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平成14年7月26日

労使トラブルのページ


目     次
T はじめに
U 労働権の侵害行為
V 違法性の判断 不当解雇
残業強制とサービス残業
休暇申請却下
人事異動権の濫用
セクシャル・ハラスメント
給与の減額
損害賠償請求
不当懲戒処分
退職妨害(強制労働)
W 対処方法と相談機関

T.はじめに

労働者保護法のページで触れたように、労働者には「よりよく働く権利」があります。
よりよく働く権利とは、「人たるに値する生活を営むために必要な労働条件の下で働く事ができる権利」です。

しかし、我々労働者はこの権利をしばしば会社から侵害されます。小さなものも入れれば誰でも何らかの侵害を受けていると言っても過言ではありません。それほど日本企業の労働環境は憲法の理念や法律に照らすと劣悪なのです。

今、あなたは会社から 表題こそ「労使トラブルのページ」としましたが、労使トラブルの大半は会社の労働者に対する労働権の侵害行為なのです。
このページは労働権の侵害を受け、または侵害の危機にさらされている労働者のために、関係法令の説明と対処方法について解説しました。

U.労働権の侵害行為

我々労働者が会社からしばしば受ける労働権の侵害行為の主なものは次のとおりです。
項     目 内              容
1 不当解雇 気に入らないので、理由をでっち上げて解雇する、または気に入らないという理由そのもので解雇する。
2 残業・休日出勤強制 正当な手続きを踏まず、残業・休日出勤を強制し、または残業しないと仕事が追いつかない業務量の仕事を与えて、期限までに仕事の完成を暗に明に強要する。
3 サービス残業 残業・休日出勤をさせて、残業手当・休日出勤手当を支払わない、または割増分を支払わない。
または正当な手続きを踏まず、裁量労働とか事業場外労働などと称して、残業・休日手当を支払わない。
中間管理職など下級役職者に対し、管理職だから出ないと勝手に決めて残業・休日手当を支払わない。
4 休暇申請却下 年次有給休暇、産前産後休暇、育児休業、介護休業など法律で決められた正当な休暇の申請を受け付けない、またはそもそも申請させない。
5 人事異動権の濫用 嫌がらせの目的で遠距離の勤務地に配置転換したり、勤まらない職種に異動させる。
6 セクハラ (典型例)上役の立場にある者が社内的発言権を利用して、異性の社員に交際等を迫り、それを拒否した結果、不利益な処遇を行う。
7 給与の減額 正当な手続きを踏まず、一方的に給与を減額する。
8 損害賠償請求 職務遂行の結果として会社に損害を与えたため、会社から損害賠償を請求される。
9 不当懲戒処分 不当な懲戒処分に処せられる。
10 退職妨害
(強制労働)
正当な退職願を受理せず、または退職日を不当に長期間延長したり、あるいは年金手帳を返さなかったり、源泉徴収票を交付しなかったり、離職票を交付しなかったりして嫌がらせをする。

V.違法性の判断

1.不当解雇

解雇の違法性には労働法上の違反と民法の違反の2種類があります。

(1)労働法上の違反

次の場合の解雇は労働法上、禁止されています。
解雇の内容 根拠法
業務上の傷病により休業期間及びその後30日間の解雇 労働基準法19条
産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇 労働基準法19条
国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇 労働基準法3条
労働者が労働基準監督署へ申告した事を理由とする解雇 労働基準法104条
労働組合の組合員である事、労働組合の正当な行為をした事等を理由とする解雇 労働組合法7条
女性である事、あるいは女性が婚姻、妊娠、出産した事、産前産後の休業をした事を理由とする解雇 男女雇用機会均等法8条
育児休業の申し出をしたこと、または育児休業をしたことを理由とする解雇 育児介護休業法10条
介護休業の申し出をしたこと、または介護休業をしたことを理由とする解雇 育児介護休業法16条

