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職業(分類)のページ

平成18年4月2日

T.はじめに
U.職業分類とは
V.職業(分類)の意義
W.雇用事情の変化と現状の乖離

X.職務分類基準の検証と新たな職務分類の模索

Y.最後に 〜職業名(職業分類)を重視する理由〜

職業別表
企業組織機能と職業

T.はじめに

職業とは何か。
よく小学生に将来何になりたいか、と教師が質問したり作文を書かせたりする場面がある。
このとき子どもが答える例として次のようなものがある。
「学校の先生」「医者」「野球選手」「お嫁さん」「宇宙飛行士」「パイロット」「ケーキ屋さん」「ピアニスト」「アイドル歌手」「バレリーナ」「総理大臣」…。
大人が何かに申し込みをするとき、職業欄を書く場面がある。
このときの記載例は次のようなものがある。
「会社員」「公務員」「税理士」「バスガイド」「主婦」「輸入雑貨店経営」「八百屋」「肉屋」「ホテル経営」「プロゴルファー」「農業」「コンビニ店員」「設計士」「保母」「医師」「学校教員」「予備校講師」「スポーツインストラクター」「整体師」「OL」「家事手伝い」「ラーメン屋経営」「寿司職人」「大工」「経営コンサルタント」「会社役員」「自営業」「コック」「タクシー運転手」「アルバイト」「フリーター」「コンピュータプログラマー」…
今度は、街においてあるフリーペーパー求人誌から求人されている募集職種をいくつか拾い上げてみよう。
「ホール・キッチンスタッフ」、「販売スタッフ」、「一般事務」、「提案型法人営業」、「受付スタッフ」、「子供服販売」、「ピッキング」、「キャンペーンスタッフ」、「アンケート調査」、「コールセンタースタッフ」、「清掃スタッフ」、「個別指導講師」、「コンビニスタッフ」、「DPE」… 
これらの回答の中の多くが世間で「職業」の種類として認識されているものである。
このように日常用語としてごく一般的に使われる単語であるが、その中身は実はかなり奥が深い。
広辞苑によると職業の定義は「日常従事する業務。生計を立てるための仕事。」とされている。
厚生労働省職業分類(後述)によるとその定義は次のようになっている。
「職業とは、職務の内容である仕事や課せられた責任を遂行するために要求されている技能、知識、能力などの共通性または類似性によってまとめられた一群の職務をいう。」
つまり職業とは、その定義は広辞苑のとおり「生計を立てるための仕事」ということになるが、その分類をどのように区分し、分類名と個々の職業名をどう付けるかがなかなか難しい。

U.職業分類とは

(1)職業分類総論
日本における主な職業分類体系としては、日本標準職業分類(総務省統計局、平成9年12月改訂)と労働省編職業分類(厚生労働省、平成11年11月改訂)の二つがある。
労働省編職業分類は、3階層で構成された日本標準職業分類に、実務上の必要性から手を加えて、4階層に細分類したものである。
現行の労働省編職業分類には約28千の職業名が収録され、大分類(9)、中分類(80)、小分類(379)、細分類(2,167)に分類されている。
(2)分類基準
職業分類における分類基準は次の事項を総合勘案したものである。

@必要な教育訓練の種類・期間

A扱う道具、設備原材料の種類
B製品や提供するサービスの種類
C組織の中で果たす役割
D従事する場所及び環境
E必要な資格・免許の有無
F全体で従事する人数の規模
このほか国際標準職業分類に則るなど様々な整合性が加味されてできたものである。
(3)分類の内容
職業と言ったとき、職業分類でいう細分類または小分類を指す。
分類の内容は、具体的には別表のとおりである。→職業別表

