ニューヨークへ越してきたばかりのブランチは新しい仕事の一日目を終えて娘バニーを保育園に迎えに来た。ところがそこに娘の姿はなかった。夫とは別れているし、ブランチの母親は出かけている。ブランチは娘を半狂乱になって探す。だが、やがて警察が全く捜査してくれていないことに気づく。
警察に苦情を言いに行ったブランチは愕然とする。娘が実在する証拠を示せと言われたのに、何一つ示せるものがないのだ。娘を連れ去った犯人がその証拠までも消し去ったのか。それとも彼女自身が狂っているのか。悪夢の夜が更けていく。
途中から本当に娘バニーが存在していたのかそれとも彼女の妄想なのか読者にも判断がつかなくなる。
混乱の極に達した彼女の前に現れたとある人物が彼女にパリ万博綺譚の話を思い出させ、彼女の怒りは彼女を陥れたと思われる相手に対して暴走して行く。
最後の最後までどちらへ転がって行くか予想がつかない。ヒロインにとってばかりでなく、読者にとっても悪夢のような一夜の体験となる。
これはなかなか緊迫感が募って面白かった。ただ、途中の幻想的なシーンで一箇所だけ筋が通った謎解きがなかったのが気にかかる(*人形病院で人形を燃やしてしまったのは何故か*)。
本書は<ポケミス名画座>というミステリ映画の未訳原作を刊行する企画の一環。映画のことはよくわからないが、これだけ面白い本を読ませてもらえれば何も文句はない。
[2003.05.02]
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