Collie & Sheltie Land

コリーの歴史と JCCのコリーの標準


コリーの歴史と仲間達
  コリーの歴史は今日必ずしも明らかなものではありません。ただこの犬種は恐らく人類が家畜を持ち始めたときからの古い人間の友だちであったということはほぼ確かです。
こうした古いコリーの原種はローマ人の英国征服と共に英国に渡来し、英国土着の牧犬犬と混血されながらスコットランド地方で長く牧羊作業に従事していました。

ヴィクトリア女王に見いだされるより   
100年以上前のコリー(木版画)

 現在我々がコリーと称する犬種は、19世紀中頃にスコットランド地方に広く散在していた広い意味のコリー犬族中からヴィクトリア女王によって世に紹介されて以来改良を重ねてきたもので、それ以来わずか百数十年の間に形態的な著しい改良が成功して今日見られるごとく英智と優美を兼ね備えた美しい犬種に成長しました。

  その性質の美しさはその原種たる牧羊作業犬の性能から来たものであり、その美しい姿もやはり牧羊作業犬として必要であった正しい体の構造が、そのまま美的に発揮されたものです。
  従ってコリーを考えるときには、その牧羊犬の歴史を忘れては本当のコリーの特質も、またコリーの理想的な管理も考えられません。

        初期の展覧会コリー      

  コリーがあの特徴のあるふさふさした長い、硬い手触りの真っ直ぐな外毛、綿のような密な肌毛、手でかき分けても肌を見ることが出来ないような被毛をしているのは、山野で作業をして雨にあっても雪にあっても平気でこれに耐え、茨の中でも臆せず、冬の寒気にも身を守り、炎暑の中では暑熱が肌にとおることを防いできた犬種の歴史から来るもので、決して人間に対する美観のためではありません。

  また、首の周囲にもつライオンのようなたてがみも、羊の群をオオカミの襲撃から防いだときに、狼の牙から急所を守った一種のよろいでした。
  長い口吻も、家畜を傷つけずにつついて動かすのに便利でしたし、優美な体型も日に何十キロも走っても疲れないような、力学的にも合理的な強健な体の構造によってもたらされる物です。
 コリーの眼の着き方が他犬種と異なるのも、視力が犬種の中で優れているといわれるのも、山野に散在する家畜を監視するためであり、頸を高く掲げて辺りを見回す堂々としたポーズも羊郡の中から周囲を見回した祖先の遺伝から来るものです。

 コリーという犬種の中には、上に説明したコリー(毛がふさふさしているのでラフコリーと通称されています。)のほかに、被毛が短毛なだけがコリーと異なるスムーズコリー、 コリーの小型犬とも言えるシェットランド・シープドック、このほかに、ボーダーコリーがいます。
  ボーダーコリーは体型の改良を目的とせず、牧羊作業犬としての改良に重点を置き、実際に牧場で実役に従事してきたコリーで、いわばコリーの先祖といっても良い犬です。

