オール・タイム・ベスト書評
天藤真
(12)『大誘拐』
ムショ帰りの三人組は、紀州随一の大富豪で名望家のおばあちゃんの誘拐を決意する。散々苦労した挙句、拉致には成功したものの、ひょんなことから隠れ家を失い、そのおばあちゃんの知人の家に転がり込むこととなる。ここらから話はおかしくなり始め、五千万円要求するつもりが、人質が私はそんなに安くないとがんとして聞かず、なんと百億円要求する破目になってしまう。おまけに人質と家族のテレビ対面、身代金引渡しの実況中継という前代未聞の誘拐事件へと発展していく。
下手をしたら茶番にしかなりようのないこんな話をあくまでシリアスにハードに描いてゆく作者の筆力は凄い。人が誰も死なず、読後感が爽やかな珍重すべき作品。
83点。但し敬老度91点。
と、原稿を書いてから今までの間に天藤真さんはお亡くなりになりました。人の命ははかないものです。合掌。
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