前号の「猟書の果て」と「地獄の道楽」が乱歩の題名もじりなのはお気づきでしょうか。
さて、
SRの会創立40周年記念大会レポート
僕はほんとに運がいい。入会4年目で40周年記念大会に出られるなんて。
40周年記念大会は4月4〜5日、創立の地京都にて開かれました。
4日の前夜祭でとうとう会長にお会いできた。かんどー。前にも書いたことがあるが、SRの会の竹下敏幸会長は創立当時からの終身会長。関東の会員にはお顔を拝見できる機会が殆どない。もう七十才は軽く越えているはずなのに(鮎川哲也より年上だもの)若い。髪の毛も黒々してせいぜい五十台前半にしか見えない。今でもよく本を読んでいらっしゃる。日本探偵小説界の生き証人の一人だ。僕はオークションで会長の出品した傘を競り落としてその箱にサインしてもらいました。わーい、わーい。
夜は恒例のマーダーゲーム。新方式が提案されたが、あれじゃあ被害者役はまったくの間抜けだ。僕は飲み過ぎて少々つらかった。
眠りにつく前、初参加の新人(19才)はこう言った。全国大会でミステリーの話ができると思っていたのに……。
5日は本大会とレセプション。鮎川哲也と若手の作家がゲスト。そのメンバー。芦辺拓、我孫子武丸、綾辻行人、有栖川有栖、石川真介、黒崎緑、白峰良介、竹本健治、法月綸太郎、山口雅也、依井貴裕。なんか変な取り合わせでしょう。誰とは言わないが別に頼まないのに来ることになっちゃった作家が何人もいたそうだ。この人々は我々が特定作家に質問が集中しないよう前夜のうちに割り振りするなど涙ぐましい努力をしていたことが想像し得たであろうか。
サイン会にはずらずら並ぶこと。みなさん殆どミーハーしていた。僕は何も書いてもらうもの用意しとかなかったし、普段無茶苦茶けなしてる連中からサインもらうのには抵抗があった。そこで<SRマンスリー>に竹本さんから名前だけサインしてもらいました。やったぜ!
レセプションで小耳に挟んだ話。綾辻。島田潔というのは冗談でつけて本にする前に変えるつもりだったんだが、島田荘司が実にいい名前だというので(姓名判断もやるんだそうだ、この人は。占星術師のはずなのに。)仕方なくそのままにしたそうだ。現在師匠の呪縛からの離脱を図り、『時計館の殺人』ではこの名前は一回しか出てこない。次作ではゼロにする予定とか。ちなみに鹿谷門実は最悪の名前だそうだ。我々の間では第二期館シリーズの探偵役は江南孝明が引き継ぐという説もあったのだが。
竹本。『ウロボロスの偽書』の芸者ミステリーはどこぞやに続編が出るそうだ。あれでよく食べていけますねの声には、「キティさんのおかげです」。まぼろしの幻影城ノベルスの一冊『偶という名の惨劇』は実際に書いていたんだそうだ。日影丈吉『夕潮』みたいに発見されても絶対に出版しないって。
芦辺。『殺人喜劇の十三人』とっても面白かったけど、同じ手は使えないし、次どうするんですかと聞いたら、それで今悩んでます、って。芦辺さん、僕の名前覚えててくれた。<マンスリー>にたまに書いたりしたから。
依井。自分の作品、身の回りの人(ミステリー初心者)に読ませられないって。バカヤロー。そんなもの読者に読ますな。
黒崎。ギャグ考えるのトリック考えるのと同じくらい大変だって。これに飽きると凄い暗い話が書きたくなるんだそうだ。
東京創元社から江戸川乱歩『貼雑年譜』全三巻完全復刻15万円が出る!!! 僕も乱歩先生は大好きだけど、ちょっとついていけないかなって感じ。一線を越えてしまうかのような。文化的意義は充分に認めるけど。これ買う人日本で二百人くらいだろうか。
その夜は旅館で東京のメンバー数人で午前3時まで延々議論してしまった。新本格、アンチ・ミステリー、SRの在り方、等々。SRの会に入ってこんなに真剣に語り合ったの始めてだった。なんか懐かしかった。
翌月曜は僕は京都御所で本一冊読み切ったあと東京へ戻りました。実に楽しかった。そして50周年記念大会が今から楽しみだ。今回のゲストのうち何人がサバイバルしているでしょうか。