平成14年9月17日
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| T.資本主義社会における労働関係の前提 |
| U.現憲法と労働法体系 |
| V.労働組合 |
| W.団体交渉 |
| X.労働争議 |
| Y.不当労働行為 |
| Z.公務員と労働基本権 |
| [.労働組合の設立手順 |
1.労働関係と経済原則
@ 資本主義経済社会
封建制度の後を継ぐ人類社会の生産様式。商品生産が支配的な生産形態となっており、あらゆる生産手段と生活資料とを資本として所有する有産階級(資本家階級)が、自己の労働力以外に売るものを持たぬ無産階級(労働者階級)から労働力を商品として買い、それの価値とそれを使用して生産した商品の価値との差額(余剰価値)を利潤として手に入れるような経済社会。
A 労働関係と契約自由の原則
労働関係は使用者と労働者の間の自由な契約によって成立する。
B経済原則と労働契約の例外
(ア)需要と供給の原則
一定の市場において、ある商品の価格は、その商品の需要と供給との関係によって定まる。
(イ)経済原則と労働契約の例外
需要と供給の原則は、取引者双方の力関係が対等でない場合、原則どおりに作用しない。
例えば独占状態にある企業の商品は、その価格と供給量を一方的に企業側が決められるため、価格を上げても需要は一定以上は下がらない。
労働契約もその例外的取引に当たる。
賃金その他の労働条件は、経済的強者である企業が一方的に決め、経済的弱者である労働者はどんなに安い賃金でも、企業に雇用されて働くしか生活手段がないため、その条件のままに契約を結ばざるを得ない。
働きたい人が増えて(供給過剰)、契約条件が悪くなる(価格が下がる)と通常の商品は供給が減るが、労働契約の場合は反対に労働供給が増えることとなり、一層契約条件は悪くなるという構造を持っている。
(契約条件1、「賃金」が下がると労働者家庭では生活資金確保のため、本人、妻、子供がさらに働くようになる。→労働供給はますます増え、ますます賃金は下がっていく。)
(契約条件2、「労働時間」が長くなると、労働力需要は減り、契約条件は悪くなる)
★資本主義経済社会の下で、自由な契約による労働契約は常に労働者に不利に傾く。
2.労働者の生存システムの確立
資本主義経済社会の中で労働者が正常な生活を営むためには、対等な立場で労働契約を締結することが必要である。
そのために我々の先人である初期の労働者は「意識的に供給を減少させるか、需要を増加させる」方法を考えた。
そのためには労働者が団結して労働条件を向上させるという手段が生み出され、現在に至っている。
熟練工労働者の団結→職種別労働組合
@ 技能者の数を制限して供給量を調整
A 労働時間をできるだけ短くして需要の増加を図る
↓波及@
不熟練労働者も団結して有利な条件を勝ち取ろうとする
@ 同じ産業または同じ職種の労働者が大同団結して労働力をコントロールする
(団体交渉、ストライキ)
↓波及A
労働者の利害は産業、職能、企業を超えて共通であることが自覚される
・個別の労働組合は全国的規模の上位の団体に加盟する
↓結果
★労働契約の条件は、労働組合と使用者との間の交渉によって枠が決まる
★この枠の中で、個々の労働契約の条件が決まる→労働組合主義
3.法(政治)の関与
労働条件が極端に悪くなると、そこから貧乏、犯罪、病気などの社会悪が発生し社会不安が生じることから政治の立場から対応策が要請される。
また、資本家の立場としても、良質の労働力が過不足なく得られるような労働者の生活水準の下地が必要であるという認識を持つようになった。
工場法(労働基準法)、社会保障制度の制定
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(労働基本権の保障)
近代国家は、労使の対立に対し、長い間産業の発展を優先して使用者の側に立ち労働者の団結を禁止し、争議を弾圧したが、それにもかかわらず発生する労働運動・労働争議を通じた産業不安を解消するため、労働組合の結成、団結権・労働組合活動を認めるようになった。
現在、日本では憲法28条により労働者の労働基本権を保障している。
団結権、団体交渉権、争議権を国家が保障したことの意義は、具体的には次のとおりである。
@刑事及び民事上の不法行為責任を免除される
A不当労働行為の救済等が行われる
(労働者の生存権保障)
憲法25条の生存権は、福祉国家の理念に基づき、社会的・経済的弱者を保護し実質的平等を実現するために国家が保障した人権である。
