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転職市況 2007

平成18年4月15日リニューアル
平成20年2月10日更新

T.景気と株価、失業率と求人倍率の推移
U.区分別求人求職市況
V.環境別就職率
W.総括

T.景気と株価、失業率と求人倍率の推移


景気、株価、失業率、求人倍率のいずれの推移を見ても、日本経済は平成14年から景気上昇局面に入った。
指標の上で見るとこれだけ明らかな戦後最長と言われるほどの長期上昇景気となったが、生活者の感覚として景気の良さがあまり感じられないのが不思議である。
その上昇景気も平成19年の秋には翳りが見えている。平成20年は下降局面に移る可能性が高い。

U.区分別求人求職市況

1.総説

平成19年の完全失業率は3.9%、有効求人倍率は1.04倍であった。
失業率が4%を下回ったのは10年ぶりのことである。
求人倍率は前年の1.06倍を下回ったが、昨年1倍を越えたのはバブル期以来であった。

新卒市場は数年前から売り手市場の様相が加熱している。
しかし、中途就職について求職が容易になったかというと必ずしもそうではない。
雇用の多くはこの10年、5年の間に激しい勢いで「非正規雇用」に置き換わってしまっている。

平成19年10月より、雇用対策法の改正で求人の年齢制限が禁止された。
しかしまだまだ事実上は年齢制限は残ることは間違いない。改正法の当該事項に企業への罰則が付けられていないのだ。
採用時の男女差別は機会均等法で禁止されて久しいが、未だにこの差別が社会から全廃されているわけではない。
ただし見かけ上、求人に性別を載せることができなくなったので、男女別の求人というのはなくなった。

前述した求人倍率は、全国平均の有効求人倍率であって、現実の求人倍率は、「年齢」「職業」「地域」「雇用形態」の別で著しく格差を生じている。

次に記すのは、それぞれの条件別の求人倍率である。

2.雇用形態別求人倍率

全数
合計 常用 臨時・季節 パートタイム以外 パートタイム
小計 常用(常用的パートタイムを除く) 常用的パートタイム 小計 臨時・季節(パートタイムを除く) 臨時的パートタイム
小計 正社員 契約・派遣社員
I G+H D B+C B @+A @ A C G E+F E F H B+E G C+F
有効求人数(実数) 26,157,618 24,360,069 16,572,499 11,405,615 5,166,884 7,787,570 1,797,549 1,168,771 628,778 17,741,270 8,416,348
有効求人数(構成比) 100% 93% 63% 44% 20% 30% 7% 4% 2% 68% 32%
有効求職者数(実数) 25,132,845 24,477,193 18,588,340 - - 5,888,853 655,652 643,248 12,404 19,231,588 5,901,257
有効求職者数(構成比) 100% 97% 74% - - 23% 3% 3% 0% 77% 23%
有効求人倍率 1.04 1.00 0.89 0.61 0.28 1.32 2.74 1.82 50.69 0.92 1.43
出所 厚生労働省 職業安定業務統計 平成19年
この10年で劇的に変化したのが契約社員・派遣社員・請負社員などフルタイムの非正規雇用形態の発生である。
このことは有効求人数(構成比)をみると端的にわかる。正社員求人が44%、契約・派遣社員が20%、パートタイマーが32%となっている。(請負社員は請負会社の正社員である場合と契約社員である場合がある。)

有効求人倍率の全国平均が1.04と言っても、正社員に限れば0.61と低水準であることがわかる。
一方でパートタイマーであれば1.32と就職が非常に容易である。
またパートタイマーとして就職希望者のうちほぼ全員が「常用」を希望している。
この統計では、「4ヶ月以上」の契約を常用と呼び、それ未満の契約を臨時と呼んでいる。

