素人インプレッション
1.本音
最初にはっきり言っておきましょう。
Xantiaはそんなに乗り心地良くありません!!
ただし、ある特定の条件を満たす場合に限って雑誌で言われる「雲の上のような」乗り心地を体感する事が出来ます。
その条件ってのが割と大き目のうねりが有るような路面で、かつ継ぎ目のない滑らかな表面の道路とかでしょうか。高速道路もそれなりに良いのですが、一般的に言う乗り心地や安定性面ではもっと優れた車はたくさんあると思います。
ここで、ちょっと引っかかる表現「一般的に言う乗り心地」について補足すると、私たち日本のちょっと車好きなオヤジ連は独車至上主義的なところがあると(「あった」と言うべきか?)思うのです。まあ、これはジャーナリストが独車を褒め称えるものだから、メーカーも独車をお手本に新車開発したり、デザインを真似たりして、そうして出来上がった車達は独車コンプレックスみたいなのばかりになってしまってなんだか全然面白くないわけです。
確かに独車って、機能的だし、合理的だし、機械的性能は高いし、もう我々がお手本にしない手はない...って感じで、私もそんなのばっかり追いかけて、発売直後のメルセデス190に同乗させて貰った際など、その剛性感の高さ、素晴らしいスタビリティ、「ドアを開けて閉める」瞬間からして、すでに日本の車とは次元が違うようなメルセデスワールドに驚愕し、感激しっぱなしでした。(あの剛性高そうなドア開閉音、あの頑丈そうなドアハンドル...)
そして日本の車も機械的性能において独車と肩を並べるレベルになったと言われる昨今、日本の車がこんなに高性能になったにもかかわらず全然魅力を感じないんです。
確かにマークIIなんかに乗せて貰うと、もうすっごく快適で、エンジンもよく回るし、加速も文句なくいいし、足周りもいいし、ボディ剛性も高そうだし、おまけに何でも付いてるし静かだしホント良い車なんです。でも、ボディが大きい割には居住性はそんなに高くなく、私の好みでいえばエンジンももっと中低速トルク寄りに振ってもいいんじゃないかなぁ...と思ったりもします。けど、こんな優等生な良い車なのに、なんか面白くないんですよねぇ。その理由は素人の私にはよく判らないのですが...。
私が求める「気持ち良い」車っていうのは、家族を乗せて法定速度でのんびり走って、家庭サービスしてる時でも、おとーさんが「楽しく」「気持ちよく」ハンドルを握れるようなものなのです。
Xantiaは私たち日本人(シトロエニストと呼ばれる変態な方々は除く)の既成概念からすると、さほど乗り心地の良い車ではありません。具体的には路面の継ぎ目とか、鋭利な段差の通過時など軽自動車並に直接的な衝撃を伝えてきます。この衝撃はシャコタンCRXほどでは無いにしても相当なものです。ボディ剛性も当初「意外と剛性感高いやん」と思っていたものの、2年29,000キロを後にした現在、少しボディが緩んできた気もします。ロングホイルベースによる広いフロアが軽くドラミングするような感じもあります。
でも、そんな事はどうでも良いのです。Xantiaは普通に走ってる時に「気持ちよい」し「面白い」のです。
なんて説明したらいいのか難しいけど、機械式自動巻時計とクオーツ時計の差に少し似ているでしょうか? クオーツ時計は安価でメンテフリーで一回電池入れたら数年間正確無比に時を刻み続けます。道具と割り切れば非常に優れたモノです。それに少し痛んだり、飽きてきたら買い替えてしまえば良いのです。でも機械式の時計の秒針の精緻な動き、良いですねぇ。クオーツほど正確ではないし、たまには壊れたりオーバーホールが必要になったりしますが、秒単位の正確な時間にこだわる必要性を感じなければ、実に味があります。同じモノを手入れしながら長く使うのも悪くありません。
