元版は1992年。碩学エーコによる文学的なパロディ及び評論集。元ネタがわかるものもわからないものもあるが結構楽しめる。
まず始まりがコロンブスによるアメリカ発見をテレビが実況中継する「アメリカ発見」。解説者にはダ・ヴィンチやルターなど。なぜか月面着陸と重なってしまう。
他所でもあったようなと思ったのは、主語、述語、形容詞等を入れ替えるとありとあらゆる場面がつくれる「あなたも映画を作ってみませんか」。
「変則書評三篇」の最初では、イタリア銀行五万リラ紙幣と十万リラ紙幣を書評。
「涙ながらの却下」では、現代の編集者が『聖書』『オデュッセイア』『神曲』『ドン・キホーテ』などの名立たる名作を没にして見せる。
一番の爆笑ネタは、「ノニータ」。ナボコフの「ロリータ」のパロディ。いやあ、よくこんなこと思いつくもんだ。
「フランティ礼讃」は、悪童フランティに着目してイタリアの国民的児童文学『クオーレ』の欺瞞性を抉る。フランティのせせら笑いに対する考察が興味深い。笑いの破壊力への怖れ、それは『薔薇の名前』に通じる。
今のところ『フーコーの振り子』以外ではエーコの唯一の文庫化作品ということになります。お勧め。