ニッポン有力企業2007
平成19年12月20日
| T.はじめに | U.企業の意義と目的 | V.よい会社とは | W.有力企業評価 | X.最後に |
企業とは何か。
「日本企業の歴史と考察」のページでは、企業の成り立ちから発展の歴史を見てきた。
本来企業はどうあるべきか、という命題の前に、歴史を見れば企業の真の姿が見えてくるだろう。
先のページでも触れたが、企業は経済の主体であり、いまや高度に発展した日本社会において、消費者として、労働者として、もし企業がなければ、私たち日本人は日常生活において手も足も出ない状態になるほど、企業に依存した社会となっている。
「企業の社会的責任」とよく耳にするが、経営者によっては「そんなものはない」とバッサリ切って捨てる人もいる。
そしてそれはそれで100%間違った答えだと言い切ることもできない。法律に書いてあるわけではないのだから。
「企業の社会的意義」としたらどうだろうか。この表現なら支障なさそうである。
社会的意義の基本は次の3つである。
@財・サービスの提供
A雇用の創出
B納税
社会的意義とまでは言えないが、プラスアルファで企業に求められているものとして次のようなものがある。
C環境配慮
D社会貢献
E遵法経営
F情報開示
G就業条件整備
H顧客満足
また企業は、生身の人間と違い、永く存在し続けることが可能であり、継続自体が企業の大きな目的でもある。
永く継続するためには、利益を出し続け、キャッシュを潤沢に保有することが必要である。
つまり、「I財務体質」を常に良好に保っていることが重要である。
よい会社と一口に言っても、立場によって様々な見方がある。
@経営者にとっては、高い報酬が得られて名誉を上げることができれば満足する。
A労働者にとっては、働きやすい環境で給料が高ければ満足する。
B消費者にとっては、安くてよい商品を提供してくれる会社に満足する。
C株主・投資家にとっては、株価が上がり、配当が多い会社に満足する。
D国・自治体にとっては、税金を多く納め、不祥事を起こさない会社に満足する。
総合的に勘案すると、企業の意義と目的に資する前章に挙げた要件を大きく満たしている企業ほどよい会社ということができるのではないだろうか。
企業は社会的強者である。企業は歴史的にも圧倒的な財力によって庶民を支配し、時に蹂躙してきた。
世の中がこれまでどんなに変わろうが、企業の反社会的な不祥事は絶えることなく報じられ続けてきた。
そんなことから「よい会社」という表現には敢えて抵抗がある。
しかし一方で、企業がなければ、日本国民の生活はまったく成り立たない。不可欠で極めて重要な存在である。
私たち国民に様々な恩恵をもたらしてくれるのもまた企業である。
以下に挙げるのは、現在の日本を代表する企業グループの上位30社である。
評価の基準は、前述の項目を確認しながら、新聞に掲載された約20種類の評価ランキング調査の結果を綿密に検討し総合したものである。
2007年調査 順位 企業名 業界 前年比較 1 トヨタグループ 自動車 → 2 NTTグループ 通信 → 3 松下グループ 電機 ↑ 4 キャノングループ 精密 ↓ 5 ソニーグループ 電機 ↑ 5 日立グループ 電機 ↑ 7 ホンダ 自動車 ↓ 7 シャープ 電機 ↑ 9 日産自動車 自動車 ↓ 10 東芝 電機 ↑ 10 武田薬品工業 医薬 → 12 リコーグループ 精密 ↑ 12 JFEグループ 鉄鋼 ↑ 12 富士通 電機 ↑ 12 三菱電機 電機 ↑ 16 東京電力 電力 ↓ 16 NECグループ 電機 ↑ 18 JR東日本旅客鉄道 運輸 ↓ 18 三菱商事 卸売 ↓ 18 セブンアイグループ 小売 ↑ 18 野村グループ 証券 ↑ 18 新日本製鉄 鉄鋼 ↓ 23 任天堂 玩具 ↓ 23 JR東海旅客鉄道 運輸 ↓ 23 三井物産 卸売 ↓ 23 ファナック 機械 ↑ 23 ブリジストングループ ゴム ↓ 23 JT日本たばこ産業 食品 ↓ 23 富士フィルムグループ 精密 ↑ 23 ソフトバンクグループ 通信 ↑ 23 KDDI 通信 ↓
2006年調査 順位 企業名 業界 1 トヨタグループ 自動車 2 NTTグループ 通信 3 キャノングループ 精密 4 松下グループ 電機 5 ホンダ 自動車 6 日立グループ 電機 6 日産自動車 自動車 8 ソニーグループ 電機 9 シャープ 電機 10 武田薬品工業 医薬 10 新日本製鉄 鉄鋼 12 東京電力 電力 12 東芝 電機 12 三菱商事 卸売 12 アステラス製薬 医薬 16 JFEグループ 鉄鋼 16 JR東日本旅客鉄道 運輸 16 JT日本たばこ産業 食品 19 ブリジストングループ ゴム 19 KDDI 通信 19 信越化学工業 総合化学 22 NECグループ 電機 22 セブンアイグループ 小売 22 リコーグループ 精密 22 任天堂 玩具 22 花王 化粧・衛生 22 JR東海旅客鉄道 運輸 22 住友商事 卸売 22 大日本印刷 印刷 22 三井物産 商社 22 三菱電機 電機 22 関西電力 電力