V.職業(分類)の意義

(1)ひととなりを伝える
現代日本における職業の最大の意義は、他人にその「ひととなり」を伝えるための必須項目の一つであることである。

自分を自己紹介するとき、反対に初対面の人のひととなりを最低限手っ取り早く把握するときに必要な項目として、「年齢」「性別」「住所地」「生い立ち」などと並んで「職業(仕事)」がある。
性別は一目瞭然であるし、年齢も会えばだいたいわかる。
初めて会った人のひととなりを知りたいとき、「あなたは何をやっている人ですか」(=職業・仕事)という質問は重要である。
職業を伝えることが、多くの場面でコミュニケーションの最初の一歩となる点で、「職業は何か」ということは、重要な社会生活上の事項である。
(2)求人求職上の必要性
職業(分類)の意義の2点目は、求人求職上の必須項目の一つであることである。
雇用における重要項目には、「仕事の内容」「賃金」「労働時間」「就業場所(=通勤時間)」などがある。
雇用する側もされる側も、「仕事の中身は何か」ということが最重要項目の一つである。
しかし募集広告の際、仕事の中身を細かく説明するスペースはとうてい望めないから、ひと言で表す必要がある。それが「職業(=職種)」である。
(3)職業指導、職業紹介
職業(分類)の意義の
3点目は、就職指導、職業指導・教育、職業紹介時の都合である。
かつての日本は、親の仕事を受け継ぐのがほとんどであったが、現代の日本では、広く職業選択の自由が実践されており、職業指導、職業紹介が広く行われている。それに当たり、職業を系統別に分類したり、整理することが必須なのである。
(4)人事管理
職業(分類)の意義の
4点目は、企業の組織・人事管理に欠かせない点である。
企業経営において、従業員の管理(=組織人事戦略)は、事業戦略、資金計画と並んで重要な三大経営戦略の1つである。
必要最適な体制の組織をつくり、必要な人材を採用し、配置し、教育し、人事評価して、賃金を改定し、人事異動・昇進人事を行う。
仕事によって、必要な知識、技術等の能力や成果の出し方がまったく違うから、仕事別に能力・成果基準を作り、それに基づいて採用や人事評価を行うことになる。
その際に、会社にあるすべての仕事を類似性でいくつかに区分し、系統的に仕事を管理する必要性が生じるわけである。
評価と処遇のページ参照

W.雇用事情の変化と現状の乖離

上記職業分類は、国が綿密な研究を重ねてできたものであるが、実際の雇用事情と重ね合わせてみると大きく乖離している部分が多々見受けられる。
昨今の企業経営・雇用事情を鑑みると、1990年代において大きな変化を見せた。
バブルの崩壊、平成長期不況、非正規労働の飛躍的進出、グローバル化、IT化など企業環境の大変化がその背景である。
この変化を現行の職業分類に着目しながら見ると特に次の点に注目される。
@競争の激化と技術革新、IT化の進展により、多様な商品とサービスおよびそれらの販売方法の開発が進み販売業・サービス業の増大各種販売職・各種サービス職の増大、開発や販売を促進する企画職、さらに顧客満足への重要性が高まり、各職務をつなぐ調整(コーディネート)職アフターサービス・メンテナンス職などが急増した。
A非正規社員の増大と業務の複雑多様化、合理化・機械化、経費削減等の要請で職業は益々細分化・単一作業に特化される傾向にある。

B総じて、競争の激化は、企業活動継続の大前提である「売上確保・拡大」に益々重点が置かれ、いまや公務を除く企業側から見たほとんどすべての職業の目的は組織の「売上拡大」に置かれるようになった。
C現在の職業分類は、平成9年(1997年)時点以前の現状を踏まえたとされる内容であるが、昨今の時の流れは1年ごとに目に見えるほど急激な変化を遂げており、既に陳腐化の批判は否めない。
以上の点において、現行の職業分類は、分類項目および職業項目について現実の就業実態にそぐわない部分が多くなっている。
現状において、現行職業分類は企業の求人時の募集職種としては極めてないがしろにされている。
企業は職業分類に関わらず勝手に職種(職業)名を名づけて募集している。あやしい求人
いきあたりばったりで名づけられた職種(職業)も多く、採用後の管理体制もないがしろにしているから、様々なところで不都合が生じている