ハイテク国産車とXantiaの差はこんな感じでしょうか。
使い捨てじゃなくずっと永くつき合えそうな暖かみ。(まだ乗り始めたばっかりだけど) それでいて昔のシトロエンのようにトラブルが頻発しユーザーを選ぶような敷居の高さもありません。それに時々、明らかに金属バネの車とは違うゆったりとした動きを体感させてくれるし、これら車からのインフォメーションが本当に楽しく、ドライバーを気持ちよくさせてくれる要因なのではないかと思います。
でも時々「やっぱ足周りガチガチのテンロクNAに乗りたい!」と思う私はやっぱり子供なのでしょうか?シビックタイプRなんてすごく興奮しますねぇ。あれのリアスポ取って、7点ロールケージでも入れて、足周りをもっと硬めて(硬けりゃ良いってもんじゃないけど、)乗るとすごく楽しそうです。もっと歳くってからテンロクNA買って車高調組んで不良するのも悪くないな...と考えてます。
Xantiaについては、「10年は乗りたい」などと月並みなこと言って、実際に10年乗るような人はあまり知らないので軽率な事は言いませんが、なんだか永く付き合っていけそうな予感はあります。ただし、ZF製ミッションが逝っちゃって修理費がウン十万円かかる...とか、タイミングベルトが突然切れて修理するならリビルトエンジン買う方が安い...等々、自分の車の中古市場価格より高い修理費が必要になったりしたら、それでも修理して乗るかどうかは自信ありません。シトロエン車は古くなると色々と予期せぬトラブルが発生するみたいなので少し心配が無いわけではありませんが、今は調子いいので気にしていません。取りあえず壊れるまで思いっきり乗ろうと考えています。
以上が私の本音。以下は月並みなインプレですが、「Xantia買おうかなぁ」と検討してるような方は参考までにご一読いただければ...と思います。
2.日本では高すぎるギア比
この車、日本の道路事情から考えるとギア比が高すぎます。シフトアップポイントは
○2→3速50km/h
○3→4速70km/h
つまり、私の住んでるような田舎の道を40キロくらいで走る時はず〜っと2速のままなのです。ギア比が高いので日本車のATで2速ホールドして走るのとは訳が違いますが、せめて40km/hくらいで3速、60km/hくらいで4速に入ってくれるとだいぶ乗りやすく、燃費も向上すると思います。おかげで、アクセル離すだけで結構エンジンブレーキが効くのは結構なことですが...。
これだけギア比が高いにもかかわらず高速道路で100km/hを超えた頃からだんだんとエンジン音が高まり、120km/hくらいになると結構な騒音で、車内でクラシック音楽を楽しめるレベルではありません。このあたりマークIIとか日本の車は、より日本の道路事情に合致していると思います。ただし、市街地レベルでは相対的には「静かな車」ではないかと思います。エンジン音自体は結構大きめなので、遮音処理が入念に行われているのでしょう。音質自体は素直な良い音で個人的には「好き」です。
3.必要最低限だけど充分な動力性能
雑誌でアンダーパワーと言われるエンジンですが、普通に街中を走る分には中低速トルクが充実しており個人的には不足を感じません。
フランスの大衆実用車なのでアクセルを積極的に踏んでマニュアルギアで上まで引っ張るような乗り方が本来の姿かもしれませんが、日本にはATしか導入されてないし、実用トルク域を使ってあまりアクセル踏まずに走るのが向いてるような気がします。軽〜くアクセル踏んでると徐々に速度を上げていってくれますし、2000回転代のトルクだけで走るのも悪くありません。