3.職業別求人倍率

職業 求人倍率 職業 求人倍率
職業計        1.00 運輸・通信の職業 通信運輸小計 1.53
専門的・技術的職業 専門・技術小計 1.77 鉄道運転の職業 0.37
機械・電気技術者 4.26 自動車運転の職業 1.58
鉱工業技術者 1.71 船舶・航空機運転の職業 0.32
建築・土木・測量技術者 1.74 その他の運輸の職業 0.99
情報処理技術者 3.43 通信の職業 2.12
その他の技術者 1.21 生産工程・労務の職業 生産労務小計 0.98
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 5.58 金属材料製造の職業 2.11
保健師、助産師、看護師 2.25 化学製品製造の職業 1.64
医療技術者 2.03 窯業製品製造の職業 2.38
その他の保健医療の職業 1.23 土石製品製造の職業 1.67
社会福祉専門の職業 1.47 金属加工の職業 2.26
美術家、デザイナー、写真家 0.42 金属溶接・溶断の職業 2.28
その他の専門的職業 0.81 一般機械器具組立・修理の職業 1.03
管理的職業 0.62 電気機械器具組立・修理の職業 1.43
事務的職業 事務小計 0.36 輸送用機械組立・修理の職業 1.70
一般事務の職業 0.25 計器・光学機組立修理の職業 3.43
会計事務の職業 0.78 精殻・製粉・調味製造の職業 1.42
生産関連事務の職業 1.30 食料品製造の職業 1.37
営業・販売関連事務の職業 1.26 飲料・たばこ製造の職業 1.50
外勤事務の職業 2.45 紡織の職業 1.47
運輸・通信事務の職業 2.20 衣服・繊維製品製造の職業 1.13
事務用機器操作の職業 1.10 木・竹・草・つる製品製造の職業 0.95
販売の職業 販売小計 1.22 パルプ・紙・紙製品製造の職業 1.56
商品販売の職業 1.15 印刷・製本の職業 0.85
販売類似の職業 3.16 ゴム・プラスチック製品製造の職業 2.67
サービスの職業 サービス小計 2.13 革・革製品製造の職業 0.92
家庭生活支援サービスの職業 1.83 装身具等製造の職業 1.13
生活衛生サービスの職業 2.11 その他の製造制作の職業 0.89
飲食物調理の職業 1.72 定置・建設機械運転の職業 1.08
接客・給仕の職業 3.67 電気作業者 2.35
居住施設・ビル等の管理の職業 0.63 採掘の職業 0.56
その他のサービスの職業 1.68 建設躯体工事の職業 5.49
保安の職業 4.29 建設の職業 1.80
農林漁業の職業 0.84 土木の職業 1.22
運搬労務の職業 1.26
その他の労務の職業 0.37
出所 厚生労働省 職業安定業務統計 (常用求人のみ) 平成19年

4.都道府県別求人倍率

都道府県 求人倍率 都道府県 求人倍率 都道府県 求人倍率 都道府県 求人倍率
0 全国 1.04 12 千葉県 0.94 24 三重県 1.40 36 徳島県 0.89
1 北海道 0.56 13 東京都 1.38 25 滋賀県 1.31 37 香川県 1.29
2 青森県 0.47 14 神奈川県 0.95 26 京都府 0.95 38 愛媛県 0.87
3 岩手県 0.73 15 新潟県 1.12 27 大阪府 1.26 39 高知県 0.50
4 宮城県 0.93 16 富山県 1.19 28 兵庫県 0.94 40 福岡県 0.85
5 秋田県 0.61 17 石川県 1.35 29 奈良県 0.81 41 佐賀県 0.70
6 山形県 0.94 18 福井県 1.40 30 和歌山県 0.90 42 長崎県 0.62
7 福島県 0.89 19 山梨県 1.07 31 鳥取県 0.75 43 熊本県 0.82
8 茨城県 0.98 20 長野県 1.18 32 島根県 0.92 44 大分県 1.03
9 栃木県 1.45 21 岐阜県 1.35 33 岡山県 1.43 45 宮崎県 0.67
10 群馬県 1.63 22 静岡県 1.21 34 広島県 1.19 46 鹿児島県 0.61
11 埼玉県 1.01 23 愛知県 1.95 35 山口県 1.07 47 沖縄県 0.42
出所 厚生労働省 職業安定業務統計 平成19年

5.年齢別求人倍率

年齢計   19歳以下 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 40〜44歳 45〜49歳 50〜54歳 55〜59歳 60〜64歳 65歳以上
有効求人数
(就職機会積み上げ方式)
24,360,069 452,517 3,079,995 4,636,790 4,230,650 3,073,916 2,024,244 1,608,724 1,539,168 1,880,183 1,373,897 459,985
有効求職者数 24,477,193 486,518 2,717,550 3,803,249 3,492,199 2,745,846 2,061,680 1,875,377 1,986,115 2,681,327 1,976,907 650,425
有効求人倍率 1.00 0.93 1.13 1.22 1.21 1.12 0.98 0.86 0.77 0.70 0.69 0.71
出所 厚生労働省 職業安定業務統計 (常用求人のみ) 平成19年

 

