森博嗣『すべてがFになる』

森博嗣『すべてがFになる』


 ついこないだ立川の古本屋で森博嗣の『冷たい密室と博士たち』から『封印再度』まで4冊出ていたので、当然買ってしまいました。
 で、日曜日に新刊本屋で『すべてがFになる』をゲットして、いよいよ森博嗣の読み始め!

 まずは、第1作目『すべてがFになる』。
 一昔前ならSFミステリーと呼ばれていただろう。新しいことに挑んでくれた。時代設定は近未来なのだろうか。親殺しの犯罪を犯し監禁されていた天才女性科学者。孤島に設置された最新鋭の研究施設。ウエディングドレスを着せられた屍体が密室から歩み出す。
 本邦ミステリー史上初めて、コンピュータとネットワークを世界として、現実として取り扱ってくれた。

(以下、けなしているので未読でなおかつこれから読む気のある方はご注意ください。)

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 だが、これだけじゃ評価はできない。犯人の動機がわからないのが痛い。○○の考えることは凡人には分からない、じゃ全然納得できません。作中で『ドグラ・マグラ』を引用し、同時期に狂人の論理をあれだけ追いかけた京極夏彦という人がいるだけになおさら。
 殺人の動機よりももっと妙なのは「すべてがFになる」というメッセージの意味。あれを残さなければ、仕掛けに気づかれず、余計な殺人を一件しなくて済むのじゃないか。これは狂人の論理うんぬんの問題じゃないよ。
 加えて博士の部屋にある全集本の巻数がなぜみな15巻までなのかという魅力的な謎に、ああいう回答を出されると頭を抱えたくなる。

 あのトリックの原形はホームズものにあります。当然手掛かりとして提出されるべきものが出されていない。読者にはわからなくても登場人物にはわかってしまうんじゃないかな。
 でもこれだけ思い切った形を出してくれたのは凄い。何か似たものがあったであろうか。ミステリーマニアの悪癖/愉悦である先例捜しにはまりそう。

 2作目以降はもっと面白くなるんだろうか。


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