でも高速道路で一気に追い越しを掛けたりする場合、アクセルにぐっと力を込めても「えっ!?」と戸惑うほど、車速がついてきません。日本車だったら1.5リッタークラスの大衆車でも即座にキックダウンして、それなりにイメージ通りの加速をしますが、プジョーユニットは極めて「おっとり」しています。軽くアクセル開いたくらいではキックダウンせず、底までベッタリ踏み込んでペタルに軽い引っかかりを覚えた後、やっとキックダウンしてのんびりと加速を始めます。高速ツーリング自体は得意種目なので、目くじらたててまくし立てるような運転をしない限り問題はないと思いますが...。決して「パワフル」ではありませんが、「充分」と評価しておきたいと思います。
燃費は平均8キロ/リッターくらい。街中中心だと6〜7キロ、高速中心だと13キロ位延びた事がありました。ギア比が高い割には高速燃費が延びません。まあ、こんなものでしょうか...。
4.特徴あるハイドロニューマチックの乗り心地
問題の乗り心地は前に記したとおりですが、極低速で凸凹道(田舎の踏切とか、未舗装路とか)を走ったりすると、メチャクチャ車体が揺れます。ハイドロサス未体験の方に分かりやすく説明するなら、金属バネの車のダンパーとスタビライザーを取り払ってバネだけにするとこんな動きをするんじゃないかと思います。
これはどうやらハイドロニューマチックの特徴のようで、V−SXのハイドラクティブIIではもう少し普通の車に近いようです。古くからのシトロエニストの方は、SXの方がシトロエンらしい...と言われるようです。段差通過時のハーシュネスも強く、「夢のような」乗り心地を想像して乗り込むと、期待を大きく裏切られるかもしれません。しかし、段差のない路面を走る時は車の揺れる周期が金属バネの車よりず〜っと長〜く、すごく気持ちいいんです。普段Xantiaでフラットだと思って走ってる路面でも、ホンダとかで走ると「こんなに凸凹だったんだ」と驚く事があります。
試乗車をチョイ乗りしたくらいでは、この感じは判らないと思いますが(私は全然判らなかった)毎日乗っていると、一日に何回かは「すっごく気持ちイイ」瞬間があるんです。もう「他のことは何でも我慢しちゃう!」って思えるほど気持ちイイんですよねぇ。まさに「至上の瞬間」とでも言いましょうか?
5.優れたパッケージング
パッケージングはすごく良いと思います。この点は日本車は見習うべき点がたくさんあります。
個人的にはパッケージングだけでもXantiaを選ぶ価値があるのではないか...とさえ思います。
具体的には
●フロントウインドゥが必要以上に寝ていない。
●サイドウインドゥも立っている。
●ルーフが長く、後席乗員の後頭部が直射日光にされされる事がない。
●リアシートはダブルフォールディング式で、後部座席を畳めばヘタなワゴン車顔負けのカーゴスペースが出現する。トレーリングアーム式のリアサスは室内への進入も少なく実質的で使い勝手の良いカーゴスペースを実現している。
●マークII並(それ以上か!?)の居住性と、マークII以上のユーティリティーをカローラ並の全長で実現している。
あと、後部座席の快適性(居心地の良さ)については「極上」の部類に入るのではないかと思います。
●ドアが大きく、90度近くまで開くので乗り降りが容易。(おまけにリアウインドゥは残らず開きます。)
●後部座席は座面の前後長が長く座り心地が良い。レッグスペースも充分な余裕。前席バックレスト背面がえぐられているのも効果大。
●太いCピラーの影響か、適度な囲まれ感が心地よい。(でも前席からの後方視界はイマイチ。バックしにくい。)
●リアシェルフには巻き取り式のブラインドがビルトインされており、オシャレで便利。
6.気になるシートの出来は?
