人の心というものは変わりやすいものである。 頑なにそれを信じてきていても、ちょっとしたきっかけでそれが崩れたり、考えが 180度変わってしまうこともしばしばある。 話してみればサフィもそうそう悪いヤツではない。 ほんの数分前までは親の敵といわんばかりに憎くて、ムカついて、まったくと言っ ていいほど気が合わなかったのに、何が自分の中で変わったのだろうか──? もしかしたら意地を張っていただけかもしれない。そんな子供じみた自分が恥ずか しい。 氷が解けていくように、サフィに対する嫌悪感もゆっくりと消えてゆく。 が── 「あ〜あぶないあぶない。何させんのよっ」 ルチェットはアンジェリナの頭部を拳で小突いた。 「はっ、私としたことが…… 」 素早く手を引っ込めるサフィ。 「言っとくけど仲良くする気なんて更々ないかんね。危なくなったら助けてあげるだ けよ。後味悪いからさ」 「当たり前ですわ。私だってこんな野蛮人とは組みませんことよ」 と、双方ともにソッポを向いてしまう。 妙に気が合う二人の様子を見てクスクス笑うアンジェリナだった。 「よかったです、お嬢様もご無事で。なによりルチェット様ともこうして仲良くなれ たことですし。ルチェット様、今後ともお嬢様をよろしくお願い致します」 「ちょっとセヴァ! 何を言っているのよ」 「いえお嬢様、私は心配しておりました。このパイオニア2に乗り込んでからという もの、お嬢様にとって真の友人と呼べる方は誠に恐縮ですが居られません。 以前にルチェット様とお会いした時、この方ならお嬢様と対等に、ご友人としてお 付き合い頂ける方であろうと思っておりました」 その言葉にルチェットは、先のセヴァの行動の意味するところを理解した。 セヴァに近寄り耳打ちする。 「ってことはさっきの戦闘はワザと追いつめられていたワケ?」 「滅相もございません。お嬢様を危険な目に遭わせるなんて、ご主人様に顔向け出来 ないです」 口ではそう言っているものの、表情は困っているそれではない。 ……なるほどね。してやられたってわけか。 ルチェットは一つため息をつき、 「まぁいいわそんなこと。それよりアン! さっさと行くよ。危うく対抗戦ってこと 忘れるところだったわ」 「セヴァ、行きますわよ。こんな野蛮人に遅れを取ったら末代までの恥ですわ!」 プイっと顔を背ける二人を後目に、セヴァとアンジェリナは顔を見合わせて満足げ に会釈を交わして分かれた。 |
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