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>彼女は丘の上からモノメイトを投げる(10)

 

「ルチェ〜、こっちから上に行けるみたいだよ〜」
 エネミーの残した痕跡を調べていたルチェットは、緑色のトランスポーターの
前から自分を呼ぶレイキャシールのアンジェリナに走り寄った。
「やっぱり先に行かれたみたいだね。急がないと!」
 途中でサフィたちとは別々のルートを選んだルチェットだったが、どうやら自
分たちのより先に上に行ったのは明確だった。
 この上にはゴールであるセントラルドームがある。
 どういう形でアイテムをもらえるかは判らないが、先に到着したほうが有利に
決まっているだろう。
 ルチェットはトランスポーターに身を躍らせると、一目散にセントラルドーム
へと向かった。

 ──やはり遅かった。
 ドームの扉の前にサフィとエヴァの姿を見て取れた。
「待ちやがれーっ」
 その下品な声を掛けられたサフィはルチェットに向かって笑みを浮かべると、
セヴァが開けた扉を潜ってしまった。
「あンの小憎たらしい笑み見た!?」
 ルチェットはアンジェリナに問いかけるが、当のアンジェリナは小首を傾げた
だけだ。
「ナニ? くやしくないの?」
「ん〜何か足下が揺れなかったぁ?」
 見当違いな言葉を返すアンジェリナにルチェットは、
「ネジでも外れたんじゃないの? ほら行くよ」
 そう言って走り出した。 
 はぅ、と一言だけアンジェリナは発し、扉を目指して激走するルチェットに続
いた。

 セントラルドームの中央にゴールと書かれたゲートが設置されていた。
 その周りには場違いとしか言いようがない、スーツに身を包んだ男たちが立っ
ている。
 このイベントのスポンサーたちである。
 サフィは軽く会釈をしながらゆっくりとゴールへと向かう。
 が──
「負けるもんかーーっ!」
 後方から土煙を上げながら迫ってくる人影を見つけ足を早める。
 ゲートまで3m手前に来たところで、不意に視界が揺らいだ。
 となりを行くセヴァの肩に手を置いたが、そのセヴァも揺らいでいた。
 その直後、自分たちが揺らいでいるわけではなかったのをサフィは知った。
 ゲートが倒れ、その周りにいる男たちも尻餅を付いたり四つん這いになったり
している。
 そして後方からルチェットの騒ぎ声が聞こえてくる。
 ──地面そのものが揺れているのだ。

「何なのよー! これはっ」
 ルチェットは悪態を吐きながらも、その足を止めないでいる。執念というやつ
であろう。
 しかし揺れは増す一方で、地鳴りもしてきた。
「地震なんて今までなかったのに」
 後方のアンジェリナに声を掛けたその刹那、大音量と共に地中から岩石や溶岩
が溢れ出た。
 そしてルチェットは目撃した。
 一際大きい黒い物体。
 それは噂では聞いていた。
 しかし本当に住み着いているとは思わなかった。
 そうそれは紛れもない、ドラゴンだった。

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