質問箱
[#0001] SRの会への入会連絡先は?
SRの会の入会はどのようになっているのでしょうか? 以前から入りたいと思っていたのですが、探すことが出来ませんでした。もし、よろしければ、教えていただけないでしょうか? (zawaさん)[1998.08.28]
『このミステリーがすごい!』(宝島社)の巻末に各ミステリーサークルの連絡先が記載されています。個人の住所なのでここには書きません。どうしても知りたい方は私にメールでお問い合わせください。 [1998.12.05]
[#0002] 海野十三の作品について
海野の作品はあなたのHPにも紹介されていたように、現在では埋もれてしまっているようですね。ただ、「日本出版書籍総目録」で、小松左京監修の海野十三全集というのが記載されているのですが、これはSF小説が中心なのでしょうか?もし、海野の探偵小説をもある程度網羅したものなれば、乏しい懐をはたいて少しずつそろえようかな、等と考えているのですが・・・・ (Takayoshi Kumonさん)[1998.08.31]
ホームページに記したのは、執筆した1985年当時の情況であり、今は違います。その後のフォローを書いていなくて申し訳ありませんでした。
1990年から三一書房より『海野十三全集』が発行され、今ではほぼ全作品が読めるようになっています。これの監修者は小松左京と紀田順一郎です。
あいにく私は持っていませんが。大きな図書館なら入っていると思います。 [1998.09.01]
[#0003] 『ドグラ・マグラ』の映画について
わたしは最近『ドグラ・マグラ』を読んだのですが、映画があると知って大変驚きました。映画館で御覧になったようですが、ビデオは出ているのでしょうか? とても気になります。
もしご存知で、お手数でなかったら、教えて下さいませんか? (Ikue Horiさん)[1998.11.06]
データはこちらに記しました。
もう10年も経っていたのでいささかびっくりしました。
ビデオ化されましたが既に絶版です。マニアックなレンタル屋さんに行けばまだ見ることは可能かもしれませんが。 [1998.11.16]
[#0004] 京極堂と関口巽の原形は?
京極堂や関口巽は、島田荘司の御手洗と石岡(でしたっけ)コンビを彷彿とさせるのですが、このホームズとワトソンという構図は、日本ではどの作家が一番に取り入れたのでしょうか? 私は、とりあえず有名な御手洗&石岡かなあと考えたのですが。 (Doi Miyukiさん)[1998.11.19]
そうですね。本格物で、記述者役の一人称で、シリーズものという条件が付くから戦後になってからですね。
すぐ思いつくのは島田荘司が『龍臥亭事件』を捧げていた高木彬光擁するところの神津恭介と松下研三のコンビですね。これが本邦初でしょう。
単発ですが高木彬光自身が探偵役を務める『能面殺人事件』では、この関係をちょっとひねって使っています。 [1998.11.20]
かなり以前に芦辺拓さんから、戦前にも浜尾四郎の藤枝真太郎と小川雅夫のコンビがあるとの指摘をもらいました。
確かにその通りですね。
[2003.04.29]追記
[#0005] 中井英夫のお墓はどこですか?
中井英夫のページを探していて、「宮澤の探偵小説頁」を発見。拝読いたしました。お墓参りに、一度どうしても行きたい、と思っていたのですが、場所がわかりませんでした。
「東京ワンダランズ探検記」、とても有り難かったです。 (F.M.さん)[1998.12.06]
<幻想文学>No.49[1997.03.01発行]に本田正一氏による手記「薔薇の不在 −中井英夫納骨記」が載っています。葬儀以来下谷の法昌寺にあった遺骨は、本田氏の手により1995年5月28日に山口県山口市の中井家先祖代々の菩提寺である浄土真宗本願寺派瑞亀山正福寺に納骨されたとのことです。法昌寺の方には小さな供養塔が設置されているそうです。 [1999.01.14修正]
[#0006] 『古畑任三郎』第三話の原典は? またはパリ万博綺譚について
宮澤くんは『古畑任三郎』はごらんになっていますか?