(2)民法上の違反

解雇が有効か無効かは民法90条(公序良俗違反)にかかる問題となり、これがいわゆる解雇権の濫用法理と言われるものです。また有効だが違法であるという場合は民法709条(不法行為)にかかる損害賠償請求となります。
ここでは、どういう解雇が正当な解雇かを紹介して、それ以外は不当解雇に当たるという説明とします。
(正当)解雇の種類
種類 説明 具体的事由
普通解雇 業務遂行上、何らかの不都合が生じたために講じる手段としての解雇 業務外の理由で健康状態が悪く、正常に勤務できないと判断したとき
業務に非協力的で協調性を欠き、社員として不適格と判断したとき
勤務成績・勤務態度不良と判断したとき
整理解雇/業務の縮小や事業所の廃止で人員削減を行う必要があるとき
懲戒解雇 職場の秩序を乱した社員の行為を懲戒する手段としての解雇。
ただ解雇するだけでなく、退職金を不支給とする等の懲戒措置が付加される。
盗み、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があったとき
賭博、風紀紊乱等により、職場の規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼしたとき
採用の重要な要素となる経歴を詐称したとき
二重就職をしたとき
2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じないとき
出勤不良で数回にわたり注意をしても改まらないとき
業務上の重要な秘密を漏洩し、または漏洩しようとしたとき
故意に会社の設備などを破壊し、また無断で商品や重要記録書類などを持ち出し、または持ち出そうとしたとき
正当な理由なく、会社の重大な命令および重要な規則に従わないとき
10 職務を利用して不正行為を行い、不当な利益を得た、または第三者に得させたとき
11 数回懲戒を受けたが、改悛の情なくなお違反行為があったとき
12 顧客とのトラブル等信頼関係の破壊があったとき
13 会社や役員の社会的信用や名誉を毀損する行為があったとき
注1)懲戒解雇を情状酌量する形で退職金を支給する「諭旨解雇」というのもある。
注2)懲戒解雇は就業規則に基づいた処分でなければならない。
注3)懲戒解雇としては無効であるが、普通解雇として有効とされるケースもある。
注4)整理解雇が有効であるためには次の4つの要件が必要です。
        @人員整理が経営上不可避であること
        A解雇回避のための十分な努力がなされたこと
        B解雇者の選定基準に合理性が認められること
        C労働者側との間に十分な説明と協議がなされたこと

2.残業強制およびサービス残業

労働者にとって、最も大切な労働条件は賃金と労働時間の2つです。
 この点企業にとって名目賃金を極端に低くして労働者を募集すると、労働者が集まらないため、名目賃金は世間相場になるべく近い金額を支給する事としながらも、労働時間を長く働かせる事で実質賃金を低く押さえることによって、人件費を節約してより多くの利益を出そうとする。

一方、労働基準法で1日の労働時間は原則8時間、1週の労働時間は原則40時間と決められている。
そこで企業は名目労働時間をこのとおりとして労働者を採用しながら、その実態として残業や休日労働を恒常的に強制するという手段をとるわけです。

企業が労働者に対して適法に残業を命じる事ができる場合は、労使協定を結んで行政官庁に届け出て、なおかつ就業規則で残業を命じる事ができる旨を規定してある場合のみです。
さらに残業させた場合は、その時間に対応する割増賃金を支払わなければなりません。

