VISUAL REPORT !
[ TOP ] [ 光GENJI INDEX ]

東京・PARCO劇場 1999.10月
(作)ロベール・トマ (演出)青井陽治
(出演)大沢樹生・小野武彦・増沢望・南野陽子・藤井びん・寿ひずる
PARCO  いや〜、私、PARCO劇場って好きなんです。最初に観たのは多分高橋一也くん(当時)の「椿姫」だと思うんですが、その後も三谷幸喜さんの舞台とかでときどき通ってました。舞台をやるならこのくらいの広さの劇場が一番好きなんですよ(どのくらいかと言うと、席数は458だそうです)。最後列からでも舞台が見える、役者の息づかいがわかる、というくらいなので。
 でも、今回は最後列どころか、いやあこんなに前でいいのって席でした。なんかステージを見上げる感覚って久しぶり〜♪>私は本当に大本命光司くんの舞台やコンサートよりも樹生くんや晃くん関係の方がいい席が取れるんですよね〜なんなんだろう。
 さて、まず、注意。この感想はネタバレします。
 特にこれからこの舞台を観に行かれる方、絶対にこの先は読まないでくださいませ。また「罠」という芝居をなんらかの形で今後見たいと思われている方も読まない方がいいと思います。ともかく、この物語の筋は、最初はぜひ舞台でご覧になって下さいませm(..)m。
注意!
 この「罠」という芝居って、演劇ファンにはどの程度知名度が高いんでしょうね。また今後どこかの劇場で別の演出と別のキャストで演じられることがあったら、見てみたいです。このあらすじを別の形でどうやって見せてくれるのか、凄く興味があります。
 物語は、フランスの田舎の別荘の中だけで進みます。そこにいたのは一人の男、ダニエル・コルバン(大沢)。だが、彼の妻エリザベートが失踪してしまった。それを捜してくれるはずの警視(小野)は本気でいるのかいないのかのらくらとしている。そんなとき、神父(増沢)がコルバン夫人を見つけて連れてきたが、現われた女(南野)はダニエルのまったく見たこともない女だった。だが、彼女は反対にダニエルのことをよく知っており、自分がエリザベートだと主張する。
 あらすじをまったく知らない素の状態で行ったんですが、この辺でちょっと私ってばわくわくしはじめていました。これってミステリじゃーん。本のサイトをご覧になってくだされば、私がミステリファンなことはおわかりかと思いますが(わからなかったりして(^^;)、もうこの辺の展開はどきどき状態。
 女は神父や警視にも自分がエリザベートであると主張し、自分の妻ではないというダニエルの言い分もまともに取りあってはもらえない。エリザベートになりすまして、死んだ親戚の遺産を女が騙し取ろうとしている、これは罠だ、と彼が言っても、やはり女の言葉の方が信憑性が高かった。神父は完全に女の言葉を信じているが、どうやら神父と女はぐるのようだ。警視はどちらとも完全には言い切れない様子。
 女と神父がぐるだー、きゃー、このままではダニエルが罠にはめられてしまう〜、警視さまだけが頼りよ〜〜〜んと祈るような気持になりはじめたこの近辺。
 そして翌日、通りかかった浮浪者(藤井)は偶然にも、ダニエルと本物のエリザベートの結婚の証人だった。ダニエルは喜んで、彼に証言をしてもらおうとするが、警視が来るのを待つあいだに、女が銃で浮浪者を撃ってしまった。そして女はダニエルに銃を持たせ、浮浪者を撃ったのはダニエルであるかのように神父と振る舞うのだった。
 ここで1幕が終わりだ〜、なんかもう先が見たくてたまらない状態に陥ってます(笑)。
 ダニエルは心の病だとされて病院に連れていかれそうになるが、警察が別の証人を見つけてきた。失踪前のエリザベートを看病した看護婦(寿)だった。だが彼女もやはり女をエリザベート本人だと確認する。看護婦は去り際に神父からお金の入った封筒を受け取っていた。看護婦は事前に女たちのしかけた罠にはまり、多額の借金をしてしまったのだ。そしてそれを肩代わりしてもらう条件として、女が本物のエリザベートだと偽証することにしたのだ。
 この看護婦の偽証関係が少し長かった…カナ。というか、やはり先が見たくてたまらない私(^^;。
 そして最終場面、女と神父は自分を精神病院に収容したがっているが、それよりは警察の方が安全だと、警視に助けを求めるダニエル。エリザベートが戻って来ないのも、すでに彼女が殺されてしまっているためだと主張するが、実は警視も女たちの仲間だった。警視、女、神父、三人の敵に囲まれ切迫しきった状況に追いつめられたダニエルが口にした台詞は、エリザベートの遺体を捨てた場所だった。実は、ダニエルがエリザベートを殺しており、警視や女たちは(証言者も含めて)その確証を得るために芝居をしていたのだった。
