『どすこい』(2000)に次ぐ京極夏彦のギャグ小説集。いわゆる南極探検隊シリーズをまとめたもの。シリーズ前半は『どすこい』刊行時には既に書かれていたが、何故か間が開いてしまって9年後に再開された。
『どすこい』と同じくタイトルは話題作のパロディだが、中身は元ネタと全く関係ない。タイトル自体ももはや言われないと元ネタが何だかわからない。
中身は南極夏彦という簾禿の底辺作家の親父を主人公にするギャグ小説。毎度毎度、美人鬼編集者の椎塚有美子や気が弱い冒険作家の赤垣廉太郎を巻き込んで、心霊写真やUMAなどのオカルト・ネタで大騒ぎ。
でも、正直なところあまり面白いとは思えなかった。
マンガとのコラボレーションが二本あるがそっちの方は割と面白かった。
「ぬらりひょんの褌」は、『葛飾区亀有公園前派出所』とのコラボ。大原部長は中野の古本屋を訪ねようとして、かつて住んでいたアパートで奇妙な体験をしたことを思い出す。京極作品からは南極夏彦の他に何とあの古本屋の主も登場。企画に即した謎解きとともに、例の一党の消息を物語る貴重な一編になった。
「巷説ギャグ物語」は、赤塚ギャグマンガの世界が舞台で視点人物は日本一ピストルの弾を使うおまわりさん。南極夏彦を追って来た椎塚有美子らは赤塚キャラに出会って大はしゃぎだが、自らの存在意義を問われることになる。これを読んで京極が本作や『どすこい』でギャグ小説にこだわるわけが少しだけわかるような気がした。