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「非正規社員」のページ

平成16年8月1日


T.はじめに
U.主な雇用形態の種類とその内容
V.新たに登場した雇用形態
W.非正規社員の雇用実態調査
X.雇用実態調査の分析
Y.多様化した雇用形態における問題点
Z.まとめ

T.はじめに

この10年で非正規社員は爆発的に増えた。
主な原因は、次のとおりである。
@企業はバブル崩壊に続く長引く平成不況により経営合理化の必要性が高まり、その分野はかつての経費節減だけでは追いつかず、人件費の削減に手をつけざるを得なくなった。
A雇用の流動化・価値観の多様化により労働者からも多様な働き方を可能にする制度を求める動きがあった。
B上記の背景の中で、企業に「雇用形態の多様化」という経営戦略が編み出された。
かつて、雇用形態としては、@社員、A主婦パートタイマー、B学生アルバイトの概ね3つしかなかった。
かつて「正社員」という呼び名は存在しなかった。この
3つには厳然たる区別があった。パートやアルバイトは社員ではなかった。今なら社員の中の一雇用形態だという解釈になるが、かつての一般的な認識としては社員ではなかった。もちろん労働法上はいわゆる労働者ということになるのだが、パートや学生アルバイトの身分に労働法上の権利の認識は薄かった。それでも一般に庶民の納得は概ね得られていた。何故ならこの3つの区分は社会生活上、合理的な区分であったからだ。
                かつての雇用形態
身分 対象 内容
アルバイト 学生 小遣いや学費の足しにするために働くための身分
パートタイマー 主婦 主婦業と兼業で家計の足しにするために働くための身分
社員 上記以外 生涯にわたって家庭の生計費を主に賄うために働くための身分
このように3つの身分は生活の必要性に根ざした区分であり、合理的であった。
そもそも労働者とは、労働によって賃金を得る者のことをいうが、その賃金は生計を賄うためのものであることは、過去においては言うまでもなかったことであるから、その意味でパートタイマーやアルバイトはおまけのようなものであった。

U.主な雇用形態の種類とその内容

大区分 正規社員 非正規社員
性格 労働者 他社の労働者 個人事業者
1 2 3 4 5 6 7
働き方の種類 正社員 パートタイマー アルバイト 嘱託社員 契約社員 派遣社員(登録型) 委託・請負社員
定義 右記以外であって、いわゆる通常の社員。 正社員より労働時間が短い社員 臨時的に雇用される社員 主に定年退職者を引き続き別条件で雇用した社員 雇用期間が有期である社員 仕事が決まる毎に就労する社員であって、他社へ派遣される社員 委託又は請負により就労する者
採用目的 通常・基幹業務の遂行 定型業務の補助、遂行 臨時・定型業務の補助 通常・基幹業務の補助 期間・専門業務の遂行 通常・定型・専門業務の遂行 本人責任による業務の遂行
勤務 雇用期間 定年まで 契約による 臨時的 有期(主に1年) 有期(主に1年未満) 有期(主に数ヶ月) 契約による
勤務日・時間 8時間/日、40時間/週。主に残業あり。 正社員より短い 正社員の時間を上限として不定 契約による 主に正社員に準じる 正社員に準じる 契約による
賃金 主な給与形態 月給制 時給制 時給制、日給制 月給制 月給制 時給制他 各種
賞与 主にあり 主になし。 なし 契約による 契約による なし なし
退職金 主にあり。 なし なし なし なし なし なし
社会保険適用条件 労災保険 無条件適用 無条件適用 無条件適用 無条件適用 無条件適用 無条件適用 適用なし(原則)
雇用保険 無条件適用 @雇用期間1年以上、かつA労働時間1週20時間以上 適用なし(原則) パートと同じ。ただし、65歳以後の新採用者は適用なし。 パートと同じ @雇用期間通算で1年以上(不就労期間は各1ヵ月程度)、かつA労働時間1週20時間以上 適用なし
健保・厚年 無条件適用 勤務時間が正社員の3/4以上 @3/4要件かつA2ヵ月以上勤務 @3/4要件。ただし年金は65歳まで。 2ヵ月以上契約 2ヵ月以上契約 適用なし(国保・国年で適用)
区分 ケース 主に大企業の場合 子会社の場合 -
種類 総合職 一般職 出向社員 プロパー社員
内容 幹部候補生として採用した社員。(総合職・一般職の区分は中小企業にはない。) 末端実務を担当させるために採用した社員 主に親会社から出向してきた社員 子会社が自社雇用した社員
人事 昇進 役員まで 現場の長まで 親会社の役員まで 子会社の幹部まで。 なし。一部現場の部門責任者まで。 なし なし。 なし。一部現場の部門責任者まで。 なし なし
主な昇給 主に役職・資格で昇給 主に勤続で昇給 主に役職・資格で昇給 主に役職と勤続で昇給 時給で数10円。またはなし。 時給で数10円。またはなし。 なし わずかにあり。またはなし。 時給で数10円。またはなし。 なし
異動 勤務地、職種とも非限定 事実上、勤務地、職種とも限定 勤務地、職種とも非限定 事実上、勤務地、職種とも限定 ほとんどなし なし なし なし なし なし

