世田谷文学館に所蔵されている横溝正史蔵書目録の付録CD-ROM。本体の方は本当に目録なので、書評は付録の書簡集のみについて。所蔵資料から二十三通を選んで画像と翻刻をともに表示したもの。以下、概略を示す。
1通目 資料番号11978 S16.11.23
昨夜戦地に行く小栗を見送ったこと。時局の作家のこと。他。
正史の住所は吉祥寺。
2通目 資料番号11968 S21.04.15推定
正史の住所は以下岡山県吉備郡岡田村。
VANという雑誌のこと。ジョン・コリアのこと。クイーン『神の灯』のこと。アメリカ軍の将校と親しくなりいっしょに松沢脳病院へ視察に行ったら視察に慣れた狂人が皆英語で話しかけてきたのに一驚したこと。他。
3通目 資料番号11980 S21.04.23
チャンドラーのこと。井上英三のこと。マーシュのこと。戦後読んで敬服したものはウールリッチ(アイリッシュ)『幻の女』、ライス『素晴らしき犯罪』、コリア短編集『青い思想』、クイーン『神の灯』であること。他。
4通目 資料番号11981 S21.05.03
ウールリッチ、ガードナー、チャンドラーのこと。カー『白い僧院の殺人』のこと。食物の事情のこと。岡戸武平のこと。他。
5通目 資料番号11984 S22.02.26
横溝原作・江戸川監修の大映映画『蝶々失踪事件』のこと。海野十三の『深夜の市長』、角田喜久雄の連載中のものを大映京都が映画化する話があるなどスリラー映画が流行りそうなこと。他。
6通目 資料番号11985 S22.03.30
『蝶々』のシナリオが映画会社の重役が本格探偵小説を全く理解しないため難航していること。
探偵作家クラブ発足のこと。他。
7通目 資料番号11986 S22.05.16
血痰の見舞い。シナリオのこと。チェスタトン、ディケンズ、ウォルポールなど古典を読んでいること。作家クラブは進行中、クイーンに手紙を書いたり、警視庁と連絡を取ったり、賑やかにやっていること。他。
8通目 資料番号11987 S22.05.25
浅草松竹座でターキー一座が『真珠郎』を上演するとのこと。
9通目 資料番号11990 S22.11.27
旅から戻ったことの報告。歓待を受けたことのお礼。谷崎潤一郎と会ったこと。『三本指』『蝶々』の映画のこと。他。
10通目 資料番号14294 S23.01.30
「月刊岡山」(ママ)のこと。他。
11通目 資料番号11991 S23.05.11
「夕刊岡山」に載った新人の作品評。島久平の「悪魔の手」を評価していること。他。
12通目 資料番号11972 S23.07.03推定
乱歩編の旧探偵小説傑作選に正史からは「面影双紙」を採るということ。当時の思い出話の原稿を依頼すること。他。
13通目 資料番号11973 S23.07.04推定
前便(12通目)の原稿依頼枚数訂正。
14通目 資料番号11971 S24.04.22
正史の住所は以下世田谷区成城町。
家庭会延期の知らせを了承したこと。他。
15通目 資料番号11975 S25.12.08推定
病気の見舞い。映画『獄門島』大当たりのこと。他。
16通目 資料番号12003 S28.10.06
「クイーンズ、クオラム」に乱歩の名前が載ったこと。他。
17通目 資料番号12004 S29.10.13
還暦の会発起の礼状、還暦の会に原稿再録で寄付をいただいた礼状(手書き原稿の印刷複製)。
18通目 資料番号12005 S29.10.19
還暦祝い品の礼状(手書き原稿の印刷複製)。
19通目 資料番号12007 S32.06.25
<宝石>の編集をやることになったこと。長編執筆のお礼。
20通目 資料番号12008 S32.08.18
江戸川乱歩賞選考のことで荒正人を初めて訪問したが、『悪魔の手毬唄』が好評だったこと。他。
21通目 資料番号12010 S33.11.20
何かのお礼。血圧のこと。他。
22通目 資料番号12014 S35.11.27
入院中の見舞い手紙へのお礼。他。
23通目 資料番号12019 S40.01.22
東都書房から出版になる横溝選集の推薦文のこと。他。(平井静子代筆)
巨匠同士の熱い語り合いとかが読めるかと期待してたが、身辺雑記的なものが多い。もっと若いときの書簡なら違っていたのだろうか。それでも好きな作家の肉声に触れることは楽しいものだ。