2003.12.03 馬場純雄
(C) SumioBaba
2003
[SB012]
コピー人間はかなりの物質構造差を無視できる
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オリジナルの自分(原子1-P)と原子1個も異ならぬコピー人間(原子1'-P')
が一瞬作れたと仮定しても、両者の置かれている環境の違いから、両者の
間にはたちまち物質構造差が生じると思われます。この点は、無視して良
いものでしょうか?
実は、身体の物質構造が同じかどうかは、一種のパターン認識であって、
実際にはかなりの誤差が許されます。「原子1個でも差が生じたら、それゆ
えに他人」という訳ではありません。例えば、次の質問を考えて下さい。
キミをA室に入れ、そのコピーを作ってB室に入れた後、どちらか
一方を殺さねばならない。どちらを生かし続けて欲しいか?
この質問の場合、三人の自分を考えることができます。まず、「対象レベル」
にあるのが、A室に入れられるオリジナルの自分Aと、B室に入れられるコピ
ーの自分B。そして「メタレベル」にあるのが、この質問を受けている自分M
です。自分Mは、控室にいるとしましょう。
自分Mから見ると、自分Aも自分Bも、いくらか時間が経過しているでしょう
し、控室とA室とB室とは環境も異なるでしょうから、自分A、自分B、自分Mの
三人は互いに、だいぶ物質構造差が生じているでしょう。ではその物質構
造差のため、「自分Mにとって、自分Aも自分Bもすでに他人なのだから、ど
ちらを殺されても同じことだ」と答えるでしょうか? そうではないはずです。私
は、「絶対に自分Aの方を生かし続けて欲しい」と答えます。
もし、自分Bと自分Mは椅子に座らせるが、自分Aだけは立ったまま、とい
う条件が付いたらどうでしょう? 自分Mから見て、物質構造差が小さいのは
自分Bの方であり、自分Aの方が自分Mと大きな物質構造差を持つはずです。
しかし、それで答が変わることは有りません。やはり、「自分Aの方を生かし
続けて欲しい」です。つまり、立っているか座っているかくらいの物質構造差
は無視し、三人とも物質構造は同じ、と考えて良い訳です。
「霊魂説」の立場に立つなら、
自分Mから見て、自分の「霊魂」が存続しているのは自分Aの方だ
から、自分Aの方に主観的自己同一性の存続を感じるのだ
という点さえ一度実感してしまえば、三人の自分の間にかなりの物質構造
差が生じていても、十分無視できるのです。
以上