JCCのコリーの標準

「総論」
  コリーは躍動する生命の表現として評価されなければならない。すなわち、一個の生命として科学的合理性に立脚した、無駄のない機能の美しさと、同時にその外貌、身体各部の形状と、表情、性格及び挙措とが、混然と融合して人々に訴える美しさとを示すものである。 従って、牧羊作業犬を源流とするコリーは、叡智に溢れ、弾力性と即応性に富み、常に新鮮な好奇心と注意力を持ち、かつ、人間と理想的な共同生活を営みうる強健な家庭犬でなければならない。 各論に述べられる身体各部の理想は、その部分だけで、また静止の形態だけで評価されてはならず、必ずそのコリー全体の動きを通じて、調和均衡のとれた有機的総合性という観点から、この総論に述べられているコリーの理想に照らして判断されなければならない。
「各論」
1.頭部
  頭部は犬体にふさわしく軽快で、コリーらしい表情を示し、頭蓋と口吻との上縁は側面から見て等長かつ平行で、その間に僅かではあるが、はっきりしたストップがあり、上または横から見て、滑らかなくさびのような形をしている。
  口吻は滑らかな丸みを持っており、頬は上から見て直線をなし、下顎は力強く発達し、歯は正常で鋏状にかみ合っている。頭蓋は適度の幅を持ち、その上面は平面である。
2.眼
 眼は、その形、大きさ、位置が適当で、いきいきした表現力を持っている。
 その色は、ブルーマールを除いては、毛色にふさわしい暗色で、瞬膜は、なるべく小さく見え、暗色であることが望ましい。
3.耳
  耳は、適度の間隔を持って位置し、その大きさは頭部にふさわしく、形は基部から先端に向って丸みを帯びた三角形をなし、緊張時には半立耳となり適度に頭蓋の上に引寄せ、その先端は前方に美しい弧を描いて垂れ、コリーの真の表情に寄与する。
4.頚
  頚は、かなり長くよく湾曲して高く掲げ、筋肉に富み、力強くすっきりとしており、その周囲には、豊富な被毛を持ち、堂々と誇らしげな様子をしている。
5.胴体
 胴体は、筋肉質でがっちりしており、体長は体高に比してやや長く、胸部はよく発達して舟底方をなし、肩は正しく傾斜し、胸は深く肘に達している。背は、水平で力強く、腰部は充実しその上縁は僅かに湾曲している。しりは適度の幅を持ち、滑らかな丸みを持っている。牡の睾丸は正常でなければならない。
6.四肢
 四肢は、犬体にふさわしい骨量と力強さを持ち、正しく位置する。前肢は、適度の広さの着地幅を持ち、肩と上膊及び前膊のつく角度は正しく、前膊は、垂直で、柔軟な力強いパスターンで支えられている。
  ふくよかな肉付の前肢に比し、後肢は筋肉が引き締り、大腿部は強靭なよく発達した筋肉を持ち、太股、下股、及び飛節は正しい角度で構成され、飛節は地面に対して垂直である。
 足は卵円形で比較的小さく、足指は十分湾曲し、互いによく密接して前方を向き、パッドは充実している。
7.歩様
 歩様は滑らかで楽々とした自由な運歩を示しかなりの歩幅を持ち、後肢の力強い推進力は前肢と完全に連携している。速歩時に、前肢は正面から見て、肘は外偏せず、かつ速力と比例して 、両足は互いに近接するが交叉しない。後肢は、後方から見て前肢と同調して近接して運歩する。即ち前後足はほぼ一直線上を運歩し、いわゆるシングルトラックとなる。また並足、速歩の時、 踏み出しは低く、正常な歩様を示す。
8.尾
  尾は、適度に長く、尾骨は飛節関節またはその下に達し、その先端は僅かに上向いている。静止時は低く支持し、運動時、興奮時には上に挙げるが背線の上にかぶさるほどは巻上げない。
9.被毛
 被毛は犬体にふさわしく正しい毛吹で、全般に長毛であるが、頚の周囲、しりが特に長毛である。
  頭部、四肢は短毛であるが、前肢の後ろ、後肢の飛節から上の後ろは長毛である。
 上毛は、長く直毛で、手触りが粗く、密度高く、下毛は軟らかく密毛である。
10.毛色
  毛色は、体の大部分の色によって、セーブル、トライ、ブルーマール、ホワイトの四種に分けられ、その間に色による優劣はない。(毛色の見本)
11.サイズ
  牡は体高55ー65CM、牝は50ー60CMを標準とするが、体重との均衡のとれた調和した大きさで、過大または過小に見えないことが望ましい。
(付記)  スムーズコリー
  スムーズコリーには、独立した標準は作られていないので、その審査は、ラフコリーの標準による。ただし、被毛の量と分布の箇所は、スムーズコリーの被毛は、短密毛で、滑らかなものである