2005.05.28 馬場純雄
              (C) SumioBaba 2005

                  [SB041]
      「局所的相互作用」による「非局所的相互作用」の
                シミュレーション

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 統合された「1つの心」Mの任意の一部をM1、残りの部分をM2-Mnと
すると、 Mは、

    M1が「非局所的相互作用」により、M2-Mn全体の影響を
    受けながら時間発展するシステム

と言えます。
 一方、心Mの機能をコンピュータBのB1-Bnというn個の部分の協力で
シミュレーションする場合には、もちろん現代物理学の常識に従い、「局
所的相互作用」だけでシステムが構成されます。つまり、コンピュータB
は、

    B1が、「局所的相互作用」だけでB2-Bnの影響を受けなが
    ら、時間発展するシステム

と言えます。

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 2次元平面内にn個の点P1,P2,・・・,Pnを取り、すべての2点間を曲線
(連絡線)で結び付けるトポロジーの問題が有ります。nが4以下であれば、
どの2点も連絡線で結び付けられ、かつ、連絡線どうしが交叉しないよう
にすることができます。しかし、nが5以上になると、連絡線を交叉させな
ければ、すべての2点間を結び付けることはできなくなります。
 ところが、3次元以上の空間であれば、nがどんなに大きくても、n個の
点P1,P2,・・・,Pnのすべての2点間を連絡線で結び付け、かつ、どの連
絡線も交叉しないようにすることが、簡単にできます。これは、何を意味
するか?

 コンピュータBを構成するn個の部分B1-Bnの、すべての2つを連絡線で
結び付け、それらの間に双方向の情報伝達ができるよう、配線するとしま
しょう。そうすることで、個々のB1-Bnのどれもが、自分以外のn-1個と相
互作用しながら時間発展していくシステムのシミュレーションが、「局所的
相互作用」だけでも、必ず可能である事実を示しています。

 にも拘わらず、コンピュータBによる心Mの機能のシミュレーションは、あ
くまで「客観的面」だけのシミュレーションであって、「主観的面」(クオリア)
は随伴していません。なぜなら、個々のB1-Bnのどれもが他のn-1個の
影響を受け得るように接続されている事を認識できるのは、コンピュータB
全体を知覚・認識できる第三者だけだからです。個々のB1-Bn、例えばB1
は、自分が本当にB2-Bnと結び付けられてコンピュータBを構成している
のか、それとも人工的装置D1に接続され、いかにもB2-Bnに接続されて
いるかのようなニセ情報を流し込まれているだけで、本当はB2-Bnなど存
在してすらいないのか、「局所的相互作用」では知りようがないからです。

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 コンピュータBの任意の一部をB1、残りの部分をB2(=B-B1)としましょう。
B1の表面外部に微小厚さe(→0)の表面膜領域Beを考え、B2からBe部
分を除いた領域をB2-Beで表します。

    B1の物理状態の時間発展は、B1の「初期状態」と、B1がBe
    から受ける「局所的相互作用」の2つだけで決定し、B2-Be
    の物理状態には無関係

です。これが「局所的相互作用」の特徴です。
 一方、「1つの心」Mの任意の一部をM1、残りの部分をM2(=M-M1)と
すると、

    M1の心理状態は、「非局所的相互作用」により、M2全体の
    心理状態に影響を受けながら時間発展する

です。これが「非局所的相互作用」の特徴です。
 そして、この違いこそ、コンピュータBでシミュレーションできるのは「客
観的面」だけであり、「主観的面」が作り出せない決定的な原因です。

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 コンピュータではなく、人間の脳をBとした場合も同様です。現代科学
の常識に従い、次の[A]と[B]を正しいと仮定してみます。

[A] すべての物理時相互作用は「局所的相互作用」であり、「非局所
   的相互作用」は存在しない。
[B] 非物質的実体「霊魂」など存在しない。

すると、脳Bで作り出せる機能もたかだか「客観的面」だけであって、「主
観的面」(クオリア)の方は作り出せないことになってしまいます。逆に、
自分が「主観的面」としての心(クオリア)を持つ事実を、錯覚だとして無
視することなく、事実であるとして受け入れるなら、[A]か[B]のどちらか一
方を否定せねばなりません。
 [A]を否定して、脳Bの中に「非局所的相互作用」の存在を認めるなら、

    B1の物理状態の時間発展は、B1の「初期状態」と、B1がBe
    から受ける「局所的相互作用」の2つだけでは決定せず、
    「非局所的相互作用」により、B2-Beの物理状態にも依存
    する

となり、BとMは「同一」で有り得ます。
 さもなくば、[B]の方を否定し、B=B1+B2全体を「非局所的相互作用」
で結び付けている非物質的実体「霊魂」の存在を認めねばなりません。


                   まとめ
    コンピュータBのn個の部分B1-Bnにおいて、すべての2個
    の部分の間に双方向の情報伝達ができるよう配線すれば、
    「局所的相互作用」だけで、任意の一部が他のn-1個の影
    響を受けて時間発展するシステムのシミュレーションが可
    能である。だから、どんなに複雑な心Mの機能も、「客観的
    面」だけであれば、必ずコンピュータによるシミュレーション
    が可能。
    しかし、「局所的相互作用」だけで構成された人工知能は、
    「主観的面」としての心(クオリア)を持ち得ない。なぜなら、
    個々の部分、例えばB1は、自分が本当にB2-Bnと接合さ
    れてコンピュータBを構成しているのか、それともB2-Bnなど
    存在せず、人工的装置D1に接合されているのかさえ、「局
    所的相互作用」では知り得ないから。
    B全体の状態を認識できる第三者だけが、そこに「客観的
    面」の機能が構成されているのを認識できるだけ。

以上