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>彼女は丘の上からモノメイトを投げる(8)

 

 ゲートの向こうからあの軽い銃声が響いてくる。
「あーヤな音だわ」
「そぅ? 面白くてスキだな〜」
「どこがよ。あんなんでポンポン殺っていったら、醍醐味っていうの? 全然ないじゃ
 ない。ハンターならハンターらしく、よ」
 何を況わんやとばかりに、アンジェリナの口を人差し指で押さえるルチェット。
「むぐぅ……ルチェだってフォースなのに銃だよね〜」
 アンジェリナに鋭く突っ込まれたルチェットだったが、
「あたしはいいのよ。テクニックを適当に使っておけばそれだけでフォースなんだから」
「そういうものなのかなぁ」
「そういうものよ」
 自分でも強引だなぁと思いつつ、
「だからあんな武器使っていてはダメなのよ、判る?」
「なんとなく〜」
 小首を傾げるアンジェリナだった。
「それはそうと、早く追いつかないと」
 目の前のゲートを潜ったルチェットの目に飛び込んできたのは、思いもよらぬ光景
だった。
 木陰から飛び出したバーベラスウルフが、そのままの勢いでサフィに飛びかかろう
としていたのだ。
「お嬢様──!」
 セヴァが叫ぶ。
 その刹那、ルチェットとセヴァの視線が交差する。
 ……大丈夫よ。
 瞬時に理解したルチェットはヴァリスタの銃口をエネミーに向けると、素早く引き
金を3回引いた。
 断末魔の叫びを上げながら崩れ落ちてゆくバーベラスウルフ。
 それを横目で見ながら、
「──こんなことだろうと思ったわ」
 ルチェットは下目使いに、しりもちを付いていたサフィを見やる。
 その目つきがシャクにさわったのかサフィは無言で立ち上がり、パンパンと服に付
いた汚れを払う。
「あおぐうあ」
 その態度にカチンときたルチェットが口を開こうとした時、後ろにいたアンジェリ
ナの手がその口を押さえる。
「なぁにすんのよ!?」
 堅い手から解き放たれた口から出た悪態は、アンジェリナに向けて発せられたもの
だ。
 そんなルチェットに、アンジェリナはそぅっと指を向ける。
 その先には、今まで見たことのない表情をしたサフィがいた。
 口を小さくパクパク動かしながら俯いている。
 そして──
「あ……ありがと……。助かったわ」
 その言葉にルチェットは耳を疑った。
 初めて会った時も同じような光景だったが、その時は思いっ切り悪態をつかれた。
 それからというもの、二人の間にはいざこざが絶えなかった。
 今だって別に助けようとしたわけではない。ただそこにエネミーがいたから排除し
たまでだ。
 いや、そうじゃなくて──
 アタマの中を色んな思考がぐるぐるめぐる。
「……なによ? そんなに以外?」
「あ、いや、うん。ぜんぜん大丈夫」
 何が大丈夫なんだか──自分にそうツッコむ。
「よかった〜。これから二人は仲間だよねぇ〜」
 アンジェリナは二人の手を取り握手をさせる。
 手が触れ合った瞬間、お互いの目と目が合う。
「あ……ドモ」
「よ、よろしく……」
 なぜか照れあうルチェットとサフィだった。

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