(16)『点と線』
芥川賞作家だった清張がこの作品を書いて以来、日本の推理小説は社会派一辺倒になってしまった。それも頭にエセがつく。そして社会派は本格味の薄い推理小説の代名詞となり、そうしたくずを書いたやからの使う言い訳は− 人間が書きたかった。馬鹿言っちゃいかん。この作品に関して言えば、動機は社会派風で探偵も平凡な刑事だけど、骨格は鮎川哲也の作品にも負けないくらいしっかりしている。リアリズムの推理小説イコール風俗小説なんて完全な御門違いだ!
つまらない社会派全盛に対する反動としてあの横溝正史ブームは起こった。そして赤川次郎出現後の今はユーモア・ミステリの最盛期。毎週あんなに出てるけど、いったい誰が買ってんのかねえ。もうこれも長くはあるまい。次はぜひともディクスン・カーに復活してもらいたいものだ。(正史が受けたんだからカーが受けないはずはないのになあ。)
65点。但し本格度73点。