HGUC THE−O
Zガンダム最終モビルスーツTHE−O(ジ・オ)
アニメの世界に置いて敵の最終メカ、ラスボスがキット化されないことはよくある。
その役回り上最終話のみ良くて漏らすと数話にのみ登場のメカをキット化することは下手をすればリリースが放送終了後になってしまい、多大な損害を出しかねないからである。
ジ・オもその例に漏れず、未だかつてプラモキット化されることはなかった。唯一の例外がSDガンダムのシリーズでリリースされた2頭身のSDキットである。
そのジ・オが遂にバンダイからキット化!実に放映から15年経ってやっと念願のプラキット化である。
リリースされたのはHGUC(ハイグレードユニバーサルセンチュリー)シリーズ1/144で立体化である。

ランナー数は少な目、フォルム重視のためギミックは少ない。それでも定価2400円いかにボリュームのあるMSであるかが伺える。ちなみに当初の予定では3000円であった。
ここでちょっとジ・オについてのお話。
ジ・オは木星帰りの男パプティマス・シロッコが設計開発したMSである。メッサーラ、パラスアテネ、ボリノーク・サマーン、に続く4番目の機体でシロッコが自ら自分専用機として開発した機体である。
ガンダリウム合金の固まりとも言える装甲を備え、その配置や構成は過去に例を見ない物となっている。特に脚部機構は既存の機体とは全く異なる構造を持っている。腰部前面装甲に近接戦闘および格闘白兵戦に対応した「隠し腕」を装備しており装甲そのものも独立した可動肢として機能している。
背部の巨大なバーニアスラスターに加えあらゆるベクトルに対応して配置された50基に及ぶスラスターを機体各所に配置しているためその巨体に似合わない加速性能と機動性を併せ持つ。
(以上プラモデルインストから引用)
様々なデザイナーが参加したことで「Zがンダム」は他のシリーズに類を見ないほどバリエーションに富んだMS群が登場する。その中でも群を抜いた異様なフォルムを有するのがジ・オである。小林誠氏の入魂のデザインであり氏も自らの最高傑作としている。後に生まれた我が子にも慈央(じお)と名付けていることからもそのことが伺える。
しかしガンダムシリーズのMSの大半は実はコンセプトデザインという物が存在する。それは他でもない富野監督が自らデザインしている、物語のストーリーに絡むような重要キャラクターならばそれはなおさらだ。(このコンセプトデザインが世に出ることはまず無いが、「ビグザム」「バイク戦艦」などはコンセプトデザインの段階でほぼ完成していたようである)
当然このジ・オにも富野監督のコンセプトデザインが存在するようで、その内容は知り得ないが小説版の描写から推測するに「隠し腕」は既に存在していた模様である。またアニメでは50基のスラスターとなってしまったが、小説版では全身各所にちりばめられたメガ粒子砲の発射口となっており、その巨体はすべからくメガ粒子砲のための莫大なエネルギーチューブを運ぶための物となっている。
実際小説版では全身からビームを乱射し周りの全ての物を破壊しつつ驀進するシーンが描かれている。
残念ながらアニメではこのコンセプトは採用されなかったようだが、「全身ビーム砲」というコンセプトは後に「ゲーマルク」に受け継がれている。
閑話休題


ジ・オのもっとも特徴的な脚部ユニット。価格を抑えるためか基本的に1パーツの張り合わせで再現されている、当然稼働するのは足首と膝だけと最小限に抑えられている。


完成したジ・オ。その特徴的なフォルムをよく再現した好キットである。


隠し腕のギミックも完全に再現、差し替え無しで展開する。

隠し腕の方にもビームサーベルを装備することが可能。サーベルはクリアー形成。

設定に忠実にビームサーベルは4本ついているので隠し腕と併せて「4刀流」も出来る(笑)

側面と背面
このキットは難しいジ・オの特徴的なフォルムをよく再現していると思う、ただ気になるところがないわけでもない。
・モールドがたるい
これはもうバンダイのいつも言われることなので仕方がないか。長谷川のバルキリーとかもう少し見習って欲しい。
・形成色が微妙
もはや色も塗らないものぐさモデラーとしてはキットの色は重要な要素である。アニメ版の色はもっと黄色っぽかったし、イメージソースである重戦車などを頭に置くならばもっと暗い色であるはずだ。キットの色はその両者の中間とも言うべき微妙な色あいであり、首を傾げるところである。これはこれでいい色だとは思うのだが…トップコート(艶あり艶無しなどの仕上げに振るスプレー)かけたらもう少しイメージ代わるかもしれない。
・足が長い
腰部アーマーから上は実によくできたフォルムだと思うのだが、他のMSとの整合性のためであろうか足が長い。本来のデザインにはなかったはずの「太股」のパーツが追加されておりそれが足を長くしている要因と思われる。少ないパーツ数で可動を実現するための苦肉の策だとは思うのだが、やはりジ・オは足が胴体にめり込んだような、有るか無いかわからない脚部が魅力なのであって、ここら辺も一考する余地のあるところであろう。
・1/100サイズではない!
やはり今となってはスタンダードスケールとなった1/100のサイズも欲しい!ぜひともMG化を期待したい物である。過去にも「ガンキャノン」「グフ」「Sガンダム」などがHGUC→MGと順を追ってキット化されているし、それまで立体化されていなかった「キュベレイ」も同じルートを採って立体化されているので実現可能性は高いと見た、頼むよバンダイさん!(注:キュベレイは本放送中に一応1/220で立体化されている、ひどい出来だったが)
しかしまあ、これでようやくジ・オの立体ブツが手に入る環境になったというのは素直に喜びたい。何しろ15年越しの悲願ですから。
最後に新旧ラスボス2ショットで終わりたいと思う。

HGUC(1/144)のジ・オとジオング。
キットデータ
・HGUCジ・オ
1/144スケール 2002年12月発売 定価2400円