「HUNTER'S BEBOP」 第6話 作:旋風 焔

  第6話
  「ぐはぁ!!」
 オレは地面に叩き付けられた。
 圧倒的な力の差だった。
 元々オレ達には戦力が乏しかったのだ。
 ここまで辿り着くだけでかなりの装備を消費していたからだ
 だが、シティまで装備を補充しに行く時間など有りはしなかった。
 なんとか手持ちの装備で対抗しようとしたが、あまりにも敵との
 戦力差が有り過ぎたのだ。
「くそっ!!」
 痛みに震える体をなんとか動かし起き上がる、敵はまだ目の前にいるのだ
 周りを見るとすぐ側にルキアが倒れていた。
 ルキアの元になんとか近付こうとする。
「ルキア!大丈夫か!?」
 声を掛けるが返事が無い。
「ルキア!!」
 もう一度呼ぶ。
「う、、ハインツ!?」
 よかった何とか生きているようだ。ほっとする反面すぐに回復させなければ
 と思いトリメイトを取り出そうとする。
「私は大丈夫よ、それよりもエレナお姉ちゃんとヒューガーさんは?」
 なんとか体力があるらしく起き上がりつつエレナ達の事を心配する。
「解らない、反対側に吹き飛ばされたからな。だがヒューガーがいるなら大丈夫だ」
 と半分気休めに近い事を言いつつ、オレは未だ目の前に存在する敵の方を見る。
 ダークファルス。
 そう遺跡の最深部に踏み込んだオレ達の前に待っていたのは、
 目の前にいる禍々しき異形の存在だった。
 ルキアが現れた場所には転送装置があった。
「これが奴の居場所へと通じているトランスポーターなのか?」
 オレはルキアに聞く。
「うん。今ならはっきりと思い出せるわ。この先に奴がいるのよ」
 ルキアが答える。
「行きましょう。ハインツ!急いでダークファルスを封じなければ」
 エレナが促す。
「駄目だ。オレ達はともかくエレナもヒューガーもダメージがまだ回復しきっていない
 二人はシティに戻れ」
 二人に戻るよう指示するが
「私達なら心配いらない。戦えない程のダメージでは無いし、
 それに君達だけを行かせる訳にはいかない」
 ヒューガーが反論する。
「そうです。私達だけ帰ってあなた達二人に全てを任せるなんて。
 そんな事出来ません!何があっても行きます!!」
 エレナも食い下がる。
「ハインツ。みんなで戦いましょう?」
 ルキアが促す。
 オレは皆を一旦、見渡してから。
「判った。皆で一緒にダークファルスを倒そう!そして皆で必ずパイオニア2に帰ろう!!」
「ハインツ!!」
「すまない。ハインツ君」
 エレナとヒューガーが喜びの声を上げる。
「ハインツ〜!!だぁ〜いすきィ〜!!」
 と言いながら抱き着いてくるルキア。
「うわっっと!おいやめろ〜ルキア〜重いぞぉ!!」
 首に腕を回してきたせいで体重が一点に架かる。
「失礼ね〜私そんなに太ってないわよっ!!ぷんぷん!!」
 と訳のわからん所で怒るルキア。
「ったく!こんなに緊張感の無い戦いも初めてだぜ」
 と愚痴るオレ。
「全くだ。ハハハ」
「ほんとに。ふふふ」
 ヒューガーとエレナも笑う。
「ほんとね。あはは」
 ルキアも笑う。
「さぁ!!行こうぜ!!DFの野郎ぶっ飛ばしてやろうぜ!!」
 そう言って、トランスポーターに向かって歩き出すオレ。
「うん!行こう!!ぶっ飛ばそう!ぶっ飛ばそう!!」
 続くルキア。
「ふふふ。みんなでぶっ飛ばしましょう!!」
 エレナも続く。
「フフフ。エレナ、何だか少し変わったな?私も、、、ぶっ飛ばそう!!ハハハ」
 それを聞いてオレは
(お、ヒューガーって結構ノリいいじゃん、とか思った。)
 全員乗り込んだのを確認すると
 ダークファルスの元へ転送するようにトランスポーターを起動させた。
「いくぜ!!」
 ばしゅーーーーーーー。
 転送が開始された。
「ここが?遺跡の最深部?」
 オレは目の前に広がる光景に唖然としながら誰ともなく呟いた。
 青い空、白い雲、それはかつて見た光景の様だった。
 懐かしい様な、いつか見た空。
「あれが。あの塔が、奴が封印されている場所だ」
 ヒューガーが広場の中央にある塔を差して言う。
 その途端、地面が大きく揺れだし
 塔が粉微塵に砕け散る。
 と同時におぞましいまでに巨大で禍々しい姿をした生物が姿を現す。
 その生物が発する闇の波動に因って辺り一面が暗い闇へと飲み込まれ始める。
「いくぞっ!!」
 オレ達は攻撃を仕掛けた、しかし次の瞬間にはその場に全員倒れ伏していた。
「くそっ正に化け物だな!!」
 ルキアに回復を受けたオレは何とか立ち上がり
 悪態を吐きつつマシンガンを構える。
 そして更に姿を変化させたダークファルスに向かって歩き出す。
 巨大な身体で高速移動を繰り返す奴の動きの先を読み、待ち構える。
「喰らえ化け物!!」
 ダークファルスの弱点と思しき下半身にマシンガンのありったけのフォトン弾を撃ち込む。
 ドキュキュキュキュキュキュキュッ!!!!!!
「グオオオオオオォォォォォォ!!!」
 無気味な叫び声を上げ苦しみ悶えるDF。
「ラフォイエ!!」
「ラバータ!!」