よくシトロエンのシートは「体を包み込むように柔らかく、かつ長距離でも疲れ知らず...」と評判ですが、現行車のものは以前のものほど柔らかくはありません。確かに独車と比べると格段にソフトですが、特に予備知識のない普通の人を乗せてあげても、それを指摘される程のものではありません。つまり限りなく「普通」に近いものです。前席については座面の長さも短めです。一部の日本車のようにクッションが薄っぺらで底付きするような事はありませんし、表面はちょっと柔らかく、ある程度沈んだところできっちりとホールドしてくれるような出来のよいシートではあります。長距離ドライブでも不当に疲れるような事はありません。
安全なロードホールディングを追求すれば乗り心地も次第に固くなり(普通になり)、それに伴ってシートも固く(普通の固さに)せざるを得なかったのでしょうね。ちょっと残念ですが、それが時代の要求ならやむを得ません...。
7.心配される信頼性
シトロエンといえば「壊れる」というイメージが定着していましたが、最近のものはさほど壊れないようです。
昔、CGで長期テストされた「CX」の記事などを読むと、もうトラブルに次ぐトラブルで、普通の人が所有できるレベルの車ではなさそうな事が書いてあります。中には調子の良いものもあるのでしょうが、古いシトロエンのオーナーさんは、壊れる事自体を楽しんでいらっしゃるような方も多いようにお見受けします。また、ご自分で相当なハードメンテまでこなしてしまう方も多いようです。こういう方々が集まると百戦錬磨の故障自慢話で盛り上がったりするのでしょうね。(羨ましい...)
私の場合、路上で立ち往生しようものなら自分で応急処置できるようなレベルにないので、Xantiaの信頼性は非常に不安をもっていました。しかし、いろいろと伝え聞くところによると「最近のはさほど壊れない」との事だったので思い切って購入に踏み切りました。確かに今のところ、国産車並にメンテナンスフリーな状態です。
現在、登録から2年半が経過しましたが走行に支障を来すようなトラブルは皆無です。シトロエンの新車を検討されている方は安心されて良いかと思います。
8.やっぱ、車はカッコでっせ
やっぱり、なんだかんだ言ったところで、カッコ悪い車は×です。やっぱ車はカッコです。(ミーハー...)
個人的にはXantiaのデザインはメチャクチャカッコ良いと思います。顔は平凡で特徴ないのですが、Bピラー以降の処理はウットリするほど好きです。まあ、相当好みの分かれる形だとは思いますが...。(友人は「寸詰まりでカッコ悪い」と言います。)
あとボディーカラーですが、私の場合、中古車なので選択の余地なく紺色だったわけですが、もし新車で選べたならシルバーメタが欲しかったです。バンパーとか、太めのサイドプロテクターの樹脂部分が黒いので薄いボディカラーの方がコントラストが美しいか...と思います。日本に入ってきてる色は割とビジネススーツ的な無難で地味な色が多いのですが、もう少し明るくキレイな色があっても良いんじゃないかなぁと思います。が所詮は絶対量が少ない車なので、「売れ筋」を絞って入荷するしかないのでしょうね。
9.まとめ
Xantiaは「買い」か否か?
取りあえず否定はしませんが、敢えて肯定もしません。
「欲しい」人は買うべきですし、「別に何でも良い」人には積極的に薦める理由も少ない...と思います。先日、うちの親父が車を換えたいが、車種やメーカーは別にこだわらないが「良い」(決して高級という意味ではない)車が欲しい...という事だったので「オペルベクトラ」を薦めてしまいました。(ベクトラCDの97在庫モデルを格安でゲットしました。「良い」車だと思います。)
あと、Xantiaは優れたファミリーカーだと思いますが、趣味の対象としてはいかがか...とも思います。現在、新車で入手可能なファミリーカーの中では比較的趣味性が高いと思いますが、少なくともXantia以前のシトロエンオーナーさん達は現行シトロエンを趣味の対象と見ていないケースが多いようです。私も確かにそうだと思います。
Xantiaを欲しいと真剣に検討している人は是非購入される事をお薦めします。もしかしたらハイドロに「はまる」かもしれません。(私は未だ「はまって」ないと思います。)
最後に素人の要領を得ないインプレを、最後まで読んで下さった「あなた」は、とっても心優しい「いい人」です。どうもありがとうございました。厚く厚く御礼申し上げます。
あと、文中で古いシトロエンに乗っておられる諸先輩方を「変態」と表記した失礼をお許し下さい。私は熱烈なシトロエニストの諸先輩方を心から尊敬している事を追記しておきます。また何かとトヨタのマークIIを引き合いに出しましたが、これは大変素晴らしい車だと深い感銘を受けた車だからです。トヨタファンの方、お気を悪くされないように。