X職務分類基準の検証と新たな職務(職業)分類の模索

(1)機能別基準
仕事は、一人で行うフリーランスの職業など例外を除けば、必ず分業によって成立する。

会社全体の評価結果はいわゆる「業績」と呼ばれるものである。会社の目的は業績を挙げることである。会社全体の業績は、会社の役員と社員一人ひとりの分業された仕事の成果の総合結果である。であるから一人ひとりの仕事の目的は、担当職務に与えられた目的と成果を達成することである。反対に職務の立場から見れば、職務とは、業績を挙げることを目的に編成された会社機能のパーツである。
したがって、職務における最重要の分類基準は、会社の組織機能別に編成されなければならない
さて、会社の機能であるが、業種によって特性がそれぞれあるが、概ねを網羅したものが別表のチャートである。
「企業組織と機能チャート」

会社の機能別は、会社が構築している組織部門別と同義である。組織部門にはそれぞれ目的がありその目的を達成するために必要な「態様」、「専門性」、「責任」などがある。これらは各人の「職務」においても同様である。
(2)専門性基準
仕事を遂行していくためには、無知識・無能力ではやっていけない。職務によっては資格を保有していなければやってはいけない仕事もある。高度な知識・能力・資格を身につけるためにはそれなりの勉強が必要だし、そのための時間と費用を費やしている。それが「専門性」である。だから専門性が高いとされる職業は、他の職業と比較して高い賃金を支給されるべきである。したがって職業の分類に当たっては、専門性の度合いによって分類される必要がある。
(3)態様別基準
職業を選択するとき、その仕事は「どんなことをする仕事か」ということを真っ先に思い浮かべる。例えば小売販売なら店内でお客様を待ち受け、お客様に商品を販売する。経理なら事務所内で会社の金銭の動きに係る計算や記帳を行う。
大工なら建築現場へ出向いて建物を建てる。
これが「態様」である。たくさんの人と接する仕事が好きとか嫌いとか、一日中机に座ってパソコン作業をすることが楽しいとか苦手だとか、モノを作ることが好きとか嫌いとか、いわゆる向き不向きというものが人にはある。
一方仕事の成果を測る上でも、違う態様の仕事をひとつにまとめて同じものさしで評価することなど不可能である。
このようなことから職務分類においては、態様別に分類される必要がある。
(4)基準総括
職務を分類する基準はその他、責任度、採用困難度、遂行困難度(つらさ)なども重要な要素である。他にも様々なものが考えられるが、仕事は、個人が自分の趣味志向に合わせてできるものではなく、会社の必要に応じて作られるものであるから、会社の機能別を中心に上記に挙げた基準を中心に構成されるべきである。
このようにして私が個人的に再構成してみたものが別表の一覧である。→職務分類の再構成

Y.最後に 〜職業名(職業分類)を重視する理由〜

経済社会が高度化した昨今、働くことは、そう簡単ではない。健康な身体さえあればなんとかなる、そんな時代は終わった。会社は確実に成果を期待すると同時に、人件費の節約に敏感になった。
労働者は、会社の期待要求にある程度でも応え続けていかなければ、雇用の継続が危うい状況となった。したがって自分の職務の目的や成果をはっきりと自覚する必要がある。
特に雇用の入口である求人募集とその応募について、募集職種の目的、期待成果をしっかり理解して入社していただきたい、というのが私の当ページ作成の意図である。
昨今、様々な職種名で求人が募集されている。簡単な電話による顧客応対と言いながら、実はノルマつきの内勤営業だったり、経理職として募集しながらお茶くみ、掃除、社長の身の回りの世話などをする雑用係だったり、わけのわからないカッコよさそうな横文字の職種名で募集されて、いざ働いてみると極めて単純な作業の繰り返しだったり、悪質営業職だったり様々な罠が待ち構えている。
そんな罠にはまり、失意のうちに退職や解雇されることのないよう、採用時においては仕事の内容と期待成果を把握し、自分が長く続けられる仕事かどうかをしっかりと見極めることが重要である。