V.新たに登場した雇用形態

以前からも存在はしていたのであろうが、「契約社員」、「派遣社員」という言葉が広く認知され、急激にその人数が増えたのは平成一桁のころである。その時期は平成不況、経営合理化、成果主義浸透の時期と一致する。
各雇用形態にはそれぞれ会社にとっても労働者にとっても意味がある。
会社にとって多様な雇用形態を採用することの一番のメリットは人件費の効率的使用(正社員に比べ、廉価な賃金で雇用できる。)という目的に資することである。
一方労働者にとっても拘束性の強い正社員に比べ、自由度の高い非正規社員は短期的に必要な収入を考慮しながら自分の希望に沿った働き方を選択できる点で望ましいと考える人が増えてきた。

W.非正規社員の雇用実態調査

(資料出所 平成15年労働力調査〔総務省統計局〕)
(     平成13年パートタイム労働者総合実態調査〔厚生労働省〕)
(     平成16年3月発表「契約社員に関する実態調査〔東京都産業労働局〕)
(     平成16年7月現在「派遣社員のアンケート調査〔民間調査〕)

1.就業者数と内訳 〜3割が非正規労働者〜

平成15年 雇用労働者の形態別内訳           (単位 万人) 
雇用形態 人数 形態比率 男女比率
合計 合計
 正社員 3,444 2,410 1,034 70% 70% 30%
 パート 748 63 685 15% 8% 92%
 アルバイト 342 171 170 7% 50% 50%
 派遣社員 50 13 37 1% 26% 74%
 契約社員・嘱託 236 125 111 5% 53% 47%
 その他 129 71 58 3% 55% 45%
合計 4,948 2,853 2,095 100% 58% 42%
うち非正規社員合計 1,504 444 1,061 30% 30% 70%
 うちパート・アルバイト 1,089 235 855 22% 22% 78%
 うち派遣・契約・その他 415 209 206 8% 50% 50%
フリーター人数の推移           (単位 万人)
人数 増加数 増加率
1982 50 - -
1987 79 29 58%
1992 101 22 28%
1997 151 50 50%
2002 209 58 38%
平成15年 雇用労働者の雇用形態別年齢分布       (単位 %)
雇用形態別年齢割合 15〜24歳 25〜34歳 35〜44歳 45〜54歳 55〜64歳 65歳以上
 正社員 9% 30% 24% 23% 12% 2%
 パート 5% 15% 25% 31% 19% 6%
 アルバイト 53% 20% 8% 7% 8% 4%
 派遣社員 12% 48% 22% 8% 8% 2%
 契約社員・嘱託 10% 23% 14% 17% 26% 10%
 その他 9% 18% 16% 23% 21% 12%
合計 12% 27% 22% 23% 14% 3%
うち非正規社員合計 17% 19% 18% 22% 17% 6%
 うちパート・アルバイト 20% 17% 19% 23% 15% 5%
 うち派遣・契約・その他 10% 25% 16% 18% 22% 10%
以下パート・アルバイトを併せて「パート」、派遣・契約・その他を併せて「その他」と標記します。

