オール・タイム・ベスト書評

ルルー,G


(10)『黄色い部屋の謎』
 この作品の発表はこの中では最も早く一九〇七年、日本では明治四〇年です。そんなに古い作品なのに今日でもベスト・テンに選ばれる力量を十分持ち合わせている傑作なのです。
 この作品中には心理的密室、人間消失、××即犯人の三つの大トリックが使われています。私が特に好きなのは、人間消失のトリックです。三方向から四人の人間に追い詰められた犯人が一瞬の間に消えてしまうこの謎が、合理的に解かれたときの驚きは今でも覚えています。
 心理的密室も重要なトリックです。なにしろ『黄色い部屋』は金庫のように閉ざされた純粋無垢の密室だったのだから。この作品が今でも名作である所以です。
 しかし、逆に言えば七十数年たってもこれを越える心理的密室トリックが生み出されていないわけであり、ルルー以降の推理作家はいったい何をやっとったんだということになってしまうのです。
  81点。但し推理作家頑張れ!度99点。



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