《SF》
J・ヴェルヌ『氷のスフィンクス』
ポオの最も長い小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』において主人公ピム達は悪夢的な航海の末に、広く荒涼たる南氷洋へカヌーで脱出する。そこで見たものは、大瀑布と巨大な白い人だった。そして、ここでこの小説は終わりを告げる。
ヴェルヌによる本書はその続編である。ポオの投げ掛けた鮮烈なイメージに対してヴェルヌはどんな回答を与えたか。集英社文庫ジュール・ヴェルヌ・コレクションにラインアップされているので御期待あれ。
E・ハミルトン「漂流者」(青心社『星々の轟き』収録)
ニューヨークのポオの編集事務所を訪れた娘。彼女は言う。彼は未来世界からの漂流者だ。未来の記憶が彼にあのような小説を書かせるのだ、と。
ローマのルクレシウスも未来人だという。確かにポオの『ユリイカ』とルクレシウスには一種の共通したものを感じさせられる。ハミルトンの炯眼に敬服。
R・ラッカー『空洞地球』
未読。
萩尾望都『ポーの一族』
未読。
《ミステリー》
J・D・カー『帽子収集狂事件』
ポオの未発表原稿が事件に絡む。登場人物の一人がフィラデルフィアのスプリング・ガーデン通りのポオ寓居跡より原稿を発見するシーンがある。
なお、カーにはやはりポオが事件に大きく関与するある有名な中編もある。
平石貴樹『誰もがポオを愛していた』(集英社文庫:1985)
僕が知る限り、全編ポオ・ミステリーの長編というのはこれだけ。ボルティモアの日系人富豪アシヤ家の屋敷が爆破され、瀕死の当主の妹は「ユーラルーム」と囁いて息絶える。以下ポオの作品に見立てた殺人事件が連続する。
「アッシャー家の崩壊」を推理小説として読む試みをした論文が巻末についているが、それが事件の解明に大きな光を投げ掛ける。傑作也。
アン・ベイヤー「二人のエド」(《EQ》1989.3)
ドナルド・オルスン「謎の遺産」(《EQ》1991.5)
近年の《EQ》誌より2編。前者はポオ・ミステリーというよりもエドガー賞ミステリー。後者は「盗まれた手紙」トリック。どちらもなかなか傑作。
向こうではこういうテーマのアンソロジーもあるんでしょうな。
ということで、他に何かあるようなら教えてください。