パシュ! パシュ! パシュ! ボウガン状の銃器から放たれた黄色い針は、一瞬にして5体のブーマと呼ばれる エネミーに突き刺さり、その巨体を麻痺させる。 「はぁっ!」 その動けなくなったエネミーに向かって、初老の男が片方しか刃の入っていない 細身の刀を振りかざす。 「グワァァァッ!」 断末魔と呼ぶに相応しい声を上げて、ブーマの群は紫の体液を残して消えてゆく。 遙か昔に当方の地で創られた武器であるが、年を重ねた割に刀身は光り輝き、切 れ味も鋭い。 詳しい者ならすぐに気づくであろう、オロチアギトという名の刀だということに。 「さすが元軍部特殊部隊の隊長ね」 サフィは初老の男──セヴァを讃える。 「滅相もございません。今や私はウィルトール家に仕えるただの執事でございます」 「ふふふっ、世界で一番頼もしい執事ですわね」 サフィはブーマが残したアイテムの回収を始めた。 「お嬢様、まだエネミーの気配があります。お気を付け下さい。」 「大丈夫よ、これがあるからね」 降ろしていたスプレッドニードルを腰に構え直し、端にあるコンテナを目指した。 「ブオオオォォッ!!」 突然その雄叫びと共に地中からゴブーマが姿を現した。 ブーマより体力・力、そして知能でも上回るエネミーである。 現れた地点はサフィよりセヴァに近かった為、一斉にセヴァを目指して突き進む。 応戦するセヴァだが、数が多い為か次第に後退してゆく。 サフィは引き金を引いたが、射程距離外のようでゴブーマまで届かない。 ──しまった! 油断して離れすぎたのを後悔したサフィだったが、今はそれどころではない。慌 てて駆け出した瞬間、真っ黒な何かが目の前を何かが横切った。 サベージウルフである。 ゴブーマに気を取られていて気づくのが遅れたようだ。 一定の距離をおき、じっくりとサフィの出方を伺っている。 そうこうしている間にもセヴァは追いつめられてゆくが、確実にゴブーマを仕留 めているようで少し安心したが── パシュッ! ゆっくりと近づいてくるサベージウルフに、黄色い針が突き刺さる。 しかし動きが止まらない。ミスだ。 もう一度引き金を引こうとしたその刹那、 「ウオォォォッ!」 背後から浴びせられる咆吼。 もう一匹いた!? 振り返ると太陽を背にして、自分に向かって空中に身を躍らせるバーベラスウル フがいた。 銃口を向けようとするが、この距離ではもう間に合わない。 「お嬢様──!」 なんとかゴブーマを排除したセヴァだったが、サフィまではあまりにも遠かった。 「くぅっ!」 左腕の盾もかざす余裕すらサフィには残されてなかった。 やられる── バシュッ!! 不意に発せられたその音と共に、急に視界が明るくなる。 バシュッ! バシュッ!! 続けざまに2回、同じ音が響いた。 恐る恐る目を開けると、傍らで消えゆくバーベラスウルフの姿がある。 「──こんなことだろうと思ったわ」 その声がした方向に、サフィは慌てて振り向いた。 |
>next
>back