オール・タイム・ベスト書評
カー,J.D.
(8)『火刑法廷』
この十冊の中で私が以前に読んだことがなかったのはこれだけでした。恐るべき作品だとだけ記しておきます。予備知識ゼロで読みたかった。
82点。但し最後の一章がなかったとき76点。
(17)『皇帝のかぎ煙草入れ』
向かいの家で婚約者の父親が殺されるのを目撃した女性。だがそのとき彼女の寝室には前夫が忍び込んでいたのだ。容疑者にされても彼女は身の証をたてることができない。いよいよ追い込まれていく彼女。
心理的盲点を突いたあまりにも有名なトリックが使われています。読んでいるときにそれに気がつき思わず感動してしまいました。
なお、この作品は嘘偽りなしにロマンスとして読めます。こわい。
77点。但しハッピーエンド度85点。
(20)『三つの棺』
訪れてきた謎の人物と一緒に自室に閉じこもったグリモー教授は瀕死の重傷を負って発見された。ところが密室状態の部屋から客人は煙のごとく消え去っていた。同じ頃犯人と目された人物が“見えない男”に射殺されていた。
吸血鬼伝説を背景に二つの不可能犯罪が複雑に絡み合います。この謎が完全に解かれる様は胸のすく思いがしました。なお、乱歩先生絶賛の<密室講義>を含みます。
79点。但し前衛度70点。
「なぜ推理小説を論ずるのですか?」
「なぜならばだ」と、フェル博士はずばりと言った。「われわれは推理小説の中にいる人物であり、そうでないふりをして読者たちをバカにするわけにはいかないからだ。」
(27)『プレーグ・コートの殺人』 カー,J.D.
本誌六号参照。
77点。但し知トリック度92点。
六号で特集を組んで以来、カーの長編を全然読んでいません。こういうことがよくあるんですよ。特集で一度に読んで一息入れると、また次の特集が回ってくる。で、本棚に本が溜まる。これを出したらじっくり本読むぞ。久々に新刊が出たことだし、またカーも読みたいなあ。クリスティも、クイーンも、ケメルマンも、橘外男も、埴谷雄高も……。
→冒頭
→カー,J.D.目次
→オール・タイム・ベスト・リスト
→表紙