西尾維新『クビキリサイクル』

西尾維新『クビキリサイクル』

 青色サヴァンと戯言遣い

 第32回メフィスト賞受賞作。戯言遣いシリーズ、というのか、第一作。かなり人気のシリーズらしくて図書館での順番がなかなか回ってこない。

 語り手の「いーちゃん」は、十代で天才的コンピュータ技術者である友人の玖渚友の付き添いで鴉の濡れ羽島にやってきた。そこは赤神財団の当主の孫娘赤神イリアが所持する辺鄙な島で、彼女の道楽で科学、絵画、料理、占術と、各分野の若い女性ばかりの天才が招かれて滞在していた。そんな贅沢なサロンのような場所に突然恐慌が走る。
 滞在客の天才のうちの一人が密室内で殺され、その首が切られて持ち去られたのだ。島にいる人間は限られているが、そのうちの誰が何のためにそんなことをしたのか。
 事態は皆が一番恐れていた連続殺人事件に発展していこうとする。

 設定から最初に連想したのは
森博嗣『すべてがFになる』である。だが、ひょっとするとライトノベルの遺伝子の方が強いかもしれない。天才、などというある意味安易な設定を大安売りするとどうしてもライトノベルめいてしまう。
 ミステリーとしての骨格は案外しっかりしていた。典型的なクローズド・サークルものだが、それなりに新機軸を出そうとしている。設定とも綿密に絡み合っているし、さらには遅れてきた名探偵による解決という趣向がはまる。
 ただそれも良し悪しで、どんなに突飛な世界観を持ってきたとしても、不可解な事件の謎がミステリーとして合理的に解けると、どうしても浮かされた熱を冷ます方向に働いてしまう。

 それでもまあ面白かったと思うし、本編だけで明かされていない謎にも興味が残る。もっと先を読んでみてもいいかも。


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