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>彼女は丘の上からモノメイトを投げる(7)

 

 パシュ! パシュ! パシュ!
 ボウガン状の銃器から放たれた黄色い針は、一瞬にして5体のブーマと呼ばれる
エネミーに突き刺さり、その巨体を麻痺させる。
「はぁっ!」
 その動けなくなったエネミーに向かって、初老の男が片方しか刃の入っていない
細身の刀を振りかざす。
「グワァァァッ!」
 断末魔と呼ぶに相応しい声を上げて、ブーマの群は紫の体液を残して消えてゆく。
 遙か昔に当方の地で創られた武器であるが、年を重ねた割に刀身は光り輝き、切
れ味も鋭い。
 詳しい者ならすぐに気づくであろう、オロチアギトという名の刀だということに。
「さすが元軍部特殊部隊の隊長ね」
 サフィは初老の男──セヴァを讃える。
「滅相もございません。今や私はウィルトール家に仕えるただの執事でございます」
「ふふふっ、世界で一番頼もしい執事ですわね」
 サフィはブーマが残したアイテムの回収を始めた。
「お嬢様、まだエネミーの気配があります。お気を付け下さい。」
「大丈夫よ、これがあるからね」
 降ろしていたスプレッドニードルを腰に構え直し、端にあるコンテナを目指した。
「ブオオオォォッ!!」
 突然その雄叫びと共に地中からゴブーマが姿を現した。
 ブーマより体力・力、そして知能でも上回るエネミーである。
 現れた地点はサフィよりセヴァに近かった為、一斉にセヴァを目指して突き進む。
 応戦するセヴァだが、数が多い為か次第に後退してゆく。
 サフィは引き金を引いたが、射程距離外のようでゴブーマまで届かない。
 ──しまった!
 油断して離れすぎたのを後悔したサフィだったが、今はそれどころではない。慌
てて駆け出した瞬間、真っ黒な何かが目の前を何かが横切った。
 サベージウルフである。
 ゴブーマに気を取られていて気づくのが遅れたようだ。
 一定の距離をおき、じっくりとサフィの出方を伺っている。
 そうこうしている間にもセヴァは追いつめられてゆくが、確実にゴブーマを仕留
めているようで少し安心したが──
 パシュッ!
 ゆっくりと近づいてくるサベージウルフに、黄色い針が突き刺さる。
 しかし動きが止まらない。ミスだ。
 もう一度引き金を引こうとしたその刹那、
「ウオォォォッ!」
 背後から浴びせられる咆吼。
 もう一匹いた!?
 振り返ると太陽を背にして、自分に向かって空中に身を躍らせるバーベラスウル
フがいた。
 銃口を向けようとするが、この距離ではもう間に合わない。
「お嬢様──!」
 なんとかゴブーマを排除したセヴァだったが、サフィまではあまりにも遠かった。
「くぅっ!」
 左腕の盾もかざす余裕すらサフィには残されてなかった。
 やられる──
 バシュッ!!
 不意に発せられたその音と共に、急に視界が明るくなる。
 バシュッ! バシュッ!!
 続けざまに2回、同じ音が響いた。
 恐る恐る目を開けると、傍らで消えゆくバーベラスウルフの姿がある。
「──こんなことだろうと思ったわ」
 その声がした方向に、サフィは慌てて振り向いた。

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