先日の第三話「古畑風邪をひく」のお話で、ある小さな村に行った女性がその村の住人に殺されて、しかもその村の人達はみんなでその女性が村に滞在していたことを隠そうという話がありました。その女性と今泉が逢っていたことから話がややこしくなるのですが、この設定のお話、たしかどこかで読んだか見たかした覚えがあるのですが、どうしても思い出せません。
自分は確かにその女性と逢っていたのに、みんなはそんな女性は知らないと言うこの不条理なドラマ、ヒッチコックの映画だったかなあ???と、ずーっと考えているのですが、宮澤くんご存知ではないでしょうか? (Spica さん)[1999.04.28]
あいにくとTVは見ないんですよねえ。最近はアニメでもドラマでもミステリーブームのようですが。
さて、このネタは古典中の古典で、再話に次ぐ再話のために何が原典なのかもわからない状態になっています。ヒッチコックにありましたかね。
私が原型とにらんでいるのは以下のような話です。
<問題編>
パリ万博を訪れたアメリカ人の母娘。体調の悪い母親をホテルに置いて娘は外出する。ところが戻ってみるとホテルから母親が消えている。しかも誰も彼もが母親など見ていない、あなたひとりだったと彼女に告げる。
娘は必死で奔走するが、母親を見たと言う者は居らず、気違い扱いされ失意のうちに帰国する。
<解決編>
アメリカに娘を訪ねてきたパリ警視庁警部が真相を語り謝罪する。母親は途中寄ったインドでコレラに罹っており、それがわかったときはもう手遅れだった。コレラの発生が知れるとパニックになるために当局が関係者全ての口止めを行ったのだと言う。娘は母親の最期を知り涙した。
これを最初に読んだのは、少年時代です。学研(?)のジュニアチャンピオンコース(?)という図鑑形式のムックの中に『あなたは名探偵』(?)と『名探偵登場』(?)というタイトルの推理クイズの2冊本がありました。その後者の方の冒頭の口絵にあった話だったと記憶しています。
後に大人向けの本でこれと同じ話を読んだような気がしたので、本棚をかき回してようやく発見しました。
マーキー作「空室」(立風書房『新青年傑作選 第四巻 翻訳編』収録)という作品で、<新青年>昭和9(1934)年4月号に掲載されたものです。タイトルは、母親のいたはずの部屋が空室になっていたところから。中島河太郎先生(合掌)の解説によると、
この物語はどうやら事実譚にもとづいているらしい。この骨子で書かれた他の作品があるからで、そうでなければこの着想に到達した作者はもっと賞揚されるべきである。作者について知られていないのも、そのせいと思われる。
とのことでした。いちおうはこれを原典としてもいいのでしょうが、本当のところは謎のようです。
うーむ、今更ながら深い世界です。 [1999.05.18]
小林晋さんよりメールをいただきました。
質問箱の「パリ万博」についてですが、Sir Basil Thomsonの短編集(Mr Pepper, Investigator (1925))に収録されていたThe Vanishing of Mrs Fraserが原典(あるいはその一つ)ではないでしょうか?
この作はセイヤーズ編の3巻本アンソロジーにも収録されています。
とのことでした。中島河太郎先生の解説にあった「この骨子で書かれた他の作品」というのがおそらくそれなんだと思われます。ご教唆ありがとうございました。
パリ万博自体は1855年から1900年まで約10年置きに5回連続で開催されたようです。 [1999.06.08]追記
何人かの方からヒッチコックの映画では『バルカン超特急』(The Lady Vanishes)(1938)ではないかとのメールをいただきましたが、私自身見ていないので判断できずにいました。ところが星導夜さんとやよいさんのお二人から情報をいただき、このほど確証も取れました。
F.トリュフォー『定本ヒッチコック映画術』(晶文社)にて、ヒッチコック自身がインタビューに答えて、『バルカン超特急』は1889年のパリ万博で起きた実話(ほぼ上記の通りの内容)に基づいていると語っています。さらにアイリッシュ「消えた花嫁」もこれが原典だとも。
情報を寄せていただいた方々、ありがとうございました。 [2000.03.31]追記
また一つ見つけてしまいました。
J・D・カーのラジオドラマ「B13号船室」について、ダグラス・G・グリーンの本に以下のように記述されていました。
フレデリック・ダネイがその台本を『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』に掲載したさいに指摘したように、カーの物語はパリの万国博覧会にまつわる古典的な物語の中のヴァリエーションである。
真相は全然違うけど、確かに状況はそっくりの話でした。探せばまだ見つかるかも。 [2000.04.10]追記
浅井@漂泊旦那さんから情報をいただきました。
学研ジュニアチャンピョンコースの推理クイズ本は以下の3冊でした。
『あなたは名探偵』藤原宰太郎・桜井康生著
『名探偵登場』加納一朗著
『名探偵トリック作戦』藤原宰太郎著
確かにそうでした。でもまさか藤原宰太郎や加納一朗の著書とは思いませんでした。
そのうちパリ万博の事件の劇画が載っていたのは『名探偵トリック作戦』とのことでした。浅井さんも手放されてしまってタイトルや原作まではわからないのですが、藤原宰太郎の別の著書でこの話をベイジル・トムスン作「ブレイザー夫人の消失」、1889年のパリ万博の事件として紹介しているそうです。 [2000.08.05]追記
成田さんから以下のような情報をいただきました。
