V6eIKOH!
トイヤー

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2003.2月〜3月
井ノ原快彦・中川安奈
東京/グローブ座 ・ 大阪/近鉄劇場
ねたばれしてます。これから観劇予定の方は、観劇後にお読み下さい。



  「私があなたになる」
 そんな台詞がラストにあった。これはそういう物語だった。
 一人の女精神科医が、一連の猟奇事件の犯人と関わることになって、境界を超えてしまう。別のタイトルをつけるなら、これも途中に出てきた言葉だけど「ボーダーライン」というところか。徐々に追いつめられていく中で、少しずつ女の感情の振幅が大きくなり、やがて境界を超えていくさまは、かなり怖い。最初は、自分を犠牲にして男を帰そうとしただけなのに、次は男を傷つけ、最後は男になりかわる。ただ人を傷つけるだけでなく、そこに官能的なものも混じりあって、独特の雰囲気を生みだした。


 さて、井ノ原氏。いい芝居に出させてもらったものです。サスペンスの二人芝居。最初にそれだけの情報があって、でもそれだけで坂本・長野の2本より楽しみで、でも果たしてそれだけの期待のあるものは、この20thCenturyグローブ座公演にできるのか?とちょっと斜な見方もしていたものの、期待以上の出来でした。肌を合わせるシーンとか、ジャニーズ的にどうなの?(でも普通の舞台なら、あの程度のハダカもエッチも別に珍しくないんだけど)な場面もちゃんとやってましたね。でももうちょっと色気が欲しかったんですけど(笑)。ときどき、緊張感の中で見せる笑顔は結構怖かったです。舞台でのイノ様は、どうも「好青年!」とか「愛すべきバカ」な単純明快なキャラクターのイメージが強くて、舞台の立ち姿は好きなものの、最近微妙な感じがしていたので、こういう役を見せてもらえて、とても嬉しかったです。
 その相手役、中川安奈さん。彼女の座り方が特に、今回の舞台の雰囲気を作っていたと思います。膝を開いて、ちょっと前かがみの。あと、表情が絶品。一度、前の方で観たときに、その表情がいいなーとしみじみ思いました。そういったものすべてが官能的。イノ様だけじゃこうはいきません(笑)。おそらく優秀なきりりとした精神科医(でも潜在的にアブナげなのは、あの広い窓の家が証明している)、そのヒステリックさ加減がうまく、物語の引く・押す・引くの波に乗っていきましたね。あと、鎖骨が綺麗(笑)。

 ということで、二人芝居。ラジオアナウンスの声の小林克也さんはおいておいて、登場人物は二人だけ。本当なら、一気に見せてもいい筈なのに、何故か途中で休憩が入る。それが、漫画連載の「次回に続く」みたいな感じで、ひきを見せ、私は初見のときに、そのひきがオチで、舞台終了なのかと思ったという(^^;。基本的に、密室劇で、ほとんどふたり出ずっぱりなので、途中に強引に休憩を入れる必要はなかったと思うんですよね。これは、一気に観たかったです。その点だけは実に残念(しかし演じ手がやはり疲れるのだろうか(^^;)。
 すごくいいなーと思ったのが、二人の視線の絡み具合。至近距離で話す場面に、ずっと互いを見ているところや、うまく舞台の左右に入れ替わり立つ場面でも、互いを見ているシーンが多いわけです。そりゃ二人芝居だから、誰かを見るなら相手しかないんだけど、その視線が恐怖だったり誘惑だったり殺意だったりするので、こっちも視線が外せない。台詞も多いので、集中力全開で観ていましたよ。脳味噌フル稼働で、流れつづける台詞を咀嚼してくわーっって感じで(笑)。FC記念品がウサギの携帯ストラップだったんですが、なぜウサギ!?とか…ウサギの意味は考えれば考えるほど怖くなってきたんですが(笑)。
 ともあれ、今回の20thCentury三部作は、『トイヤー』に一票(^^)/。


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