2.採用企業割合 〜全産業で62%〜

平成13年                                 (単位 %)
産業計 製造業 卸売・小売業,飲食店 サービス業
非正規社員を雇用している企業 62 58 74 66
「パート」を雇用している企業 57 54 71 59
「その他」を雇用している企業 15 15 12 21

3.企業の採用動機 〜人件費が安いから〜

平成13年                  (複数回答)(単位 %)
非正規社員を雇用する理由 パート その他
人件費が割安だから 65 58
1日の忙しい時間帯に対処するため 39 11
簡単な仕事内容だから 31 16
一時的な繁忙に対処するため 27 17
人が集めやすいから 18 8
業務が増加したから 17 22
仕事量が減ったときに雇用調整が容易だから 16 20
経験・知識・技能のある人を採用したいから 12 20
定年社員の再雇用・勤務延長策として 7 14
学卒等一般の正社員の採用、確保が困難だから 6 6
退職した女性正社員の再雇用に役立つから 5 3
その他 7 13

4.就職の動機 

平成13年                                 (複数回答)(単位 %)
非正規社員としての働き方を選んだ理由  パート  その他
自分の都合の良い時間(日)に働きたいから 47 51 50 12 21 17
勤務時間・日数が短いから 21 34 31 4 12 9
仕事の内容に興味が持てたから 31 22 24 24 25 25
正社員として働ける会社がないから 22 21 21 38 38 38
家事・育児の事情で正社員として働けないから 0 18 14 0 9 5
賃金・待遇が良いから 12 7 8 11 13 12
すぐ辞められるから 8 6 6 5 4 4
友人・知人がパート等で働いているから 7 6 6 3 3 3
体力的に正社員として働けないから 6 5 5 4 3 3
病人・老人等の介護で正社員として働けないから 0 2 2 0 1 1
その他 18 9 11 29 20 24
平成13年                            (複数回答)(単位 %)
働いている理由  パート  その他
家計の足しにするため 32 60 53 19 42 32
生活を維持するため 63 43 47 81 62 70
生きがい・社会参加のため 19 25 24 16 23 20
余暇時間を利用するため 24 23 23 6 11 9
子供に手がかからなくなったため 1 22 17 1 11 7
その他 13 6 8 7 7 7
以前の就業経験を活かすため 9 6 7 16 8 11
資格・技能を活かすため 8 6 6 10 11 11

5.契約期間と契約更新 〜期間は約1年、更新回数は約8回〜

 平成13年          (単位 %)
契約期間の定めの有無 パート その他
あり 44 62
なし 56 38
有期契約者の契約期間 パート その他
1ヵ月 1 1
2ヵ月 10 4
3ヵ月 11 10
4〜5ヵ月 2 2
6ヵ月 27 20
7〜11ヵ月 2 3
1年 47 59
1年超 1 1
平均契約月数(ヵ月) 8 9
契約更新回数  パート  その他
1回 16 23
2回 14 16
3回 10 11
4回 8 9
5〜10回 29 23
11〜20回 16 12
21回以上 6 5
平均更新回数(回) 8 7

6.勤続年数 〜平均は5年〜

平成13年                       (単位 %)
勤続期間  パート  その他
1年未満 28 17 20 25 22 23
1〜3年未満 38 25 28 29 29 29
3〜5年未満 16 18 17 18 16 17
5〜10年未満 11 22 20 15 16 16
10〜20年未満 6 15 13 8 13 11
20年以上 2 3 3 5 4 5
平均勤続期間(年) 3 5 5 5 5 5

7.労働時間 〜出勤日数は週5日、パートは1日6時間〜

 平成13年        (単位 %)
1週間の出勤日数  パート  その他
3日まで 13.1 2.1
4日 16.9 2.7
5日 52.6 73.5
6日以上 17 21.6
週平均出勤日数 4.7 5.1

