京極夏彦『嗤う伊右衛門』

京極夏彦『嗤う伊右衛門』


 タイミングを外して読みそびれてしまい、次の京極本が出る前にと思ってようやく読みました。

 四谷怪談には朧げな知識しかない。それでは本当にはこの小説は楽しめないだろう。

 登場人物たちがそれぞれの信念に沿って生きる。お岩や伊右衛門に対しては背筋の通った立ち姿に気持ちよさを感じる。希代の悪役伊東喜兵衛にしても、あれだけ自分の思うままに悪に徹することができるのは、どうしてどうして立派なものだ。その他にも極めて個性的な脇役が控えている。

 それぞれがそれぞれの思いをもってぶつかり合って生きる。そしてそれが悲劇の呼び水となる。
 全てを知らされ、そして全てを失ったお岩は狂乱して走り去る。伊右衛門とその周辺に起こる怪異の数々。そして、最後の惨劇。

 ところどころにいかにも京極という描写があり、それだけでも充分満足を与えてくれる。
 驚愕の真相の意味は、二回目に読んでやっとわかった。


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