 ルキアも残り少ない精神力を振り絞って高レベルテクニックを連発する。
「あと少しだっ!!がんばれっ!ルキア!!」
 何とかルキアを励ましフォトン弾の切れたマシンガンを捨て、ヴァリスタに持ち替え続け様に撃ちまくる。
「くあっ!!」
 突然ルキアが力の無い声を上げる。
「どうした!?大丈夫か?」
 見遣るとルキアが地面に膝をついて苦し気に息をしている。
「ごめ、、ん、もう、、、ハァハァTP切れ、、ハァハァ」
 息を荒げながら謝る。
 くそっあと少しなのに!!残り弾数が乏しいのを自覚しながらも撃ち続ける。
「ラフォイエ!!ラフォイエ!!ラフォイエ!!」
 突然後方からテクニックの3連発が放たれる。
 ドドドドッドーン!!
 一気にDFに命中し爆発する。
 凄まじい衝撃が辺りに広がる。
「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
 ひと際大きな叫び声を上げるとDFはその場に前のめりに倒れ込んだ。
「ヒューガー!!」
 後ろを見るとそこにはテクニックを発動する構えのままヒューガーが立っていた
 そしてその傍らにはエレナも。
「ルキアちゃん!!早くこれをっ!!」
 地面に倒れているルキアに精神力回復薬トリフルイドを与える。
「何とか全員無事な様だな」
 オレが皆を見る。
「あれ?あいつは?もう倒しちゃったの?」
 と回復したルキア。
「否、見ろっ!!奴の様子が変だ」
 ヒューガーがDFの様子に注意を促す。
 オレ達は一斉にDFの方を見る。
 そこには先程、地面に倒れ込んだDFがいた。
 がしかし。
 倒れたDFの身体から何かが飛び出す様に出現した。
「ヴォアッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
 笑ったのか?
 と思える様な無気味で、地獄の底からの様な、正に闇そのものの音を発し
 空中へと姿を現わした。
 それは、まさに最終形態と呼ぶに相応しい美しくも禍々しい姿をしていた。
「何だっ!!」
 オレ達はさっきまでいた地上から不思議な場所へと転移させられていた。
「魔方陣?これって、そうよね?」
 オレ達の足下には半透明な床が広がっている、それをみたルキアが声を漏らした。
「ハインツ。私に考えがある!」
 おもむろにオレに話かけるヒューガー。
「光のテクニックを使う!」
 と言い放つ。
「それって?噂の超高レベルテクニックで光の力を使うってヤツよね?」
 ルキアは説明する。
「そう、奴が闇の存在ならば光の属性である攻撃を与えれれば、
 かなりのダメージを負わせる事が出来る」
「OK!何でもやってくれっ!!任せたゼ!」
 オレはヒューガーを守る様に彼の前へ出た。
「しばらく時間を稼いでくれ、発動コードの詠唱に時間がかかるんだ」
 テクニック発動コードの詠唱を始める為に精神集中を始めるヒューガー。
「よしっ行くぜ!ルキアとエレナはヒューガーの援護を頼む!!」
 オレは最後に残った武器ヴァリスタを構え走り出す。
「待って!ハインツ!あたしも!!」
 共に行こうとするルキアを置いてダークファルスの元へと向かう。
 奴はドーナツ状の足場から離れた中心に浮かんでいた。
 その距離ではこちらからは銃でしか攻撃を加えられない。
 ともかくヒューガーがテクニックを発動するまでDFの注意を引き付ける事が肝心だ
「てえい!!」
 ヴァリスタを撃ちながら円形の足場に添って回る。
「こっちだ〜それそれ!どうした!?化け物め!!」
 なんとか奴の注意を引きつけるが、それがまたどうして大変だぜ!!
 奴は上空から追尾する弾を撃ってくるわ、降りてきたかと思えば
 その巨大な腕を振るって攻撃してくるわで、オレはそのことごとくをすんでの所で躱し
 なんとか発動までの時間を稼ぐ。
「むっ!?」
 ひと際高い精神の波動を感じて、ヒューガーの方を見ると
「グランツッ!!」
 ヒューガーが光の高レベルテクニックを発動した。
 すぐさまDFの方を見やると
「キュー−−−−ン!!」
 奴の身体の中心に光の粒子が集まりだしたかと思うと
 それは目映い光を発して膨れ上がり。
「ポン!!」
 と弾ける様な音と共に光の球は破裂した。
「?」
 今のが光のテクニックなのか?と訝しがりヒューガ−を見る。
 その途端に
「いかん!!逃げろ!!」
 とヒューガ−の慌てる声がする。
 オレはDFの方を再び見る。
 と、奴は上空に浮かび上がり腕を上空に翳してしる。
 何かをする気配だ。
 そのすぐ後に、さっきと同じ様な
「キュー−−ーーーン」
 と言う音がした、次の瞬間
 オレの身体に物凄い衝撃が襲った。
「ぐおおおおっ!!」
「きゃああああああ!!」
 オレ自身の発する声に交じって
 ルキアとエレナの叫び声が微かに聞こえた。
 一体何が起こったのか考える余裕も無く、オレはその場に崩れ落ちた。
 
 第6話 了


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