1日の所定労働時間  パート  その他
3時間未満 3.3 0.1
3〜4時間未満 6.3 0.3
4〜5時間未満 14.5 1.7
5〜6時間未満 22.5 2
6〜7時間未満 20.9 4.6
7〜8時間未満 19.3 35.6
8時間以上 13 55.7
平均所定労働時間 5.8 7.7

8.収入  〜年収はパート平均120万、その他平均220万〜

平成13年              (単位 %)
年収  パート  その他
40万円未満 7 4 5 2 3 2
40〜50万円未満 2 2 2 1 1 1
50〜60万円未満 3 2 2 0 1 1
60〜70万円未満 6 4 5 1 1 1
70〜80万円未満 3 5 5 1 2 2
80〜90万円未満 4 8 7 1 2 2
90〜100万円未満 5 14 12 1 4 3
100〜110万円未満 8 13 12 3 4 3
110〜120万円未満 2 3 2 0 1 1
120〜130万円未満 3 5 5 3 6 4
130〜140万円未満 3 3 3 2 4 3
140〜150万円未満 2 3 2 1 5 4
150〜300万円未満 28 19 21 39 44 42
300〜500万円未満 4 1 2 23 7 14
500〜800万円未満 1 0 0 6 0 3
800〜1000万円未満 0 0 0 1 0 0
1000万円以上 0 0 0 1 0 0
不明 21 13 15 17 16 16
平均年収額(万円) 142 116 122 277 175 218

正社員との賃金差の意識 パート その他
低いと意識したことはない 29 25
低いと意識したことがあるが納得できる 22 28
比べられる正社員がいない(わからないを含む) 34 29
低いと意識したことがあり納得できない 16 18

9.社会保険加入状況

平成13年        (単位 %)
雇用保険加入状況  パート  その他
加入 45 79
未加入 55 21
厚生年金等の公的年金加入状況  パート  その他
厚生年金・共済年金に本人が被保険者として加入している 29 70
配偶者の加入している厚生年金・共済年金の被扶養配偶者になっている 31 6
国民年金に加入している 23 16
いずれにも加入していない 18 9

10.会社や仕事に対する不満・不安 

平成13年     (複数回答) (単位 %)
会社・仕事への不満・不安  パート  その他
賃金が安い 59 49 51 43 51 47
雇用が不安定 22 21 21 32 30 31
正社員になれない 26 18 19 31 40 36
有給休暇がとりにくい 13 21 19 22 21 21
仕事がきつい 13 15 15 14 14 14
福利厚生が充実していない 14 15 15 7 11 9
労働時間が希望に合わない 12 13 13 10 10 10
人間関係が良くない 10 13 12 8 15 12
昇進機会が少ない 12 7 8 8 8 8
能力が活かせない 9 5 6 8 5 6
教育訓練を受けられない 3 5 5 4 5 5
その他 10 13 12 11 12 12

11.今後希望する就業形態等

平成13年                    (単位 %)
今後の就業希望形態  パート  その他
パート等で仕事を続けたい 48 68 63 43 50 48
正社員になりたい 23 13 16 31 30 31
自営業等を始めたい 6 1 2 5 1 2
仕事を辞めたい 1 2 1 2 2 2
わからない 23 16 18 19 17 18

12.派遣労働者限定調査


平成16年7月
性別年齢割合
年齢
〜19 1% 0%
20〜24 10% 2%
25〜29 34% 3%
30〜34 30% 2%
35〜39 12% 1%
40〜44 4% 0%
45〜49 0% 0%
50〜 1% 0%
合計 90% 9%
   
