ナショナル・ギャラリー
〜 ワシントンDC 〜


ワシントンDCのナショナル・シャラリーは、アメリカの首都に相応しい美術館だ。

この美術館の運営、維持費は、国家予算から支出されているが、
美術品はすべて市民からの寄贈品か寄付金で購入されたものであり、
ナショナル・シャラリーはアメリカ国民はもとより外国からの観光客にも
無料で公開されているのだから、いかにもアメリカらしい話ではないだろうか。

ナショナル・ギャラリーは、石油で財を成したアンドリュー・W・メロンのコレクション
(ラファエロ、ボッティチェリ、ティツィアーノ、レンブラント、エル・グレコなど)を中心に、
19〜20世紀のフランス絵画のコレクションの寄贈も受けて、1941年にオープンした。

その後、増大するコレクションに対処するため、新館(東館)が1978年にオープン。
現在は、グラウンド・フロアには彫刻、タペストリーなどが展示されており
メイン・フロアの西館には、13世紀から18世紀までの作品が展示され、
東館は、20世紀の現代美術(ピカソのコレクションは特に充実)がある。


ナショナル・ギャラリー


ナショナル・ギャラリーの至宝といえる作品は、
レオナルド・ダ・ヴィンチ「ジネブラ・デ・ベンチ」だろう。

ジネブラは、代々メディチ銀行の総支配人を務めていたベンチ家の長女で、
まだ17歳であった。その頃、ジネブラには愛し合った男性がいたが、
両親から認められず、別の男性との結婚が決まっていたといわれる。
そして、レオナルドは、ジネブラの兄ジョヴァンニと親しかった。

「ジネブラ・デ・ベンチ」は、レオナルドの20代の頃の作品であり、
「モナ・リザ」などに見られるような画面の深みはまだなく、表情に硬さもあるが、
人物の深い感情を瑞々しいタッチでよく表している作品である。

レオナルドが生涯に残した絵画はわずか20点ほどしかなく、
「ジネブラ・デ・ベンチ」は、ヨーロッパ以外で唯一のレオナルド作品である。


「ジネブラ・デ・ベンチ」


ナショナル・ギャラリーには、我がフェルメールの作品が4点ある。
「天秤を持つ女」「手紙を書く女」「赤い帽子の女」「フルートを持つ女」である。

左下の写真の「天秤を持つ女」の左が「赤い帽子の女」
右が「フルートを持つ女」であるが、この2作品だけがに描かれており、
フェルメールの現在知られている作品は、全てキャンヴァスに描かれている。

フェルメールの現存する作品も非常に少なく、一般的には36点といわれている。
しかも、その中には数点の非真作があるといわれており、「赤い帽子の女」
「フルートを持つ女」もフェルメールの作品ではなかろうという美術評論家が多い。


「天秤を持つ女」 「手紙を書く女」


ロココの絵画は、バロックの絵画の壮大さに比べると、いかにも軽快であり、
主題も歴史的なものからより寓意的で恋心を扱うものが多いようだ。

ロココ様式にはあまり好きな作品はないが、フラゴナール「本を読む少女」
だけは見逃せない。この作品は、フラゴナールの最盛期のものと言われており、
上品な線と優美な色彩は、いかにもフラゴナールらしい。フラゴナールは他にも
ひとりでくつろいでいる少女を何点か描いているが、この作品がいちばん素晴らしい。

「本を読む少女」のモデルはフラゴナールの義妹といわれるが、
フラゴナールは彼女に恋心を抱いていたらしく、そう思って見るからか、
この作品には画家のモデルへの思いが感じられるが、如何だろうか。


「本を読む少女」


Mallと呼ばれる緑豊かな公園地帯は、首都ワシントンDCを象徴する地域だ。
東は国会議事堂から西のリンカーン記念館までの3,5キロには、
ワシントン記念塔、ジェファーソン記念館など歴代大統領のモニュメントや
スミソニアン協会のミュージアム群など観光ポイントが集中している。

ナショナル・ギャラリーは、スミソニアン協会で最も人気がある航空宇宙博物館
ライト兄弟1903フライヤー号リンドバーグの「スピリット・オブ・セントルイズ」
初めて月にいったアポロ11号など、航空ファンならずとも1度は訪れたい場所だ)
とは緑地公園をはさんで向かい合い、スミソニアン協会のミュージアム群の中に
位置しているが、正確にはスミソニアン協会とは異なる組織になる。

スミソニアン協会は、イギリスの科学者ジェームス・スミソン
「人類の知識の普及と向上のために」寄贈した
莫大な私財を基金として、1846年に設立された組織である。
現在、スミソニアン協会は、合衆国副大統領、各3名の上下院議員、
9名の一般市民で構成された評議会によって運営されている。

ナショナル・ギャラリーもまた、独自の運営組織を持っており、
国務長官、財務長官、最高裁判所長官、スミソニアン協会長官と
5人の民間人理事によって組織される管理委員会が運営しているのである。

スミソニアン協会といい、ナショナル・ギャラリーといい、
いかにもアメリカらしい話ではないだろうか。



トップへ
トップへ
戻る
戻る