日本ミステリ界には期待できる若手が何と四人もいます。連城三紀彦、竹本健治、笠井潔、それに島田荘司です。今回は処女作の(26)『占星術殺人事件』がノベルスにおりたところだし、また古本屋で四冊も買っちゃったので島田荘司について。
『占星術』は出てから一週間ぐらいして買いに行ったら、一番丁の本屋四件で売り切れており、仙台のミステリファンも馬鹿にならないことを思い知らされました。六人の女性の体をバラバラにして占星術的に完璧な一つの肉体を作り上げるという話ですが、その中に実に破天荒なトリックが仕掛けられているのです。解説では“日本推理小説史上に現れた最高作!”と持ち上げていたけど、まあ私としてもベスト15ぐらいになら入れてもいいなと思いました。
島田には『占星術』をはじめとする占星術師御手洗(みたらい)潔を探偵とするシリーズと、警視庁捜査一課の吉敷竹史(よしきたけし)が主人公の『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』『出雲伝説7/8の殺人』『北の夕鶴2/3の殺人』のトラベル・ミステリのシリーズがあります。こちらも猟奇的な事件を本格的に料理したものばかりです。特に『北の夕鶴』の驚天動地のトリックには参りました。
『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』は、ワトスン筆のまっとうなパスティシュと漱石筆の作者のホームズへの相当屈折した思い入れ(『占星術』参照)が籠もったパロディが交互に並ぶ後世をとっています。私としては加納一郎の『ホック氏異郷の冒険』の方が面白かったけど、これは読み手によって意見が分かれるかもしれません。
島田荘司はこれからも期待できそうな作家です。本格探偵小説復権の日もそう遠くはない!