企業は一定の労働者に対して、残業させても残業手当を支給しないルールを決めて運用している例が実に多いが、それは多くの場合違法です。残業規制適用外社員と適用社員の区分は以下のとおりです。 
職種等 残業規制対象外社員 対象となる社員
管理職 上級管理職で、役員と一体的立場・待遇にある者
(出勤・退社時間が拘束されてない者)
(賃金・待遇において一般社員に比べ格段の厚遇を受けている者)
一般的には部長未満の役職者
営業職 一日中外回りでその間が、通信機器で業務指示・報告等連絡を取り得ない状況にある者 携帯電話等で通常、上司と連絡が取れる状態にある者
裁量労働制 裁量労働者として適法な手続きを踏んだ者 適法な手続きを踏んでない者
※年俸制の社員、一般契約社員も残業規制の対象となり、残業手当の支給が必要です。
※朝礼、会議、研修の時間も労働時間であり、時間外に行われれば残業手当の支給が必要です。
※ホワイトカラーにとって辛いところがあります。多くのホワイトカラー正社員は仕事の量と質(つまりは期限)と仕事の進め方に対する一定の裁量権をまとめて会社から与えられます。その与えられた仕事は、通常の能力者が通常の能力を発揮して仕事を進めたときに所定労働時間の中で完成できる量と質なのかを適切な職務分析の上に仕事を配分しているわけではないということです。残業が恒常的に発生する職務は、そもそも配分された仕事の量と質が多いのです。所定労働時間中、精一杯の能力を発揮しても仕事が時間内に終わらないとき、それは会社の職務配分が不適切であることに問題があります。しかし現実にそういって残業をせずにすますことができるのか、それは大変に勇気のいることです。 

3.休暇申請却下

法律で定められた主な休暇として年次有給休暇、育児休暇、介護休暇(まとめて「法定休暇」と呼ぶ。)があります。
当社(の就業規則)にそんなものはない!などと暴言を吐く会社もまだ多くあるようです。
それは労基法・就業規則違反を犯していることを社員に公言しているにほかなりません。

4.人事異動権の濫用

会社は気に入らない社員に対し、みずからリスクも背負う解雇処分はせず、あの手この手で嫌がらせをして、自主退職を誘引します。そのもっとも典型的な手段は、仕事が勤まらないような状況に社員を追い込む方法であり、具体的には@毎日深夜まで残業しないと追いつかない量の仕事を与える、A職種転換(人事異動)で能力・経験のない職種に転換させる、B勤務地異動(人事異動)で通勤困難な勤務地、または赴任できない家庭事情のある者に転勤命令を出す、などの方法が使われます。

〜人事異動の全権は会社にあるのか〜
人事異動の権限は必ずしも会社固有の経営権ではありません。会社がその社員の人事異動を自由に行い得るか否かは@労働契約上の制約はないか、A経営上必要な処置か、B会社のルールと慣例に照らしてどうかなどで判断されます。
(1)一般的中途採用の場合
   一般的中途採用の場合、はじめに会社は@職種、A勤務地を指定して社員の募集をします。社員はそれに応募して採用されるわけですから、この2つについて会社と社員の合意がない限り、原則として会社が勝手にこの条件に反する人事異動を命ずる事はできません。

(2)職種別・コース別新卒採用の場合
   次に新卒採用で職種別やコース別(総合職コース、勤務地限定コース、一般職コースなど)の枠により、入社した場合、会社の人事異動権はその枠の中で自由ということになります。

(3)新卒従来型採用の場合
   従来からの一般的な新卒採用は、(1)の場合と違い、職種・勤務地の指定はありません。したがって、この場合、会社は業務上の都合で社員に対し、原則として自由に異動命令を下す事ができます。

(4)不当な動機・目的で行われた人事異動
   権利の濫用と判断され、無効となります。


(5)裁判例からの考え方
   裁判例では会社の人事異動権は経営権の一部として重視する傾向にあります。具体的には次のとおりです。
  1. 職種限定の採用であっても、「これ以外の職種には就かせない」という反対合意がない限り、就業規則に異動の取り決めがあれば、それが優先される。(医師など社会的に確立された職種を除く。)
  2. 勤務地限定で採用されても、会社経営上やむを得ない措置である場合は、勤務地異動の命令も有効である。
  3. 家を離れる事が相当困難な家庭事情にある社員に対する転居を伴う異動命令も業務上必要な措置であれば有効である。

