マンガは守備範囲じゃないのだけれど、これは買ってしまった。どれくらい門外漢かといったら、収録された三人のうち横山光輝と桑田次郎は知っていたが、古賀新一はわからなかった。手に取って絵を見て、ああ『エコエコアザラク』の人かと初めて合点がいった。
この本には解説がついていないので、手ごろなガイドとして<幻想文学>42号の「特集RAMPOMANIA」に当たってみる。
昭和四十年代の異端作家ブームの頃、<少年キング>に以下のものが掲載されたという。横山光輝『白髪鬼』、桑田次郎『地獄風景』、古賀新一「屋根裏の散歩者」、石川球太「人間椅子」「白昼夢」(註)。
なんとも変な組合せだ。最初の二つは乱歩の代表作としては到底取り上げられそうもない。
だが、実際に現物をこうして見たら弩迫力であった。横山の『白髪鬼』はほぼ原作通りの展開。元が黒岩涙香の翻案だからあまり評価はされていないが、でも実は凄まじい話であることが改めてわかる。愛妻と親友に裏切られ殺されて、墓場から甦った男の復讐譚。納骨堂での恐怖、裏切りを知ったときの怒り、復讐への興奮、それを成し遂げたときの虚しさ、と全てが絵から伝わってくる。
桑田次郎の『地獄風景』は、原作のキチガイめいた雰囲気を、当時のヒッピーの風俗も組み込んでうまく表現している。そういえば乱歩作品で最も人がたくさん死ぬ話であったが、崩壊へ向かう殺戮シーンがとんでもない。前記<幻想文学>にひとこまだけ載っていた絵が強く印象に残っていて、読みながらどこで出てくるかずっと気になっていた。それが現れたのは最終ページ。
古賀新一の『陰獣』は、前記<幻想文学>にも紹介がない。<少年キング>の「屋根裏の散歩者」の原稿が見つからず他から持って来たものだという。ぬるぬるねとねとじめじめぶよぶよした触感が生理的に迫ってくる。乱歩原作の『陰獣』は私はとっても好きな作品なのだが、こちらを最初に見たら嫌いになっていたかもしれない。
この巻の売れ行き次第では続巻もあるということで期待しています。詳細はこちら。
なお、乱歩マンガについては喜国雅彦さんのページでコレクションが公開されています。乱歩とマンガに寄せる思いが熱いです。