2005年調査 順位 企業名 業界 1 トヨタグループ 自動車 2 松下グループ 電機 3 NTTグループ 通信 4 日立グループ 電機 5 富士フィルムグループ 精密 6 NECグループ 電機 6 ソニーグループ 電機 8 東京電力 電力 8 ホンダ 自動車 10 キャノングループ 精密 10 日産自動車 自動車 12 セブンアイグループ 小売 12 JR東日本旅客鉄道 運輸 12 シャープ 電機 15 大日本印刷 印刷 16 三菱商事 卸売 16 リコー 精密 16 武田薬品工業 医薬 16 富士通 電機 16 JT日本たばこ産業 食品 16 新日本製鉄 鉄鋼 16 花王 化粧・衛生 23 イオングループ 小売 23 三菱電機 電機 23 日本郵船 運輸 23 東京海上日動火災保険 保険 23 東芝 電機 23 KDDI 通信 23 関西電力 電力 23 中部電力 電力 23 JR東海旅客鉄道 運輸 23 東京ガス ガス
せっかく、膨大な資料を集めたので、何が「いい会社」なのかを個別指標別にまとめてみます。
●日本一社員にボーナスを多くくれる会社→→→任天堂←夏170万円、冬150万円です。
●日本一社員が働きやすい会社→→→松下電器産業←在宅勤務制度などが充実しています。
●日本一多く社員を採用し雇用に貢献している会社→→→グッドウィルグループ←残念!
●日本一就職希望が多い会社→→→全日空←国際性があって、仕事がおもしろそうだそうです。
●日本一顧客にサービスが行き届いている銀行→→→ソニー銀行←インターネット上での使い勝手がよいと評判です。
●日本一環境に配慮している製造業→→→トヨタ自動車←二酸化炭素排出削減や省エネ、リサイクルに貢献しています。
●日本一信用のある会社→→→トヨタ自動車、デンソー、武田薬品工業←デンソーはトヨタグループです。
●日本一売上高の多い会社→→→トヨタ自動車
●日本一利益の多い会社→→→トヨタ自動車
●日本一財産の多い会社→→→トヨタ自動車
●日本一総合評価の高い会社→→→コマツ、任天堂
かつて、上記調査資料の一つである「働きやすい会社」ランキングについて、推奨する意味で細かく掲載し、ベスト企業名を掲載していたところ、名前の挙がった当の企業に実際に勤める方から投稿をもらったことがあった。「実際はちっとも働きやすくありません」と。
大手新聞社主催の調査であるにもかかわらず、一部で現実とかけ離れた信頼できない結果であることが露呈された。
もちろん結果のすべてが不適正というわけではないが、当該調査に関わらずおしなべて調査分析の結果というものは常に真実を表しているわけではない。多くの調査結果を総合的に判断していくことが真実により近づけるというものである。
昨今は、2000年前後にグローバル化の波が押し寄せ、企業経営の目指すところも抜本的に変化を見せている。
これまではなかった「コンプライアンス経営」「環境経営」他CSR(企業の社会的責任)が大きく問われる時代になってきた。
→詳しくは「グローバル時代の企業経営のページ」へ
今回はベスト30社に絞って年比較してみた。さすがに押しも押されぬ一流企業名が並んだ。
しかしそれでも昨年の偽装請負問題の発信源である製造業が複数名を連ねている。
日本を代表する企業、日本経済をリードするこれらの企業に、国民は何を期待しているか。
このように大きな余力のある企業に、国民は更なる利益の増大を求めているわけではない。
労働者として、生活者として、消費者として、次のことを望んでいるのは私だけではないはずである。
@不祥事、違反行為をしないで欲しい。
A良質な雇用をより多く作り出して欲しい。
これらに重点を置いて社会の公器として、日本国民のために注力してくれれば、そのために多少の機会利益が失われたとしても、それでつぶれるはずもなく、社会・経済の真のリーダーとして、国民は心から日本を代表する企業として誇りを持ち、慕うだろう。
ベスト企業には名実ともに、よい会社、つまりは「働きやすい会社」「よい商品を安く提供する会社」「その他総合的に社会に貢献する会社」になっていただきたいものである。