その内容は、「国民が人間に値する生活を営む」ことを保障するものである。
そして、労働者において、それを具体的に実現するための手段としておいたのが憲法28条の労働基本権である。
したがって、現行の労働法体系は憲法28条(労働基本権)を頂点として、労働組合を通じて労働協約によって労働条件を決定し、労働者の生存を具体的に保障しようとするものである。同条を理念を具体的に定めたものが労働組合法である。
しかし、現実には労働組合さえ結成できず、劣悪な労働条件で働かされる労働者が多数存在する。こうした労働者の存在を前提として、憲法25条の生存権保障を労働者に具現化するために置かれた条項が憲法27条の勤労権である。勤労権(憲法25条)は、労働基本権(28条)を補完して労働者の生存権(25条)を更に保障するため、労働条件の最低基準を定める労働保護法の制定を国家に義務づけた。その中心的な法律が労働基準法である。
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1.労働組合の意義
資本主義社会では、生産手段を持たず労働力を提供することを唯一の生計手段とする労働者と生産手段の所有者である使用者の分離を前提としている。
労働者が使用者と自由に締結する労働契約は常に労働者に不利に働く特殊性を有することから、労働者は使用者に対し、団結して自分たちの労働条件その他の生活条件を守り向上させていく運動を展開せざるを得ない。
この団結した労働者の団体が「労働組合」であり、団体の目的は「労働条件その他の生活条件を守り向上させていく運動を展開すること」である。
労働組合は資本主義社会において、必然の存在なのである。
2.労働組合の3機能(目的と手段)
機能 目的・意義 活動内容 @経済的機能 組合員労働者の労働条件の維持向上を図る(主目的) 団体交渉、労働争議を行う A共済的機能 組合に対する忠誠心を高め、団結の強さを維持強化する 組合員とその家族の傷病、災害、老齢、失業、死亡等に対して見舞金その他の給付を行う B政治的機能 労働者保護立法の制定や保護政策の実行により、労働者の生活向上を図る 政治家・政党に組合の政治的主張を訴える
3.法内組合と法外組合
法内組合とは労組法上の労働組合、法外組合とは労組法適用外の無資格組合のことをいう。
労組法上の労働組合となるためには、労組法5条に適合する規約を持ち、労組法2条但し書に該当しない内容を必要とする。
法外組合の場合、憲法の保障は受けられる(民事・刑事の免責を受けることができる)が、労組法の保障が受けられない(不当労働行為に対する労働委員会の救済。ただし、組合として受けられないのであって、労働者個人に対する不当労働行為の救済は受けられる)。
法外組合の例は下記のとおりである。
法外組合の例 理由 @ 共済事業その他福利事業のみを目的とする団体 労組法2条違反 A 主として政治運動または社会運動を目的とする団体 B 自主性のない団体(使用者の支配下にある御用組合) C 使用者の利益を代表する者の参加を認めている団体 D 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けている団体 E民主性のない労働組合=労組法5条2項に適合する規約を持たない労働組合 労組法5条違反
4.労働組合の形態と日本の労働組合の特徴
(1)労働組合の形態
1.職業・職種別組合 2. 産業別組合 3. 一般・合同組合(職業、産業を問わない) 4. 企業別組合
(2)日本の労働組合の特徴
日本の労働組合の形態は、ほとんどが企業別組合である。
その理由は次のとおりである。
(ア)歴史的理由
@戦後、連合国及び政府の性急な労働組合結成助長政策で、もっとも短期間にまとまりやすい方法が取られたため A大企業と中小企業の格差が激しく、労働条件が平準化されがたい事情があったため B使用者はどうせ労働組合の組織化が否定できないなら、企業別の方がよいとの気運があったため C戦時中の産業報国会の組織が企業別であったため
(イ)企業風土上の理由
終身雇用制 企業内教育訓練 ジョブ・ローテーション 年功序列型賃金 内部昇進 労働条件の決定権 企業レベル
(3)企業別組合と労働市場の未成熟
日本では、使用者対労働者の労働力取引の場である「労働市場」は十分に形成されていない。
日本の労働組合は企業別であるため、欧米のように産業別なり職種別なりに労働力を包括的に掌握する組織がないからである。
売り手である労働者側つまり労働組合が完全にその商品である労働力を支配していないということは、不利であり、不対等な状態にあると言える。
