ヘアー,C『自殺じゃない!』

ヘアー,C『自殺じゃない!』


 ヘアーはどちらかというと苦手な作家である。名作と名高い『法の悲劇』はなんじゃこりゃあと思った。『風が吹く時』は読んだはずなのに全く覚えていない。同じ国書の『英国風の殺人』はそこそこ面白かったのだが。
 で、本書はどんなものだったかと言えば……。

 休暇中のマレット警部はペンデルベリーのホテルのラウンジでレナード・ディキンスンという老人と知り合った。彼にはどこか気が滅入る雰囲気があった。果してその翌朝、老人は睡眠薬の飲み過ぎで死体として見つかった。
 レナードの息子スティーヴンは自殺との評決に納得できずマレットに面会を求めた。スティーヴンは、父親の死は自殺でもなく事故でもなく殺人だと主張し、妹のアン、その婚約者のマーティンとともに調査に乗り出す。

 素人探偵たちがホテルの宿泊客を手当たり次第にあたっていくが、怪しい人がぞろぞろ出てくる。偶然の連続においおいそりゃないだろうと思っていたら、さらにとんでもない展開へ。
 これだけの偶然の重なり合いは確信犯的なもの。結局はイギリスの階級制度に対する皮肉と化す。それは『英国風の殺人』と同じだが、そちらの方がもっと面白かったかな。


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