昨年、創元推理文庫からギャリコ『幽霊が多すぎる』と同じくらいの時期に出て、その評判のよさに引き比べて極めて評判の悪かった作。おかげで新刊として買っておきながら、年どころか年度を越してしまった。
出来はどうあれ、コナン・ドイルと脱出王ハリー・フーディーニの夢の競演という内容だから、買わないわけにはいかなかった。同じ趣向でヒョーツバーグ『ポーをめぐる殺人』があるが、これは全くの駄作。ホームズとフーディーニを登場させた作ではD・スタシャワー『ロンドンの超能力男』(扶桑社)があった。
フーディーニは英国の田舎のある屋敷に招かれた。そこにドイルが見込んだ霊媒を連れて来て降霊術が行われるはずだった。だが、フーディーニを付け狙う正体不明の人物のためか、田園の平穏はかき乱される。
表題は誇張。誰が名探偵かわからない。主人公はドイルでもフーディーニでもなく、フーディーニの護衛として雇われたピンカートン社の探偵。
フーディーニは副主人公格だが、ドイルの影が薄すぎるのは痛い。密室もあるにはあるが、こんな解決じゃあ不可能犯罪ものとは呼べない。犯人探しも伏線があるのやらないのやら。ちょっと中途半端。まあそこそこは面白かったんだけれどね。