16日改正施行  26業務に派遣拡大
1999(H11)年7月7日公布、同年12月1日改正施行  派遣業務の原則自由化
2003(H15)年6月13日公布、2004(H16)年3月1日改正施行 製造業への派遣解禁、期間経過後直接雇用義務、派遣可能期間延長  

V.派遣法成立の意義

間接雇用(=労働者供給)の弊害は一言で言えば、労働者の保護規定を無能化することである。
資本主義経済社会である日本にとって、企業の発展と労働者の生活の向上は不可欠な課題であり、車の両輪である。この車の両輪の一方である労働者の保護を失くしたら、労働者が貧困にあえぐだけでなく、経済社会はいびつな形で推移し、いずれ様々な社会的混乱を来すことは間違いない。
労働者供給事業は、このような重大な趣旨を秘めて禁止されたものである。
しかしながら、労働者供給事業は「業務請負」という名前(=偽装請負)で戦後も実態として行なわれ続けた。
こんな中で1985(昭和60)年、労働者派遣法は制定された。
時の政府(自民党中曽根内閣)は、蔓延化した職安法違反の労働者供給事業を取り締まることなく、その一部を「労働者派遣」として公認し、労働大臣の監督下において適正な規制を加えて労働者を保護することが、より現実的であると判断したのである。
労働者派遣制度導入は、労働側が一致して反対したように、専ら経営側の要望に応えるものであった。
労働者派遣法の制定は、労働者派遣制度を日本に導入した点で致命的とも言える重大な欠陥を雇用社会にもたらすものであった。
派遣労働者保護という点で同法は、世界で最も貧弱であり、経営者(とくに派遣先企業)にとって一方的に好都合なシステムであった。派遣法制定時の日本には、1970年代以降に欧米諸国で導入された労働者派遣制度を受け入れる基盤自体がなかったのである。
ドイツ、フランスは1970年代に労働者派遣制度を導入したが、両国ともに、
(1)同一価値労働同一賃金原則の確立
(2)解雇制限立法と有期雇用の事由制限原則の確立
(3)労働者全体を代表する企業横断的労働組合と未組織労働者にまで拡張される産業別全国協約慣行の確立
が前提になっていた。
労働者の雇用を守る点で巨大な全国的労働組合と解雇制限法が有効に機能しており、労働者派遣制度が導入されても弊害が最小限に留まっており、現実に派遣労働の数も弊害も日本のように大きくはない。
しかし、日本では、この(1)から(3)のいずれもが存在しなかった。むしろ、企業間労働条件格差が大きく、労働組合も企業別組織が支配的で非正規労働者を組織対象から除外し、労働協約の拡張適用慣行も皆無に等しい状況である。EU諸国とまったく異なる日本に派遣労働を導入すれば、多くの弊害がもたらされるのは当然であった。
その後派遣法は前項で一覧したように、規制を緩和する大改正が過去に3度行なわれて現在に至っている。
※この項は、龍谷大学労働法教授脇田滋氏の主張を参考及び一部引用させていただいています。
199902月発表 労働者派遣法改悪のポイント
200010月発表 労働者派遣法改定の意義と法見直しに向けた検討課題
200409月発表 労働者派遣制度の可及的速やかな廃止を!
200708月発表 視点・論点「派遣業 急成長の影」

W.派遣法がもたらしたもの

いま労働社会は、昔の「むき出しの資本主義時代(ケガなどの保障もなく児童労働や長時間労働が低賃金で見境なく行われ、庶民が喘いでいた時代)」に戻りつつある。
ワーキングプア、ネットカフェ難民が急増している。
このように劣悪な現在の労働環境の出発点となったものが、労働者派遣法の制定である。
現在、派遣労働者の悩みは次のとおり深刻である。(偽装請負、多重請負、偽装業務委託等の(実質)労働者も同様である。)
●労務管理、指揮命令、職務分担等があいまいになり、行き届かず、神経が壊された。「いじめ」「セクハラ」「人権侵害」などの温床になっている。
●長時間残業が行なわれ、残業代も支払われず、身体も壊した。過労死予備軍となっている。
●契約が一方的に打ち切られ、失業した。
●契約終了後、契約更新や次の仕事に就けるか、常に不安である。期間契約労働・日雇労働は常に半失業状態にある。派遣だろうと、請負だろうと、業務委託だろうと、もはや当の本人に契約形態を選んでいる余裕はない。
●会社に労働組合があっても非正規社員は相手にされない。本人自身、労働組合の役割や存在さえ、もはや眼中にない。不当解雇、賃金不払いなど深刻な権利侵害があったとき、地域の個人加入労働組合に駆け込み加入して、その支援を求めるしか方法がない。
一方で、派遣会社による求人募集や企業宣伝は、花盛りである。
ひとえに「イメージ戦略」で、派遣労働が、いかに自由で、花形企業を渡り歩けて、生き方もカッコいい、というイメージを植えつけることに成功した。
若年女性にとっては「そのとおり」とばかりに、自ら派遣社員の私は花形です、と触れ回る人も多くいて、成功事例がよくマスコミに取り上げられていた。
確かにそういう人もいるが、派遣労働者全体から見たら、ほんの一握りであって、表に出ない多くの人たちは、その雇用の不安定さと野放しの違法行為に苦しんでいたのである。