大きなトラブル 割合
1 派遣先に行っても仕事がなかった
(居る事が仕事という状態)
18%
2 契約と違う仕事をやらされた 9%
3 途中解雇 9%
4 仕事がなかなか決まらなかった 6%
5 社内の空気が合わなかった 5%
6 報告・相談・連絡がない。契約に対してルーズ 5%
7 打合せのはずが競合で他の人に決まった 4%
8 セクハラを受けた 4%
9 同僚派遣社員の妬み、嫌がらせ、いじめ 4%
10 トラブルはなかった 3%
仕事の次に重視すること 割合
1 時給 45%
2 通勤時間 21%
3 職場の雰囲気 15%
4 勤務地 9%
5 自分にとって都合のいい時間 3%
6 残業の有無 1%
7 労働時間 1%
8 禁煙 1%
9 休日(出勤日) 1%
10 長期休暇が取れるかどうか 1%
将来働きたい労働形態 割合
1 正社員 45%
2 このまま派遣社員 19%
3 SOHOもしくは在宅ワーク 12%
4 フリーランスと派遣の両立 7%
5 働きたくない 5%
6 資格取得後独立 2%
7 会社をつくる 2%
8 派遣先(又はその関連会社)での社員化 2%
9 フリーの職人 1%
10 バイト 1%
一番長かった待機期間 割合
1 1ヶ月 20%
2 2ヶ月 18%
3 3ヶ月 16%
4 待機期間なし 9%
5 2週間 9%
6 4ヶ月 6%
7 6ヶ月 5%
8 3週間 3%
9 24ヶ月 3%
10 1週間 2%
派遣会社登録数 割合
1 3 21%
2 1 20%
3 2 18%
4 4 11%
5 5 11%
6 6 6%
7 10 3%
8 7 2%
9 0 2%
10 8 2%
登録派遣会社の選択基準 割合
1 自分の望む業種・職種の案件を多く持っていること 50%
2 派遣社員の間でのその会社の評判 21%
3 時給 8%
4 何となく感覚 5%
5 カウンセリングがしっかりしている 4%
6 地元への派遣先が多い 3%
7 実際の担当との相性 2%
8 交通費支給 2%
9 福利厚生 2%
10 連絡手段が複数あり、きちんと連絡をくれる事 1%

X.雇用実態調査の分析

1.増加する非正規労働者

非正規労働者の数は年々増え続け、今回全雇用労働者の30%を占めるに至った。
ここまで増えれば、非正規労働は一部のイレギュラな労働形態として特別視することはできなくなった。
現にパートタイマーを多用する流通業界ではパート社員の労働組合加入促進や能力賃金・人事制度の改定、役職者への登用を進めている。企業としても非正規社員の有効活用が企業の発展を握る鍵となりつつある。パート労働法も何度か改定され、強制法規となる日もそう遠くない。

2.年齢階層別の就職事情

求人の年齢制限廃止は、平成13年10月1日より改正雇用対策法により定められた。
しかしながら特例認可措置が多いことと、努力義務として強制力がないことがあり、今のところその効果はほとんどないに等しい。
企業は社員募集に当たり、最も年齢を重視し、ほとんどの企業で年齢制限を設ける。
求人の年齢重視の傾向は、正社員のみならず非正規社員でも顕著である。
雇用形態別の年齢分布から次のことが推測できる。
パート 35歳〜54歳の中年層を中心に山なりに分布している。
主婦が大多数を占めるものと思われる。
求人の年齢制限は緩く、幅広い年齢で募集されているものと考えられる。
男性の採用は少ない
アルバイト 24歳までで半数を超え、34歳までで3/4を占めている
35歳以降でアルバイトの就職は難しいと考えた方がよさそうである。
派遣社員 34歳までで6割を占め、44歳までで8割を超す
35〜44歳の年齢層で22%となっているが、従来職の更新か、専門度の高い職種の人が多いと考える。
とすれば専門性の低い職種の新規就職で35歳以降は難しいと思われる。
契約社員・嘱託 各年齢階層にまんべくなく分布している。
56〜64歳の年齢層が最も多くなっているが、これは定年退職後の再雇用の「嘱託社員」と考えられ、
これ以前の年齢階層はいわゆる「契約社員」と考えられる。
これらのことからもわかるように若年層の求人は引く手あまたであり、反対に中高年の特に男性では求人が少なくなっている

