欠陥住宅はどうしてなくならないのか

 

 

10年保証制度が法制化され、一見欠陥住宅問題は沈静したかにみえます。しかし現実に建物の不具合に悩む人々は後を絶ちません。いったい何故でしょうか?そこには日本の建設事情に問題の根源が温存されています。

 

日本の建築業界は重層下請構造となっていて、ハウスメーカーなど住宅会社では契約すると下請工事会社に発注します。このとき自分たちの利益を優先して確保してしまいます。残った金額の中から下請会社は当然自分たちの利益を差し引いた金額で実際の工事を行う専門工事業者に発注するわけです。さらに孫請け、曾孫請けになることもあります。このように直接工事にかけられる金額はどんどん減少していくことになります。末端で実際に工事にあたる職人は支払われる金額に見合った仕事しかできず、自分たちの職能に誇りを持てる環境ではないため、ただ仕事をこなすだけとなってしまいます。

 

外国の例をとりますと、北米の住宅建設システムでは、工事が35の専門工に細分化され、お互いがCPMという工程管理表に基づいて工事が進められていきます。それにより工事に直接反映しない現場資材保管費や職人の手待ちなどのロスを極力排除し生産性を上げています。工事に携わる専門工の賃金は熟練すると見習工の数倍に跳ね上がります。つまり、直接工事にあたる者が報われるシステムになっているのです。ですからみんな誇りを持って一生懸命になります。実際に彼らの仕事をみると、黙々とよく働きます。日本のように不必要にだらだらとお茶や一服するといった時間を浪費することがありません。また、充実したインスペクター制度により、各段階で検査に合格しないと次の工事に移れません。

 

保証制度ができても欠陥を生み出す可能性が否定できなければ、欠陥による被害は今後とも起きる可能性は高いわけです。ではどうしたらこれを防げるのでしょうか?…日本の建築システムを一朝一夕で替えることは不可能です。また、それを消費者に求める訳にもいきません。しかし、消費者が実状を認識し、情報が広く公開されることで業界内の改革の力が強まるきっかけにもなります。


 では、いま家を建てるにあたってはどうすればいいでしょうか?…まずは工事に必要な仕様書や図面の提出を契約時に確約してもらいましょう。建物を造るにはそれなりの図面が必要であり、詳しい仕様書や図面を備えているところもあります。製造者認証住宅などは秘密化して一般図以外の図面を出したがりませんが、これには詳細図書が明確に示されているので可能な限り提出してもらいます。もし非協力的であるようでしたらその会社は疑ってみることが必要です。これらの仕様書や図面に基づいて監理することで一応の成果は得られるでしょう。

日本でも数年前に品確法なるものができ、第三者による検査が行われていますがこれも十分ではありません。例えば、配筋検査はしっかりするが、型枠設置後に再度確認がなされないのでかぶり厚さが不足してもそのままでコンクリートが打たれてしまいます。

 

住宅は単に住むだけのものではなく、そこで暮らす人々の夢や希望を育んでいます。欠陥住宅被害に遭われた方々の多くは経済的負担のみならず精神的負担の増大で、ある人はノイローゼ気味で健康を害し、またある人は家庭内不和になるなど、計り知れないほどの負担を強いられています。そのうえ今般の頻繁な地震の発生など常に不安を抱えたままの生活を余儀なくされます。人々は往々にして、名声や会社規模・ブランド名・瀟洒なパンフレットなどで安易に優良な施工会社と錯覚しがちです。耳あたりのよい言葉や応対には一も二もなく信用してしまいます。しかし、建物の良し悪しは、実際の工事に携わる職人や管理者の能力・心構えなどの優劣により大きく左右されます。


 自分たちの一生に一度か二度という大きな買い物である住宅の購入・住まい造りに当たっては、業者任せにせず当事者本人が深く関心を持つことがとても重要なことです。

 

欠陥によってもたらされる精神的苦痛や不便さはどんなに保証制度が充実しても補えるものではありません。徹底した監理(検査)システムできちんと情報が公開されることが確実な保証となります。我々、一級建築士を中心とする専門集団「住宅監理機構」は欠陥住宅被害の悩み・苦しみを未然に防ぐべく、単に欠陥を指摘するだけでなく欠陥を生み出す背景を追求し、真に安心できる住宅づくりの実現をめざしていきます。

 

 

 

 

 

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