5.セクシャル・ハラスメント

セクシャルハラスメントには、均等法上の違反と民法上の違反の2種類があります。

(1)均等法第21条違反

均等法上のセクハラの定義
職場において行われる@性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、Aまたは当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されること
@の典型例 上司から身体を触られたのではっきりと抗議をしたり、デートの誘いが数回に渡ってあったのできっぱりと断った結果、解雇、降格、減給などの不利益を受けた。
Aの典型例 上司または男性の先輩がしばしば性的経験や容姿、身体のことについて聞かれるので、とても苦痛に感じている。
留意点 (ア)勤務時間中の職場での行動に限られます。(強制忘年会は対象となる)
(イ)女性が男性から受けたものに限られます。男性加害者の範囲は役員、上司の他、その職場で働く者(派遣社員や派遣先社員)、取引先、顧客も入ります。
※均等法違反に罰則はありません。就業環境の改善と不利益処分の撤回が行われます。

(2)刑法・民法上の違反

刑法及び民法上、セクシャルハラスメントという定義はありません。一般的には次のように定義されます。
相手方の意に反する性的な言動で、それに対する対応によって仕事を遂行する上で、一定の不利益を与えたり、就業環境を悪化させること
刑法・民法上の違反があったかどうかは個別に判断されます。判断によっては次の違反に該当する事があります。
刑 法
強制わいせつ罪 176条
暴行罪 208条
強姦罪 177条
名誉毀損の罪 230条
侮辱罪 231条
脅迫罪 222条
民 法
不法行為(人格権の侵害) 709条
損害賠償責任(事業主が負う) 715条

6.給与の減額

給与は、労働契約、就業規則(賃金規程)または人事制度等社内規程に基づいて決定されます。
さて、給与の減額が正当な場合とはどんな場合でしょうか?  以下表にまとめました。
正当な給与の減額のケース
就業規則の定期給与改定に基づく降給の場合
就業規則の懲戒に基づく一定期間減額の場合
人事異動による場合
(例1:都市から地方へ転勤になったため、都市手当がなくなった。)
(例2:営業係長から総務主任へ異動になったため、基本給の減額となった。)
人事制度や賃金規程の改定が有効に行われた場合で、ごく一部の社員について従来の金額より下がってしまう場合
会社が経営危機に陥った場合に、高度な経営政策として社員の給与を公平にカット・減額する場合
勤務成績が悪い社員について、解雇するには忍びないので、成績に見合った給与に改定して雇用を継続する場合
これ以外の理由で、経営者が恣意的に行う給与の減額は無効となります。

7.損害賠償請求

会社から社員に対して、損害の賠償を請求する事は民法上可能です。また通常、入社時には会社に損害を与えた場合、その損害を賠償しますなどという誓約書を差し入れてます。さらに就業規則に損害賠償の規定がある会社もあります。

しかしながら、現実に幹部社員以外の社員が民法上損害賠償の責めを負わされるケースはよほどのことがない限りありません。何故なら、労働者は職務遂行において上司の指揮命令下で行っているからです。もし、自分の行為が結果として会社に損害を与えてしまった場合、その責任はその者の上司にあります。

もし、会社から損害賠償の請求をされたとき、それはたいていの場合不当な請求ですから、きっぱりと会社の責任である事を述べて拒否しましょう。それによって他の不利益な処分を受けたときはその処分も当然に無効です。