3..企業の採用動機

企業が非正規社員を採用する動機の上位の理由を見ると、「人件費が安くて」、「仕事が簡単で」、「一時的な繁忙期に対処するため」となっている。これを見ると企業の多くは非正規労働者を「使い勝手のよい消耗品」と考えているようである。非正規社員となる労働者は、このことを十分に頭に入れておく必要がある。

4.労働者の就職動機

働く理由の調査では「生活を維持するため」という理由が上位にきており、それを裏付けるように非正規社員を選んだ理由では「正社員として働ける会社がないから」という理由がやはり上位にきている。さらに会社の不満・不安の内容として「正社員になれない」というものがやはり上位に挙がっており、このことは「正社員雇用枠が足りていない、減少している」ということを如実に物語っており、大きな問題である。

5.雇用不安

会社の不満・不安の内容として「雇用が不安定」というのが上位に挙がっており、非正規社員は常に雇用不安を抱えながら仕事をしているといっても過言ではない。それを裏付けるように平均雇用契約期間の回答を見るとその期間は1年に満たない。実際に、勤続年数は1〜3年の労働者が最も多く、契約更新を望んでも思うとおり更新されないケースも多いことがわかる。

6.少ない収入

会社の不満・不安の内容として「賃金が安い」という理由を不満を持つ労働者の中の半数の人が挙げており、賃金に対する割安感が広がっている。
しかしながら正社員との賃金差に対する意識調査では80%を超える人が「わからない、意識したことはない、低いと思うが納得できる」と答えており、この割安感は労働賃金としての不満というより、必要生活費に比べて収入が少ないという意味合いが強いようである。

7.年金加入

いずれの年金制度にも加入していない人は非正規社員全体の1/4にも上っている。
年金問題は現在国家的課題となっているが、非正規社員の一部は現在の生活を維持することで精一杯であり、将来のことなど考えられない人も少なくないように推測する。

Y.多様化した雇用形態における問題点

雇用形態が多様化した理由は労使双方ともその必要性とメリットを享受しようということであり、総合的には経営、雇用の両観点から一歩前進と見ることができる。
しかしながら、この新たな現象は様々な問題をも同時に生じさせた。

1.職場の乱れと働きがいの喪失

職場の一体感・協力意識・労働モラルの低下・喪失」が雇用形態を多様化させた職場で見られることが少なくない。具体的には次のような現象が一部の職場で見られる。
@身分間差別による会社への不平不満
A身分別階層化による社員間の身分別相克
B単純定型業務を寄せ集めて再設計した非正規社員用職務のやりがいの喪失
C帰属意識の希薄化
特にABの問題は大きい。
Aについては、職場全体が険悪化し、正常なコミュニケーションが不能となり、業務に支障をきたすと同時に、実に居心地の悪い職場となる。
Bについては、仕事は基本的に世の中の誰かの役に立つべきことであることから、そこに働くことの意味があるが、単純業務ばかりを寄せ集めて業務の一部のみを専任的に行う職務は、働くことの素晴らしさを感じられない無味乾燥なものとなり、労働者から働き甲斐を奪うこととなる。特に苦情処理専門のコールセンターのように精神的苦痛を伴うようなものは、帰属意識が希薄にならざるを得ない非正規社員にとって通常の労働とは呼べないような精神的疲労を感じさせる。
またCについても最近多発した情報漏えい事件の一部は、帰属意識のない非正規社員が起こしたものであった。

2.正社員雇用枠の減少

雇用はまず、企業の必要性ありきに始まる。
企業は非正規社員雇用のメリットを享受するため、正社員の定員を減らして、その分の仕事を非正規社員枠として組み替えた。派遣社員と契約社員を新たに向かえ、パートタイマーも増員した。その結果、社会全体で正社員の職が減った
労働者の中には非正規社員こそ自分の望む労働スタイルと考える人も少なくなく、彼らは躊躇なく雇用形態の転換を図ったが、それでも正社員枠の減少と非正規社員枠の増大の現象は激し過ぎ、需給バランスはその均衡を著しく欠くこととなった。

