森博嗣もようやく3冊目まで来ました。
犀川助教授と西之園萌絵はクリスマスを伝説的数学者天王寺翔蔵博士が隠遁する三ツ星館で過ごすことになる。
12年前に館の庭に立つオリオン像が一瞬焼失するという怪事が起き、この謎を解いたものに遺産を譲ると博士は明言する。
そして今また、オリオン像は消え失せ、再び出現した像の足元には死体がひとつ転がった。
(以下、ねたばれ注意)
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ようやく及第点には達しました。
まず貶す方からすると、メインのトリックがあまりにもありきたりであること。新本格ブームの初期にこれとほぼ同じトリックを読んで、変な館の図面が載っている本はもう読みたくないと思った。
数学を隠しテーマにしているわりには、犯行が雑だととも思う。折角大技を使っているのにあまり生きているようには思えない。それに最後の逃走シーンはいったい何だったんだろう。
最終章のあれは、言ってはいけないのかもしれないが、『頭の体操』にあったのを我々の世代なら誰でも知っていると思うが。
まあ、それでもミステリーとして評価できる最低レベルぐらいには面白かった。
で、よかった方はもちろん<定義>という問題。定義する人間がいるからこそ全てが存在するのだ。そしてまた自由な思考が可能になるためにも。
人類史上最大のトリックとは何かという問い掛け。それが真の謎か。
でも、やっぱりこの本で一番の傑作は北村薫の推薦文だったような気がしないでもない。
神の仕掛けたトリックって、どこかで聞いたことがあると思ったら、竹本健治『ウロボロスの基礎論』、夢の中で作者とニールス・ボーア博士との議論。神の仕組んだ自らを消し去る完全犯罪。ウロボロス・シリーズはあんまりかってないけど、あそこは好き。作者の理系嗜好が如実に現れている。かたや○○説、かたや量子論。