8.不当懲戒処分

懲戒または制裁とは、職場内の秩序を維持するため、その秩序を乱した労働者に対して、一定の不利益を課すことです。
懲戒には一般に次のような種類があります。
懲戒の種類 内容
譴責、戒告、訓戒 始末書を提出させるか、戒告書を与えて将来を戒めること
減給 給料の一部を支給しないこと
出勤停止 一定期間出勤を停止し、その間の賃金を支給しないこと
昇給停止 次期昇給を停止すること
降職、降格 降職とは、役職を下げること
降格とは、資格制度のある会社において本人の資格を下げること
諭旨解雇 説諭して自発退職の形で解雇すること
懲戒解雇 戒めて解雇すること。退職金は支給しない
※下にいくにつれて、懲戒の程度が重くなる。
懲戒処分に処するための具体的事由には、一般に次のようなものがあります。
(懲戒解雇・諭旨解雇該当事由については、「不当解雇」の項で記述済み)
懲戒事由(懲戒・諭旨解雇事由を除く)
就業規則、その他諸規則に違反した場合
火気の取扱いを粗略にした場合
職務怠慢、不注意のため事故を起こし、職務に重大な支障を起こさせた場合
勤務時間中、許可なくみだりに使用をなした場合
会社の設備または資材、商品を私用に供した場合
自己の職責の範囲を超え、専断の行為があった場合
言動不良のため職場の規律を乱し、また会社の対面を著しく汚した場合
会社の施設、構内において許可なく印刷物の配布、掲示、演説、放送などなした場合
無断欠勤をしばしばするなど勤務不良の場合
会社が社員を懲戒処分に処するためには次の要件が必要です。
就業規則に該当する懲戒事由であること
就業規則に定められた処分の種類であること
行為と処分が均衡していること
不当懲戒処分には、次のようなものが考えられます。
就業規則自体が無効である場合
(ただし、就業規則が無効となっても懲戒処分が必ず無効になるとも限らない)
就業規則に懲戒事由または処分の種類の記載がない内容で処分が下された場合
(ただし、記載がなくとも明らかに企業秩序を乱し、企業目的遂行に害を及ぼす行為があった場合は正当な処分とされる)
懲戒該当事由が客観的事実と異なる場合
比較的軽い違反行為に対して、懲戒・諭旨解雇など重い制裁に処された場合
減給の制裁について、労基法の範囲を超えた減給が行われた場合

9.退職妨害(強制労働)

正社員の場合、雇用契約の期間は定められておりません。定めのない雇用契約はいつでも解約(退職)の申し出をすることができます。(民法627条)
退職の効力が発生する日は、次のとおりです。
時給者、日給者 退職の意思表示(退職願の提出)後、2週間後
月給者、週休者、年俸者 給与計算期間の前半に退職の意思表示をした場合 翌計算期間の初日
給与計算期間の後半に退職の意思表示をした場合 翌々計算期間の初日
この他、就業規則で中途退職の定めがあります。例えば「1ヶ月前に願い出て承認された場合、退職とする。」と定められていたときはどうでしょうか?
この場合厳密に言えば、民法に抵触する部分の就業規則は無効ですので、1ヶ月未満で退職できるケースもあるわけです。また、承認されなくても退職できるわけです。
悪質な企業が世の中には存在します。それは意外に上場企業の中にも存在します。
こんな実例がありました。
これは労働基準法で最も重い罰則が設けられた「強制労働の禁止(5条)」の違反です。
嫌がらせ行為はそれぞれの行政官庁に相談すればすぐに解決します。脅しを真に受けてはいけません。

W.労使トラブルの対処方法と相談機関

上記Uの労使トラブルに見舞われたとき、上記Vで労働権の侵害行為であるのかどうかを判断します。
次に具体的に上記Vでどの法律に違反をしているのかを判断します。

会社が社員へ処分を行うとき、それが法律に触れるものかどうかくらいの察しはついていて、その上でやっている場合が多いです。ですから、「法律に違反している可能性があります」とか「行政官庁に問い合わせてみます」とか言うと会社はそれだけで態度を軟化させ、処分を改める場合があります。
国は憲法で我々労働者に対して「よりよく働く権利」を保障しています。だから国は、労働者がその権利を不当に侵害されたとき、労働者の申し出により、国みずからが対応に当たり、憲法の理念を守り、労働者の生活を守る義務があります。
国はその目的を達成するため、相談機関を設置して対応しています。