さて、「パリ万博」の話ですが、乱歩の『続・幻影城』の「探偵小説に描かれた異様な動機」の「2 利慾の犯罪」の「秘密保持」の項に出てきます。「この作家は日本には全く知られていないが、セイヤーズの傑作集には二編採られている人で」とあり、「類別トリック集成」のトリックの元ネタを明らかにした「乱歩「類別トリック集成」拾遺」(「EQ」1987.11月号)[→「探偵小説トリック分類表」(講談社江戸川乱歩推理文庫57『わが夢と真実』収録):宮澤追記]にも、当該項目のところに、Sir Basil Thompsonの「The Vanishing of Mrs. Fraser」の名が挙がっていますから、小林晋さんの指摘されるとおりだと思います。(略)
面白いことに、先日読んだ瀬川祐司「ナチ娯楽映画の世界」(平凡社)で、この話がナチ時代にドイツで映画化されていることを知りました。「消えた足音」(1938)がそれです(日本未公開)。舞台は1867年パリ万博。カナダから母親と見物に来た娘が同様の事件に巻き込まれて……。オチは、母親のペストと、まったく同じです(日記でちらっと触れました)。原作は、不明です。ヒッチコックの「バルカン超特急」と同じ年ですね。
ヒッチコックの話にある「1889年」「インドから来た」という辺りと微妙に違っていて興味深いです。
やはり、Sir Basil Thompsonの短編が嚆矢というわけではなく、それに近い実話があり、一種の都市伝説として伝わったような気がします。
そうでしたそうでした。『続・幻影城』に載ってないわけがないですよね。乱歩先生の挙げているのは確かにSir Basil Thomsonの方のようです。
ナチ娯楽映画にもあったのですね。この元ネタ探しはますます混迷化しています。
みんながみんな実話だ実話だと言うわりには、実際の事件が影の欠片も出て来ないところがまさに都市伝説です。
[2000.08.14]追記
浅井@漂泊旦那さんからまたも情報をいただきました。
学研ジュニアチャンピョンコースの藤原宰太郎著『名探偵トリック作戦』を入手されたそうです。
巻頭のカラー推理劇画のタイトルは「消えた母の秘密」でした。
絵はおがわあきら。
舞台は1889年第五回パリ万国博覧会です。
主人公はアメリカから、世界一周の観光船で日本、インドをまわって、最後の観光地パリに着いたケリー夫人と娘のアン。
ケリー夫人がかかっていたのはペスト。
残念ながら、原作については一言もふれておりませんでした。
どうもありがとうございました。 [2000.10.02]追記
第五類人猿さんからいただいた情報で、都筑道夫『やぶにらみの時計』の中で登場人物がこの類型について語っているとのことでしたが、このほど確認が取れました。
ウールリッチ「突然アリスは消えてしまった」(「消えた花嫁」)と久生十蘭「女掏摸アリス芸談」(「妖婦アリス芸談」)の元になった事件としてこの実話を紹介しています。パリ万博と特定はしていませんが。
さらにアントニイ・ソーンがこれを長編化し、ロバート・ブロックもこれに挑戦しているとの記述もあります。
第五類人猿さんからは『死体を無事に消すまで』の中にもこれに触れた文章があったかもしれないとの情報をいただいています。ありがとうございました。 [2001.07.02]追記
Moriwakiさんから以下のような情報をいただきました。
アメリカのフォークロアをベン・C・クロウが編集した本の抄訳である、ちくま文庫の「ジャージーの悪魔」に、件の「パリ万博」の話が、アメリカのフォークロアとして記載されています。
パリ万博だけでなく、アメリカ国内の博覧会であったり、外出した娘の行動について、数種のパターンがあるようです。
これを読むと、実話らしいというのもフォークロアにつきものの伝説のような気がしないでもありません。
どうもありがとうございました。 [2001.07.02]追記
ヒッチコック映画『バルカン超特急』の原作であるエセル・リナ・ホワイト『バルカン超特急』を読みました。作中、女主人公アイリスが昔雑誌で読んだ実話らしい話としてこの話が紹介されていました。
[2003.04.29]追記
もうひとつ見つけたのを書いておきます。
朝永振一郎といっしょにノーベル物理学賞をとったR・P・ファインマンの自伝『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波現代文庫:2000)の冒頭部、MIT時代のエピソードとしてダンスパーティーで聞かされた謎々をことごとく解いたというくだりに謎々の一つとしてこの話が出ています。
[2003.04.29]追記
パイパー,E『バニー・レークは行方不明』は保育園に預けたはずの子供が消え、誰も見ていないというその子を求めて母親が一人さまよい歩く話ですが、途中で『パリ万博』の筋書きというのが出てきます。
[2003.05.02]追記
『北村薫のミステリー館』にベイジル・トムスン「フレイザー夫人の消失」が収録されました。まさにこの話の原型の一つです。母娘はイギリス人でパリに入ったのはナポリから。母親がかかった病気は腺ペスト。
同じく北村薫『ミステリ十二か月』でもこの話に触れているとのことです。
[2005.11.16]追記
ホック,E.D.『サム・ホーソンの事件簿4』収録の「革服の男の謎」がこの変形で、パリ万博奇譚への言及があります。作中で以下のように述べています。アレグザンダー・ウォルコットの『ローマが燃えるあいだ』というエッセイ集の「消えた貴婦人」というエッセイでその伝説を扱っており、最後の脚注で、この話の出典は1889年のパリ万国博覧会中に発刊された<デトロイト・フリー・プレス紙>のコラムであると書いてあるとのことです。
[2006.11.03]追記
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