V.環境別求人倍率

具体例 個別求人倍率 環境別求人倍率
年齢 雇用形態 職業 地域 年齢 雇用形態 職業 地域
例1 40 正社員 事務職 埼玉県 0.98 0.61 0.25 1.01 0.15
例2 28 正社員 営業職 大阪府 1.22 0.61 1.15 1.26 1.08
例3 34 正社員 電気技術職 長野県 1.21 0.61 4.26 1.18 3.71
例4 57 正社員 製造職 山口県 0.70 0.61 0.98 1.07 0.45
例5 46 正社員 運転職 熊本県 0.86 0.61 1.58 0.82 0.68
例6 23 パート 接客給仕職 岩手県 1.13 1.32 3.67 0.73 4.00
例7 64 臨時社員 警備職 三重県 0.69 1.82 4.29 1.40 7.54
例8 30 正社員 情報処理技術職 徳島県 1.21 0.61 3.43 0.89 2.25
例9 50 正社員 介護職 新潟県 0.77 0.61 1.68 1.12 0.88
例10 52 正社員 調理職 滋賀県 0.77 0.61 1.72 1.31 1.06
例11 25 正社員 会計事務職 沖縄県 1.22 0.61 0.78 0.42 0.24
例12 36 パート 清掃職 愛知県 1.12 1.82 0.37 1.95 1.47
例13 43 正社員 看護師 北海道 0.98 0.61 2.25 0.56 0.75
例14 58 季節社員 土木作業職 東京都 0.70 1.82 1.22 1.38 2.14
例15 39 正社員 販売員 秋田県 1.12 0.61 1.15 0.61 0.48
例16 20 正社員 食料品製造職 富山県 1.13 0.61 1.37 1.19 1.12
例17 44 正社員 テレフォンアポインター 広島県 0.98 0.61 1.26 1.19 0.90
例18 51 正社員 保険外交員 大分県 0.77 0.61 3.16 1.03 1.53
例19 35 パート 事務補助職 島根県 1.12 1.32 1.10 0.92 1.50
例20 49 正社員 接客給仕職 茨城県 0.86 0.61 3.67 0.98 1.89

W.平成19年総括

再度有効求人倍率のグラフを見て欲しい。
有効求人倍率が高くなっているところは、高度成長期とバブル期と今回である。
有効求人倍率が1倍を越えるということは、めったにないことなのだ。
今回の景気は「庶民への還元なき景気回復」と言われているが、先の平成不況期と比べれば、よくなったことは間違いない。
求人倍率1.04という数字は、非正規雇用の増大というマイナス面を差し引いても、求職者にとって大変意味のある数値である。
環境別の求人倍率の具体例を挙げてそれぞれ検証してみたが、中高齢者、正社員希望者にしてもそこそこの数字が出ている。

(ただし、私見として年齢別の求人倍率は、疑問符がつく。40代、50代は現実にはもっと少ない気がする。
ハローワーク以外でも求人媒介が百花繚乱しているが、これらの求人には事実上40歳以上の求人が極めて少ない。
また正社員以外の求人が圧倒的多数である。)
区分別求人倍率に、「性別」の資料はない。しかし性別で求人が制限されているものも事実上は少なくない。
年齢と性別は、自分ではどうにもできないことである。
自分で変えられる条件は、「雇用形態」「地域」「職業」の3つである。
これらの求職条件を自ら変更することによって、「どこかに就職すること自体は不可能ではない」ということがこれらの検証結果から言えるのではないだろうか。
振り返れば平成19年は、前年の偽装請負、ワーキングプア、ネットカフェ難民に始まり、派遣労働の問題点が大きく叫ばれ、非正規労働者の過労死・過労自殺、救済されない労災事故、加入できない健康保険・年金制度などがクローズアップされた。
明らかに「労働社会が崩壊」したことを示す事実の数々であった。
しかし、このように崩壊した労働社会であるが、今なら何とかどこかへ就職することだけは、可能な状況である。
もちろん再就職できたといって糠喜びは禁物である。
やっとの思いで入社した中小企業、非正規雇用には、会社側の契約違反、違法強制労働、非人間的扱いの数々が待ち構えている。
そのとき、また辞めるか、それとも我慢するかの選択はとても重要である。
選択のカギは、次の4つにかかっている。
@社会の雇用情勢
A自分の就職力
B自分の忍耐の許容量
C自分の「働くこと」の価値観
要は「自分自身の人生」と「社会情勢」をよく見極めるということである。
労働者は生活費を稼ぐために、どこかの会社に就職して働くしかない。
しかし労働社会は崩壊している。まともな会社に入れる可能性は1%。残りの99%はまともでない会社であると私は考えている。

世の中まともでない会社ばかりである、という認識をしっかりと持つことが大切である。
まともでない会社で、自分はどうやって働いて、どうやって心を正常に保ち、どうやって心を成長させていくか。
それが現代日本の労働者に与えられた「試練」なのではないだろうか…。