3.期間雇用

かつて「働く」といえば、
・(正)社員として働くという意味であり、
・生涯一社専属で働くということであり、
・身体・労働能力の低下を自覚する老人となり、定年をもって退職するまで継続して働く、
ということであった。
人は生きる限り生活費収入を必要とするから、かつての雇用形態システムは労働者の生活とマッチするものであった。
しかし近年の多様化した雇用形態によって新たな概念が登場した。それが「期間雇用」という考え方である。
その結果、生涯にわたって家庭の生計費を主に賄うために働くための立場」にある労働者は、本来なら正社員に就くべきところ、その雇用枠が減ったため、やむを得ず一時的に非正規社員として就職せざるを得なくなった。
雇用形態の多様化という現象の中で、もっとも深刻な問題はこの部分である。「生涯にわたって働き続けなければならない立場の人が、期間雇用の非正規社員に就かざるを得ない」という現象である。
それでは主生計費を賄うべき立場にない人について、期間雇用の問題はないのかというとそうではない。一般に契約期間が短すぎるので、落ち着いて生活することができない人も多い。労基法の改正(平成16年1月1日)で一般有期契約期間の上限は従来の1年から3年に変更された。これにより一部の人に改善はみられるだろうが、そう多くは期待できないと見る。

4.非正規社員として働くべき労働者

前述したように、かつての雇用形態はそれぞれ生活スタイルと密着したものであり、主婦ならパート、学生ならアルバイトというように自分のおかれた環境によってごく自然にそれらの形態が選別ができた。
新たにできた派遣社員、契約社員はどういう人が就くべき形態なのか。また、最近のパート・アルバイトではどうかを働く側の生活ステージから再定義してみると次のようになる。
               働く側から見た現在の雇用形態等
雇用形態 身分 主な対象者の生活ステージ
正社員 主生計維持のために働く身分 一般労働者
契約社員 一般労働者のうち、専門能力を持って、自由な働き方を選択する者
請負社員 一般労働者のうち、職業特性により、請負の形態を採るもの
ex.持込トラック運転手、保険外交員、マネキン
パートタイマー 主婦業と兼業で働く身分 主婦
嘱託社員 定年後も引続き働く身分 定年退職者
派遣社員(登録型) 将来を見極めるために働く身分 若年労働者
アルバイト フリーター
主に小遣い稼ぎとして働く身分 学生

(1)契約社員

契約社員を敢えて定義すると「一般労働者のうち、専門能力を持って、自由な働き方を選択する者」となる。
正社員と比べて@期間雇用である点とA働き方の選択の自由度が大きいという点が大きく異なる。
主生計費を賄う立場の人間であるから、更新切れによる長期の無職期間は許されない。
高い専門能力をもって生涯にわたり、一社の信頼を得て契約更新を続けるか、会社を渡り歩くかという働き方になる
企業は、必ずしも高い専門能力を買って採用しているわけでもないことに注意が必要である。
人件費が安いこと、使い捨てが自由なことなどで通常の仕事をさせているケースが実に多い。
このケースの場合、「自由で会社に縛られない働き方」が多くの場合実現されていない。
そうであれば、契約社員のメリットはなくなり、先々の雇用の心配が残るだけとなる。

そもそも専門能力を有する者を採用するのに、正社員より賃金は高くなることはあっても、それほど安くはならないはずである。
労働者側から見ると、自らが保有する「専門能力」の価値が生涯にわたって評価されて、初めて成り立つ雇用形態である。

(2)派遣社員

昨今は人材派遣業が繁栄し、求人も多く、それに対応して派遣労働者も増え続けている。
インターネットによる簡単な応募もでき、特に独身女性にはかなり簡単に仕事が得られる手ごろな雇用形態として大人気の様相を呈している。
派遣労働ブームといってもいいくらいの繁栄ぶりである。
35歳または40歳以降の就職はかなり厳しくなるが、このことは正社員の就職でも同じことである。
派遣社員になる人の定義を「将来を見極めるために働く身分」とした。
しっかりものの若年女性は、この点についてよく理解している方が多いと思う。