(4)労働組合の構成員
労働組合に加入できる者は「労働者及び失業者」のうち、それぞれの労働組合が自由に決定する組合員資格に該当する者である。
労組法2条第1号に該当する「使用者の利益を代表する者」の具体例は次のとおりである。
@すべての会社役員、理事 A工場支配人、人事課長、会計課長、人事・労働関係に関する秘密情報に接する地位にある者 B採用、異動、解雇の権限を持つ者、会社の政策決定についての権限を有し、または直接決定に参加する者 C労務主管部門の上級職員 D秘書
※実態として組合の自主性・独立性を損なうかどうかという観点で実質的に判断される。
組合員が組合を脱退することは自由である。
「労働組合の現状」のページへ
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1.団体交渉の意義
団体交渉は、労働組合の主目的を達成するための具体的方法である。
団体交渉は、その結果、労使協定の締結という形で妥結される。
日本の憲法28条が独立して団体交渉権を保障しているのは、資本主義経済原則で不利に左右する労働者の労働契約を是正するためのものにとどまらず、労働者の生存権理念を実現するため、国家が承認したものでもある。
2.団体交渉の内容
直接間接に労働者の生活条件に影響を及ぼすと認められる事項であれば、団体交渉の対象となり得る。
使用者に処分権限がない政治的問題、取締役の選任などは、団体交渉の対象とはなり得ない。
労働者側の関与を認めない使用者の排他的権利を経営権と呼ばれているが、経営権に属するものはすべてが団体交渉の対象になり得ないとは限らない。
3.団体交渉の当事者
区分 当事者 交渉担当者 労働者側 当該労働組合、上部連合団体 組合代表者、受任者 使用者側 法人企業、個人経営者、使用者団体 使用者の自由
4.団交応諾義務と団交拒否
団体交渉権が保障される結果、使用者はこれに誠実に応ずるべき義務を負うこととなる。これを具体的に保障したのが団交拒否の不当労働行為制度である。
団体交渉権が認められているということは、労働組合が存在する以上、労働条件や労働者の経済的地位の向上に関連する事柄は使用者と労働組合の団体交渉によって決定されるべきであるということである。
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1.争議権の保障
争議権は憲法28条で争議権(その他の団体行動をする権利)を保障している。
争議権保障の意義は争議行為が犯罪には当たらないという「刑事免責」と争議による損害賠償請求を棄却するという「民事免責」のみならず、憲法25条(生存権の保障)を具体的に実現しようとするもの、つまり争議権は労働者に健康で文化的な最低限度の生活を営むことを可能にするために保障される基本的権利であるということができる。
国家は争議行為に対して中立でなければならず、警察や行政がこれに抑圧・干渉を加えることが禁止される。使用者は不当な方法で争議の切り崩しを図るようなことは許されないし、争議行為を理由に労働者に不利益な取扱いをすることが禁じられている。
2.争議行為の定義、手段と正当性
争議行為の定義に労組法上明確な規定はない。
労調法では7条で「争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう」とされている。
争議の手段は、法律の規定によって明白なものに同盟罷業(ストライキ)と怠業(サボタージュ)があるが、その定義自体が明確でないため、集団的行為である生産管理、ビケッティング、順法闘争、リボン戦術、ビラ貼り闘争、職場占拠、ボイコットなどは争議行為なのか組合活動なのか明白でない。
争議はその目的と手段または手続において正当なものでなければならない。
争議が違法と判断された場合、刑事・民事上の責任を問われると共に不当労働行為の救済を得られない。
争議手段の例 手段 定義 正当性 種類 同盟罷業
(ストライキ)労働者が同盟して作業を拒否すること 目的が労働者の生存権の具体的実現に向けられているものであれば正当 ・経済スト
・公害反対スト
・政治スト
・同情スト
・抗議スト
・山猫スト怠業
(サボタージュ)不完全な労務の給付であって、使用者の指揮下に入りつつ、作業上の準則や命令を平常どおり遵守しないもの 各様 ・消極的怠業
・上部遮断スト
・電話受発信拒否
・タイムレコーダー打刻拒否
・納金スト
・開口サボタージュ