労使トラブルは、まずは自分が会社側と交渉することが原則です。自分自身の問題ですから当然です。
しかしながら立場の弱い労働者がひとりで経営者と交渉して解決にまで至るには実際、困難な場合が多いです。
交渉しても解決しない場合、相談機関に相談します。
どこに相談すべきかは、トラブルの内容と管轄する法律によって違います。相談機関の選択を誤るとまったく相手にされないか、自分の意図しないアドバイスを受けたりすることがありますので、問題の適切な把握が必要です。
主な相談機関は下記のとおりです。
機関 所属 目的 相談・申告案件
労働基準監督署 厚生労働省 労働基準法を取り締まる機関 労働基準法の違反があった場合に申告します。
(労基法以外は関与しません。)
企業に対して
強制的是正命令権と罰則適用権限がありますので、明白かつ重大な労基法違反と思われる場合は、適切な対応が期待できます。
労災申請の受理・決定と支給を行う機関
労働安全衛生法を管理する機関
労政事務所 都道府県 労使紛争のあっせんを行う機関 労使の間に入って問題解決の仲立ちをしてくれる機関です。
強制的権限はないので、仲立ちが不調に終わればそれ以上のことはできません。
ただし、扱ってくれる問題の範囲は労基署より広く、労基法に限らず、
労使トラブル全般に対応してくれます。
民法にかかる労使問題の場合、最初の窓口として利用するのに適切な機関です。
労働情報を収集・提供する機関
雇用均等室 都道府県 女性の社会進出を推進する目的で、均等法、育児介護休業法、パート労働法等を管理する機関 均等法、育児介護休業法、パート労働法その他女性の採用差別や不利益取扱いにかかる労使トラブルや悩みについての相談を受け付けています。
アドバイスや仲立ちをしてくれますが、法律そのものに罰則規定がなく、最終的に問題が解決しない場合は企業への
是正勧告にとどまります
公共職業安定所(ハローワーク) 厚生労働省 雇用保険の適用、給付を行う機関 失業給付にかかるトラブルの窓口です。
労働者派遣法を管理する機関
無料法律相談
(労働相談)
市区町村 生活上のトラブルに対して、それぞれの専門家がアドバイスをする。 民法または刑法にかかる労使トラブルで、労政事務所等で解決できない場合、民事または刑事訴訟となります。
無料法律相談では、対応方法のアドバイスの他、訴訟の準備・心構えなど概要を聞くことができます。
都道府県
法律扶助協会
様々な生活上のトラブルに対して、弁護士がアドバイスする。
弁護士や司法書士を紹介し、資力のない者に対しては裁判費用を一時立替える。
総合労働相談コーナー 都道府県労働局 個別労働紛争のあっせんを行う機関。 個別労働紛争が増加している事から平成13年10月に「個別労働紛争解決促進法」が施行され、それを受けて設置された行政機関です。
個別的な労働トラブル全般の相談ができます。
できたばかりで実際の解決能力は未知数です。
労働条件相談センター (社)全国労働基準関係団体連合会 様々な労働条件に関する相談に応じる全基連の活動内容の一つ。厚生労働省の委託事業。 労働トラブル全般の相談ができます。
平成10年7月より開始され、数多くの相談が寄せられている。
解決についての強制力はない。
労働組合 労働者の労働条件の向上を図る目的で設立された、法律で認められた民間団体 労働トラブル全般の相談ができます。
企業内に労働組合がない場合、1人でも入れる一般(合同)労働組合が各地域にあります。
行政機関ではないので、強制力はもちろんありません。
組合に加入すれば法律で認められた優位的な団体交渉権があるため、解決に向けて強力なサポートも期待できます。
※解決が行き詰まった場合または不服が残った場合、どれも最終的には民事訴訟を起こすことができます。
※社会保険、年金にかかる会社とのトラブルは社会保険事務所に相談します。