(3)フリーター

フリーターは、混迷した社会と長年の学卒者就職難が相俟って、最近では1年に10万人ずつ増え続けている。
フリーターが主に働く形態はアルバイトが多いが、この形態では35歳以降の就職が厳しくなっている。
フリーターになる人の定義も派遣社員と同じ「将来を見極めるために働く身分」としたが、フリーターの方々がしっかり将来を見極めることを意識して働いているかというと、そういう人も大勢いるにしても、世間の話を見聞きすると心もとない人も大勢いるらしい。
自分の夢を追求しながら、現実の世の中のしくみもよく理解して、よい選択をしていただきたいと思う。

5.年金制度

現在の年金制度は、一社生涯労働、結婚する、妻は主婦、離婚はしないなど標準型生活スタイルを前提にできているものであり、それに対して現状は、この非正規社員の増加にしてもそうだが様々な生活・労働スタイルとなっており、現状の制度ではそぐわなくなっている。
この10年小刻みな改正を繰り返しているが、抜本的改正をしなければ追いつかないことは明白である。
年金財政の破綻が将来見えており、改正の方向は財政が破綻しないように給付を減らすことに主眼が置かれている
今までの政府の怠慢による制度と財政の管理は、多大な国民の不信を招いた。
もはや国民は年金に将来を期待できない。だからといって長く続いた不況により家計の貯蓄率も減っており、これからの所得の伸びも期待できず、特に中小企業労働者や非正規社員たちは老後の心配どころか今を生きるだけで精一杯である。

Z.まとめ

(1) 雇用形態が多様化したことにより、働き方の選択肢が増えたことは労働者にとってメリットである。
(2) 自分が就くべき雇用形態は、現在の自分の生活ステージによって決めるべきである。
(3) 正社員の雇用枠が全体として減っており、その結果正社員に就くべき人が就けずに非正規社員として就職せざるを得ない現状は問題である。
(4) 企業は労働者の生活ステージにお構いなく、期間雇用の非正規社員を使い捨て前提に採用していることによくよく注意すべきである。
(5) フリーターは30歳になる前に将来の結論を出さないとその後の人生が特に厳しいものになる。
(6) 非正規社員が抱える現実の悩みは、@収入が少ない、A雇用が不安定、B正社員になれない、の3つである。
(7) 企業としても、新しく登場した雇用形態を採用するに当たっては、受け入れ準備をしっかりとした上でないと、経営の合理化には至らない。
若さの魅力は何物にも変えられないほど貴重である。しかし誰でもいずれは齢を取り、齢を取れば誰にも相手にされなくなることは、結婚に限らず、雇用でも同じである。
不確実性の時代と呼ばれてかれこれ20年経つだろうか?
「毎日毎日を精一杯生きていれば、将来を憂うことなどない」。この普遍と思われた人生哲学も今の時代には崩れ去った。
将来を少しずつでも常に考えながら今を過ごしていかないと、気がついたときには遅かった、ということにもなりかねない。
非正規社員という働き方は、自由度が高いというメリットと同時に、「期間雇用」という名の将来が見えないデメリットがある。
テレビのコマーシャル、新聞記事、インターネットの求人ページなどには華やかな派遣社員、契約社員のイメージが満載であるが、そこにはメリットばかり、成功者ばかりが掲載されているということに注意して欲しい。

特に若年の非正規社員には、今は若さゆえ会社からちやほやされ、おだてられて職務技能が身につかないような簡単な仕事ばかりを残業までこなして感謝され、充実した毎日を過ごしていても、自分の生活ステージですべき努力というものを常に忘れないで欲しい。

そして自分で今後の道を切り開いた場合はパッピーエンドであるが、そうでない場合は、いずれ会社から雇止めの通告が来る日がいつか来る。そのときでも、「今まで私に将来を見極める時間をくださり、ありがとうございました」と言って颯爽と会社を去っていけるように日頃から準備しておきたいものである。