 警視まで女たちの一味だとわかってからは、もう芝居を見つつ、頭の中がフル回転。「こうなったらダニエルが殺されて終わるしかないかー」とか「やはり女たちを安心させる警視の芝居」とか「ダニエルの夢オチはないよなー」とか「本当に女がエリザベート本人だったりして」とかこれだけで小説が何本も書けそう(笑)…実はダニエル真犯人説はかなり早い段階で捨ててしまってたんですよね〜。だからもうびっくり。
CAST

感想
 ということで、ひとことで言えば「面白かった!」です。
 まず、樹生くん。間違いなくこの舞台の主役。NHKの時代劇で「台詞が聞きやすくなったなあ」と思ったのは錯覚ではなく、以前に較べて、しゃべり方の変な癖が抜けたようです。意味もない抑揚がなくなったというか無意味な巻き舌がなくなったというか…おいおい(^^;。まあときおり台詞が聞きとれないこともあるにはあったんですが、それはしゃべり方よりも、量の問題、あれだけの量の台詞があればひとつやふたつ聞きとれやしないだろ〜ってくらい凄い量でした。なにせ、最初から最後まで出ずっぱり。幕が上がっている間、彼が舞台にいなかったのはほぼないに等しいという感じだったんですよ>樹生くんの端正なお顔を本当に堪能しました〜(*^^*)。しかもクライマックスに行くにつれて、どんどん芝居のテンポも速くなり、樹生くんはとにかくまくしたてるという感じで、凄い凄い凄すぎました。白いシャツを羽織った衣装も似合うし、煙草を喫う横顔とか見惚れてしまうし(*^^*)、全身のバランスもちょっと私好みで「デッサンしたーい」って感じです。でも、このレポ用にイラストを描こうとして失敗しました(笑)。
 そして外せない、小野武彦さん。「王様のレストラン」とか「踊る大捜査線」が大好きだった私にはやはり今回の楽しみのひとつであったんですが、こういう方が出られると舞台が締まりますね。非現実的な外国モノの設定も、小野さんが出てこられることで納得できるというか、地に足がついた感じがして、こういうのを存在感というんだろうなあと思いました。もう惚れ惚れです。
 さらに、大穴だったのが神父役の増沢望さん。失礼ながら、私今まで存じあげなかったんですが、経歴を拝見すると俳優座の方だそうで、舞台慣れしてます〜。身長は樹生くんとほぼ同じ、顔は寺脇康文さんに似てるかな〜と思ったんですが、いやもう顔からなにからめっちゃ好みでしたわ(笑)。緊張感のある場面でふっとなんか奇妙なことをして笑いをとったり「あれ?」と緊張をさらに高めたり、呼吸のうまい方だなあと思いました。しかも台詞がめちゃめちゃ聞きやすいんですよ〜。
 ほか、3名、計6名しか出ていなければ、セットも別荘の室内セットひとつのみで照明の感じで時間の経過を表わす以外はまったく手を加えない、まさに舞台のための芝居といった感じでした>こういうの好きなんですよ〜、三谷幸喜さんの書かれるお芝居とかドラマもそういう感じでしょ(^^)。
 そりゃー、ツッコミかけようと思えば、神父はどうやってダニエルの秘密を女に教えたんだとか(傷の場所とかね。絶対なんかの暗号があったと思ってそのとき私は暗号解読に走っていましたが…このとき神父サマ、ただのアクションで伝えちゃったわけ?)細かい疑問は残るわけですよ。たとえば私がダニエル真犯人説を早くに捨ててしまった理由も、ミステリとしてある意味反則技だったせいもありますし。
 でも、お芝居として観てみるともう充分です。「罠」という題名からして、観客に疑惑を植えつけさせますし>どこまでが「罠」なのか、「罠」をしかけたのは女、神父もグル、看護婦も罠にかけられた、実は警視も罠をかける立場、だがそれはダニエルを陥れるための罠ではなくてダニエルに真実を吐かせるための罠っていう…見ている間中、罠の題名の意味を考えていました>これもすでに制作者側の罠(笑)。で、ミステリとして反則技と書きましたが、それでも、最後のダニエルがエリザベートを殺したとわかる一瞬は本当に見事だったんですよ。なんか、本で言うなら最後の一文で「やられた!」って感じ、もうたまらないダマされ具合、それが、すっごくうまく決まっていたんですね。周囲が敵だらけだとわかり、このままではダニエルが殺されてしまう〜、でも打開策はあるのかないよなどうにかなるのかどうにもならないのかどきどきっていうその緊張が目一杯高まるまでの経過も凄かったし、いやもう本当にあの一瞬は、頭の中で「!」マークが大きくひらめいたんですよ〜。お蔭で観終えた直後も観たあとどれだけ経っても「面白かった!」って感想が残るんですね。
 というわけで、面白かったです。なんか、いいもの観せてもらったというか、いいもの観ちゃったって感じですね(^^)。  [ 先頭へ ・1999.10.28 ]