・積極的怠業ピケッティング 争議行為の参加者がその実効性を確保するため、組合員、使用者、非組合員、顧客等に対して就労または取り引きを断念するよう働きかける行為 その態様による 不買同盟
(ボイコット)使用者の製品を買わないように働きかける戦術 刑法上の違法行為がなければ正当 順法闘争 法規を平常時より厳格に守ることによって業務を阻害する戦術 正当 ・安全闘争
・定時出退勤闘争生産管理 使用者の指揮命令を全面的に排除し、事業場を占拠して組合管理の下で業務を行うこと 違法性が高い 職場占拠 ストライキの実行に際し、使用者の意思に反して組合員を会社施設内に滞留させる戦術 部分的・併存的であるときは違法とまでは言えない ・シットダウン・スト
・車、キーの組合保管
・職場内デモ強行就労戦術 使用者の意思に反して就労する行為 違法 一斉休暇闘争 年休を一斉に取る戦術 正当 その他 時間外労働拒否闘争
リボン戦術
ビラ貼り
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1.意義
不当労働行為とは、労使関係における使用者の不公正な行為をいう。
不当労働行為制度の趣旨は、労働者の団結権、団体交渉権を実質的なものにするための担保保障である。
労組法では第7条で次の4つの行為を禁止している。
対象 種類 内容 労働者個人 @労働者ないし組合員の不利益取扱い ・ あらゆる懲戒処分 ・ 昇格・昇給差別
・ 配転
・ 職務割当差別
・ 雇用契約更新拒否
・ 非組合員にするための管理職昇進A黄犬契約の締結 組合に加入しないまたは脱退することを条件に雇用すること 労働組合 B組合との団体交渉の拒否 C組合の組織・運営への支配介入 ・ 組合役員、活動家の配転
・ 組合結成・加入に対し、主導または切崩し
・ 監視・スパイ活動
・ 役員選挙で特定候補に財政援助
・ 脱退、分裂の煽動、第2組合の加入勧誘
・ 特定組合員の買収、饗応
・ 組合の上部団体加入に対する非難
・ 反組合的教育
・ 経費援助
2.救済方法
@労働委員会への申立→行政的救済
A裁判所への提訴→司法的救済
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1.公務員は労働者か?
旧憲法下においては、公務員は「天皇の官吏」という身分であり、労働者ではなかった。
新憲法において、公務員は「国民の奉仕者」という地位に置かれ、特殊な身分ではなく、賃金によって生活を成り立たせる労働者が選択する職業の一つという位置づけがなされ、労働者であるとされている。
2.公務員の使用者は誰か?
国民なのか、任命権者である総理大臣、知事、市長であるのか、あるいは国民の代表である議会なのかはっきりしないが、国民が使用者であるとの考え方が一般的とされている。
3.公務員の労働保護法
労働者としての公務員を保護すべき法律としては、各種公務員法と労働基準法が部分適用される。
4.公務員の労働基本権
公務員も労働者であるという点において、労働基本権は認められるべきである。
しかしその一方で、公務員は全体の奉仕者であり、その使用者は国民であるから、国民を相手に団体交渉や争議行為を行うことは、その趣旨にそぐわないとされている。
更に公務員の労働条件は、国民によって法律・条例で定められており、民間労働者にように資本主義経済体制の中で、不利に左右するということはない。特に賃金については、民間給与に準拠した水準で人事院勧告が出され、それによって各年の給与水準が決定される仕組みになっている。
このようなことから、特殊な地位にある公務員には、労働基本権に一定の制限が設けられた。
具体的な権利の保障と制限は公務員の種類ごとに次のように決められている。
区分 団結権 団体交渉権 労働協約 争議権 防衛庁職員、警察、監獄勤務職員、
海上保安庁職員及び消防職員× × × × 国営企業職員、地方公営企業職員 ○ ○(制限あり) ○ × その他の国家公務員、地方公務員 ○ ○(制限あり) × ×
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1. 結成準備委員の選任と準備委員会の発足
↓
2. 結成趣意書作成→加入の呼びかけ
↓
3. 組合規約案、運動方針案(要求案)、予算案の作成
↓
4. 結成大会の開催(規約、運動方針、予算、役員の決定と結成宣言)
↓
5. 当局へ結成通告
※ 組合の設立を役所に届け出る必要はない。
※ 法人登記は必要に応じて行えばよい。
※ 不当労働行為の救済申立を労働委員会に行う際に労働組合としての資格審査が行われる。
※ 労働組合は、労働者が2人以上で設立することができる。