X.政府の責任と国民の責任

そもそもは派遣法新制定時、違法に行なわれていた偽装請負の労働者供給を断固取り締まることなく、労働者派遣法を制定して、現状を追認してしまったことが、労働無法国家の始まりであったと言える。
そして新制定された派遣労働についても同様に、制度の適正な監督・取り締まりをすることなく、規制緩和の方向で、どんどん違法派遣を追認していくだけであった。
派遣法が制定される前から既に労働者供給、偽装請負が行われていたことは既に述べたが、初の事業停止命令(コラボレート、その後グッドウィルに吸収)が出たのは2006(平成18)年10月。制定時から数えて、実に21年もの月日が経った後のことだった。
労働社会に関する限り、これまでの自民党政府、旧労働省、厚生労働省の責任は、海よりも深く、山よりも高いと言わざるを得ない。
しかしその元を正せば、彼らに国の統治を任せた国民一人ひとりの責任として、選挙の一票の責任を実感しなければならない。ネットカフェ難民もワーキングプアも私たちの親の一票など国民一人ひとりが作り出した結果であることに気づかなければならない。
※余談になるが、この政府及び財界の違法追認姿勢は、平成18年〜19年にかけて議論が沸騰したホワイトカラー・エグゼンプションのパターンに酷似している。ホワイトカラー・エグゼンプションの場合は、国会上程直前まで進んだが、国民的非難を受けて頓挫した。

5章 崩壊した労働社会と再生への道

これまで見てきたように、合法である「派遣」であっても問題が山積みである。
これが「請負」「業務委託」を装った偽装請負、労働者供給となれば、いわんやをや、である。
財界が唱える「グローバル化」「国際競争力の強化」「労働者の希望やライフスタイルに合った雇用形態」とかいう言葉に踊らされて、ふと気がつけば、企業業績だけは順調に伸びているのに、労働者の平均収入は反対に減少している。しかも、格差社会が広がり、ネットカフェ難民という、ホームレスの労働者階級まで出現してしまった。
経済成長、少子化が一体何だと言うのか?
それに対処することが、本当に私たち国民にとって幸せになれる道だと言うのか?!
一部の若年の非正規労働者はこう言い放つ。戦争でも何でも起こってくれたらいい!!

太平洋戦争が多大な不幸を招き、私たち日本人は不戦の誓いを立てた。平和を心から願った。
しかし、よく考えると、「戦争」の反対語は「平和」ではない。
「戦争」の反対語は「不戦」であって、不戦が平和とは限らない。
未来に夢も希望も持てない少なくない若年非正規社員たちにとって、今は決して平和ではない。日々ネグラと仕事を求めてその日暮らしを余儀なくされている者たちにとって、今が戦争の真っ最中である。
今が戦争中なら、この状態を逃れるために、本当の戦争が始まって兵士になれば、今よりは生活がましになるし、他人からも今よりは敬われる。命を失うかもしれないが、それは今でも同じことである。
未来ある若者が、「殺されるかもしれない兵士になってまで、今の生活から逃れたい」と言っているほどひどいのが今の日本の労働環境なのである!
政治家、財界人、官僚たちにこの意味がはたしてご理解いただけるのだろうか??
日本を救う道は、日本企業が国際競争に勝利することではない。
下層の一般庶民でも、安心して働いて暮していける環境を作ることである。
戦後私たち国民は、国家と天皇から解放され、自由と民主主義の大切さをアメリカから教えられた。
しかし自由競争という資本主義の論理が過熱すると、資本家の都合が労働者の都合に優先し、かつ従来の労働者の権利まで侵食されていった。
そして気がつくといつの間にか、少なくない労働者は家も家族も持てない暮らしに転落していた。
この原因は
●政府、官庁が監督責任を放棄し、企業に労働その他の諸法令を遵守させず、違法行為を見逃してきたこと。
●派遣法を成立させ、間接雇用禁止の原則に風穴を開けてしまったこと。

2点である。
もはや「崩壊した労働社会」と言っても過言ではないだろう。
労働者が普通に働き、家と家族が持てる生活を取り戻すためには、上記2点の原因を徹底的に見直し、追及することが必要であり、これが正常な労働社会を再生させる唯一の道である!!