−−ロビーはハンターズたちで溢れ返っていた。 まいったなぁ...。あまり人混みが好きでないルチェットは端の方へと移動し、 窓の外に浮かぶラグオルを見やった。青と緑と白が美しく平和的だ。 しかしあの星に平和なんて言葉はあり得ない。今でも尚、凶悪なエネミー達が 徘徊しているのだ。 以前にチームを組んでラグオルを探索した仲間の中にも、パイオニア2に戻っ てこれなくなった者もいる。 最近の成果も相まって感傷的になるルチェットだったが、 「ルチェ〜、こっちこっち〜」 甲高くて甘い(人によっては頭悪そうと捉える者もいるようだが)その声に振り 向くと、ルチェットにメールを送った張本人、アンジェリナが壁のように突っ立っ ている大柄なレイキャストの股の間から姿を現した。 「アンタなにやってんのよ?」 ため息混じりにルチェットが言うと、顔には現れないが驚いたであろうレイキャ ストにアンジェリナは軽く会釈をし、 「何って? ちょっと近道してみたの」 近道って...ほんの数十センチしか違わないでしょうが。 ルチェットはそのツッコミを飲み込んだ。 彼女の行動に一々チェックを入れていたら、小一時間もしないうちに疲れ果て てしまうことをルチェットは知っていた。 そんな心境なんて知る由もないアンジェリナは軽く微笑んだ──ように見えた。 そう彼女はアンドロイドだ。 アンドロイドはこの世界の半数を占めるヒューマンよりも以前から存在してい たといわれている。 人工皮膚の使用は認められていない為、素体がむき出しの頭部により無骨なイ メージを受ける。 よって表情というものを伺うことはできないが、人工知能と感情ユニットのお かげで言葉やニュアンスによって感情を表現することは可能だ。 ルチェットは改めて女性型アンドロイドのアンジェリナに視線を向けた。 本人曰く、以前はメイドとして働いていたということで、その素体タイプはメ イド服をデザインしたような格好のものだ。 しかも人間でいう素肌の部分はしっかり肌色に塗られており、そのおかげか先 のようなイメージは更々ない。よほど良い環境で働いていたと思われる。 が、どこかの回路がショートしているとしか思えないほど鈍く、いわゆる天然 タイプなのでそのおかげで解雇され、仕方なくレンジャーとしてハンターズになっ たらしい。 二人の仲も、シティにおいてアンジェリナが店先でモノフルイドメイトを大量 にぶちまけてオロオロしているのを、見るに見かねて拾うのを手伝ったことから 始まっている。ちなみにモノメイトと間違えて買ったことには気づいてはいなかっ たようだ。 確かに少々鬱陶しいこともあるがなぜか憎めない。 ルチェットにとってもそしてアンジェリナにとっても、お互いは数少ない親友 の一人なのだ。 |
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