甲賀三郎『犯罪・探偵・人生』

甲賀三郎『犯罪・探偵・人生』


 甲賀三郎の随筆集。元版は1934(昭和9)年、新小説社。それの復刻本で中身は旧字体。

 序文に曰く、”理想の郷土を開拓するために、アメリカ新大陸に移住した指導者達は、そこに先ず墓場と刑務所とを造らなければならないことを嘆いたと伝えられている。それほど人間と犯罪とは切り離すことの出来ないものである。(略)犯罪と探偵は人生に密接な関係を持っている。犯罪と探偵とに興味を持つことは、即ち人生に興味を持つことであるといっても、過言ではないと思う。”

 内容は折に触れた随筆である。当時の犯罪に関しての論評。探偵小説と文学。研究所時代の思い出話。身辺雑記、等々。
 なかなかの勉強家と見え、時々は海外の探偵小説や犯罪実話にも筆が及ぶ。「ヂウマのムツシウ・ジヤツカル」の章では、ガボリオのルコックやコリンズのカフに先立つ探偵を紹介。ヂウマの『モイキヤン・ド・パリ』というのが何のことじゃいと思ったが、デュマの『パリのモヒカン族』だった。
 あるいは「試験問題漏洩防止策」と題して奇天烈な案を大まじめに持ち出して来たり、「蚊には何故毒があるか」をやはり真剣に推理したりもする。

 あまりまとまりがない気ままな随筆集なので甲賀三郎が好きな人だけ読めば充分だろう。


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