佐野史郎は乱歩作品になかなか合うね。
ドラマ化された4編は、「接吻」、「人間椅子」、「密室の少女」(『魔術師』より)、「断崖」と、なかなか妙なセレクトだ。
「接吻」は初期作中の掌編。新妻に弄ばれる旦那。別に傑作でも何でもないと思うのだが。ドラマとしては軽い導入部。
「人間椅子」。僕は乱歩短編中の最高作にこれを押す。でも、やっぱりこれは文章で読まなきゃ凄さはわからないのでは。
ドラマの美術館のシーンは『陰獣』の冒頭部からか。触感芸術論は『盲獣』(哄笑)から。
「密室の少女」。明智ものとしてこれを持ってきたか。なかなか儚げでよかったんじゃないか。『黒蜥蜴』の集結部も捨て難いと思うが。
この前後の異世界に踏み込むあたりとてもよい。浅草十二階は大好きだ。
(先日両国の江戸東京博物館に行ったら、凌雲閣の巨大模型があって感動してしまった。)
「断崖」とはこれまた変なものを。確か乱歩の戦後第一作で、発表したときに関西の同人誌に「大乱歩、ついに「断崖」へ」と書かれたいわくつきの短編だ。プロバビリティーの犯罪とはマニアックな。この言葉、教養文庫の乱歩先生の『探偵小説の謎』で知ったんだったけな。
ラストで、また向こう側へ行っちゃったね。だから、そうじゃないんだってば。